つまり僕は狼で 大方君は可愛らしい羊なんだろう。
偏見に満ちた交差点と点滅した信号機が酸素を吸収、
二酸化炭素が僕に冷たいのと同様に 朝は低血圧を嫌ったのだと分析する。
悪いのは僕じゃない。
穴だらけなのはむしろ心臓です、羊さん。
この世界は僕には合わない。
食物連鎖の頂から慈愛と平等を説いた
その瞬間に滅びるべきだった。理想論と現実に一貫性を
要求するその思想が僕にはとても受け入れられないし、
ひどく不快だとも感じる。しかし当然一方的な少数派を
世界は好まないのが事実で。
だから今日も爆音の中、生存中。
「狼さん」
「なんですか羊さん」
「網膜が痛いです」
「そうですか、それはどのくらいの痛みですか?」
「....狼さん」
「何でしょう羊さん」
「網膜が痛いです」
「さっきも伺いましたよ」
「心臓も」
「羊さん、」
「狼さんと居ると、身体中が痛くなります。」
痛くなるんですともう一度だけ羊さんは儚く頷いて、
僕を見やる。星が墜落する感情。
「愛してしまったかも知れません」
ノイズで揺れる鼓膜は正しい。横断歩道を見失った。
迷子の逃走で乱されたクラクション。右手に隠した
疑惑と辛辣が無に変わる。
ああ、心臓に噛み付きたい。
群青林檎