司法書士小山毅の新宿わくわく業務日記

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みなさん、こんにちはパーニコニコ

波木井です。

さて、いよいよ、休眠担保権の抹消登記手続き最終回です。


前回からの続きで、いよいよ、登記手続きのはいります。



Ⅳ.休眠担保権抹消登記手続

  

ここでは、登記権利者(担保権設定者)が単独申請で行う休眠担保権抹消登記の手続き(不動産登記法第70条第3項後段)を説明致します。

他にも、登記義務者(担保権設定者)の単独申請による抹消登記の手続きはありますが、実務上最もよく利用されており、本件で採った登記手続きを紹介致します。


この手続きの最大のメリットは、添付書面が少なく、裁判所の関与を必要としない点です。



☆要件★  (不動産登記法第70条第3項後段)


担保権者が行方不明であること

被担保債権の弁済期から20年を経過していること

債権の元本・利息・遅延損害金、全額を弁済すること


※上記①ないし③の要件に全て該当しないと、この方法による休眠担保権抹消の登記は、することができません。

担保権者等の登記上の住所地を管轄する供託所に、被担保債権の元本債権額、金銭消費貸借契約日から弁済期までの利息、弁済期の翌日から供託をする日までの遅延損害金の全額を弁済供託します。

つまり、元本債権額、利息及び遅延損害金の合計金額を計算し、一括で全額を供託することになります。明治時代に発生した元本債権の利息・遅延損害金を全部まとめて(元本債権発生年が、1899年(明治32年)なので、約114年分)、供託しなければならないというと、とんでもない金額になってしまうのでは!?と思われるかもしれません(実際に、そのように思いました)。

そこは、御安心ください。明治・大正時代に設定された抵当権の債権額は、通常『数十円』の単位(本件は、30円)となっておりますので、元本債権に利息・遅延損害金を全部付けても、千円前後。現在の貨幣価値には換算せず、あくまでも、当時、登記された債権額に基づいた利息と遅延損害金を含めた金額を供託すれば、良いことになります。

      

弁済供託後、下記の法定添付書面を、添付し、担保権設定者の単独申請により、休眠担保権抹消登記を申請します。申請により、休眠担保権は、登記簿上から消滅する運びになります。


☆添付書面(本件で添付書類としたもの)★

1.内容証明郵便の配達証明書{上記要件①に該当することを証する書面として}

 ※登記簿上の債務者の住所宛てに、債権額を弁済するので、受領してほしい旨の書面(内容証明郵便・配達証明書付)を送ります。受取人不明で書面が戻って来るので、そのまま開封せず添付書面とします。

2.休眠担保権設定当時の登記簿(閉鎖)謄本等{上記要件②に該当することを証する書面として}

 ※1964年(昭和39年)以前の担保権設定登記については、「弁済期の定め」が登記事項として、登記されていました。よって、古い登記簿謄本を確認すれば、休眠担保権の弁済期が判明する可能性が高いです。

上記要件②の「被担保債権の弁済期から20年を経過していること」を証明するために、本書面が必要となります。また、弁済期が判明することによって、利息と遅延損害金の額を計算することが可能になります。

3.供託書正本(上記要件③に該当することを証する書面として)

 ~元本債権額、利息及び遅延損害金を合算した金額を供託する必要があります。

先取特権・質権・抵当権につき、利息・遅延損害金のいずれの定めの記録も登記記録にある場合には記録された利率による利息及び遅延損害金、利息・遅延損害金のいずれの記録もない場合は年6分の割合による利息及び遅延損害金、利息の記録のみない場合には年6分の割合による利息及び記録された利率による遅延損害金、遅延損害金の記録のみない場合には記録された利率による利息及び遅延損害金、をも供託しなければなりません。


以上のような手続きで、今回の案件は、無事に抵当権を抹消することができました。貴重な実務経験となりました。

古い抵当権が不動産に設定されたままでお困りの方は、是非ご相談ください!!


以上、波木井でした。



新宿南口、土日営業司法書士

抵当権抹消・相続登記など、お気軽にご相談くださいませ。


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みなさん、こんにちは!

波木井です。

さて、前回は「休眠担保権」て何かということを少し説明したのですが、以下、続きを解説していきます。


Ⅱ.休眠担保権の発生理由

 有力な理由の一つとして、担保権の抹消という登記の性質上の問題が、指摘されています。マイホームを購入する等、不動産売買取引において、金融機関が、お金を融資して、債務者の不動産を担保にとる際に、登記をしないということは、実務上まずあり得ないと思われます。


 しかし、担保権は、債務全部が弁済等で消滅されていれば、抹消登記自体は、実務的に必須ではありません。よって、担保権の抹消登記は、所有権の移転登記・担保権の設定登記等に比べると、どうしても当事者が積極的に行わないものとなってしまっております。 

 

 明治・大正時代の抵当権が登記簿に残っている理由については、何分昔のことなので、本当の理由は、明らかではありません。


 具体例として、住宅ローン等を完済したにもかかわらず、抵当権抹消登記を申請しないままになっているケースがあります。基本的に銀行等金融機関は、抹消登記に必要な書類を担保権設定者に渡すだけで、抹消登記申請手続きそのものには関与しません。ローンを完済した担保権設定者は、①抹消登記手続きを司法書士に代理してもらう。②自分で申請手続きを行うかのいずれかの方法で、抹消登記手続きを進めないといけません。結局、曖昧のままになってしまうケースもあるようです。

≪イメージ≫

何らかの理由で、担保権の抹消登記を放置

        ↓

長い年月が経ち、債権者の行方が分からなくなる(債権者の住所移転・死亡等)


債権者に連絡が取れず、抹消登記ができなくなってしまう(※担保権抹消登記も、不動産登記の原則通り、登記権利者・登記義務者による共同申請で行う)

このような流れで、登記簿に休眠担保権が残ってしまいます。



不動産を売買する時または相続が発生し、相続人の間で遺産分割協議を行おう時に、登記簿を確認したら、「よく分からない古い担保権の登記が付いている」と、気が付くケースが多いです。




Ⅲ.特別な救済策

休眠担保権は、既に完済されていて、消滅しているものも多いと思われますが、昔のことなので、実態は不明です。

長年、抹消登記手続が放置されていたことにより、存在意味を失った担保権の登記だけが、登記簿に残ってしまったという形になります。

担保権が実体的に消滅しても登記簿から当然には、削除されません。登記簿から抹消するためには、申請人が担保権抹消登記を申請する必要があります。

しかし、不動産登記法の共同申請主義の下、申請人となるべき債権者が行方不明のままでは、担保権を抹消したくても、事実上抹消登記申請をすることができない状態になってしまっていると言えます。

そのような場合の救済策として、不動産登記法では、特別な休眠担保権の抹消登記手続きが、認められています。


具体的な、手続き方法については、次回書いていきたいと思います。


波木井でした!次回もよろしくお願いしますニコニコ







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みなさま、大分ご無沙汰しております。小山ですニコニコ

4月に人生2度目の入院をしましたが、無事に退院しました。

5月から全開で行こうと思った矢先、軽いぎっくり腰をやったり、プライベートでショックな出来事があったり・・・。大分、腰も良くなり仕事もガンガンやっていこうと思います。


入院中は、波木井君が頑張ってやってくれていました。

ありがとうございます。みんなに助けてもらっている、小山です。

さて、今回から3回程度にわけて、最近事務所で扱った珍しい案件をご紹介したいと思います。

以下、波木井君が担当します。よろしく!!


 ダウンダウンダウン


こんにちは、波木井です。

まず、以下の事例をご覧ください。

《事例》 ~ 相続した土地に、何か実態がよく分からない古い抵当権が設定されている。

登場人物)

被相続人 A

相続人  B(※Aの唯一の相続人)

抵当権者 C

債務者  D

(事案・相談内容)

① Aが死亡し、相続が開始した。A名義の土地2筆について、相続人B名義とする所有権移転登記(相続登記)の申請を行いたい。

② 登記簿を確認すると、各土地に抵当権(共同担保目録付)が、設定登記されている。

③ ②の抵当権は、明治32年5月24日付けで登記がされており、相当古いもののようである。Bは、当該抵当権の抵当権者C及び債務者Dとは、全く面識がなく、その情報は皆無。抵当権の設定日(明治32年5月24日)から考えても、CとDが生存していることは、まずあり得ない。また、CとDの相続人についても、全く分からない(CとDに、相続人がいるかどうか自体が不明)。

④ Bとしては、Aから相続し、所有者となった土地が、全く面識のない人のために、担保となっていること(物上保証)について、あまり気分がよろしくない。出来るならば、当該抵当権を抹消したいと考えている。

(登記記録)

登記簿上の順位    1番

      借入年月日      明治32年5月24日

      債権額        30円

      利  息       月60円につき1円

                 (月利 1.6666%)

      弁済期        明治32年8月20日

      損害金の定め     なし

Ⅰ.休眠担保権

 登記簿を調べると、登記がされて長い年月を経た、担保権(先取特権・質権・抵当権)の登記を発見することがあります。その中には、明治・大正時代に登記がされており、債権額や氏名・住所の記載に、時の流れを感じさせるものがあります。本件抵当権のように、なんらかの理由により、抹消されないまま放置され、登記簿に残ってしまったものを『休眠担保権』と呼びます。


 今回は、相続登記の依頼を受け、登記簿を調査している時に、休眠担保権を発見しました。司法書士試験の受験時代、休眠担保権の抹消手続きについては、勉強していましたが、実際、登記簿で休眠担保権を発見した時は、「本当に昔の抵当権が残ってることがあるんだ」とちょっと驚きました。


では、長くなってしまいましたので、今回はこの辺にして、次回は、休眠担保権の発生理由等について書いていきます。

乞うご期待!!


 波木井でした。



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