東日本大震災国会まとめ

東日本大震災国会まとめ

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山本(公)委員 おはようございます。自民党の山本でございます。

 質問をさせていただきたいと思います。

 実は、昨年の通常国会、この委員会で、私は、大畠大臣の所信に対する質疑で同じようにこの場に立たせていただきました。三月九日でございました。その折、大畠大臣とのやりとりで記憶に残っておりますのは、お互い年代を同じゅうする政治家でございます、選挙があるからといって、どこまで行っても休日千円割引であるとか、民主党さんは高速道路無料化というような、バナナのたたき売りのようなことはもうやめませんか、お互いやめて、本当に必要な道路というのはつくっていきましょうという議論をしたことを覚えております。大臣からも前向きなお話を当時いただきました。

 そして、わずか二日後、震災が起きました。この震災によって、多分、三月九日と違って、この国の国土交通行政というのは、今、最後に望月議員が言われた航空行政に至るまで、大転換をしなければいけない、そういうことになっていったんだろう、そのように思っております。

 きょうが十四日ですから、ちょうど国土交通省がいろいろな意味で、あたふたという表現がいいのかどうかわかりませんけれども、総力を挙げて事に当たっている姿を、私ども、大臣の方からお招きというか呼び出しをいただきまして、国交省の管理センターに行ってつぶさにその状況を見てまいりました。

 いろいろな意味で、一年たちまして、今、例えば国会においては復興特で復興に向けていろいろな議論がなされていることは承知をいたしておりますけれども、どうやら先週、国土交通大臣には質問事項がなかったようでございました。一年たって、多分、復興特の最大の関心事は福島の方のいろいろな問題が主になってきたのかなというふうに思ってもおりますけれども、いずれにしましても、震災直後、国土交通省が果たした役割というのは、私は、ある意味で自衛隊に匹敵するぐらい大きな役割を果たしたと思っております。

 大臣は、震災後に大臣に御就任をされました。国土交通省の震災直後の初動の状況について、大臣、評価をされるところと、こういうところは今後さまざま起きるであろう予想される事態に対して改善をしていったらどうかというような御所見がありましたら、まずお伺いをいたしたいと思います。

前田国務大臣 山本公一委員の今のお話、その九日のお話を聞きながら、当時の大畠大臣が当委員会等の議論の中でいろいろと御教示をいただきながら十一日を迎えていたんだなということを想像していたわけでございます。

 あの当時、私は実は参議院の予算委員長を務めておりまして、十一日を境に、参議院は非常に厳しい、いわば激突の場であったわけなんですが、その時点で、むしろ国を挙げて、各党各会派が協力して、まずは救出、救援、復旧に当たらねばいかぬというような議論になりました。その後の議論の中でも、国土交通省、特に東北地方整備局、運輸局等が果たした役割について評価をいただくいろいろな場面がございました。

 そんなことも含めて、先生方の方が、あの当時、ここでいろいろ御議論を続けていただいたわけでございますから、よく分析も評価もしていただいたと思います。

 初動においては、大畠大臣のもとに、緊急災害対策本部を直ちに、たしか四回開催しているようでございますね。全省で情報や対応方針を共有して、一丸となって災害対応に取り組み、あそこからテレビ会議で現地の徳山地方整備局長と連絡をとった。

 しかも、私、大畠大臣が非常に指揮官として、総司令官として立派だったなと思うのは、責任は全部自分がとるから、現場の対応については、地方整備局長、自分の判断で直ちにやれというようなことを指示されたようですね。そういったこともあって、TEC―FORCEと言われるような緊急災害対策派遣隊なんかも直ちに組織されたというふうに聞いております。リエゾンも派遣した。こういったのは、被災に遭われた地帯、あの当時の悲惨な状況、混乱ぶりを考えると、リエゾンなどというのもどれだけ心強かったかなというふうに想像をするわけであります。

 そして、さらに言えば、事務所ごとに、地域の建設業者、信頼できる優良な建設業者さんと何か協定も結んでいたようでございますね。だからこそ、あのくしの歯作戦というようなことも可能になったんだろうと思います。

 そういう意味で、先ほど申し上げたような、国土交通省の、特に現場が持つ、整備局、事務所を通じて持つその現場力、統合力、そして即応力というものは、委員が言われたように、自衛隊にしても、啓開、三陸まで道路がつながらなければなかなか現場に行けないわけでございますから、また、実力部隊ではありますけれども、どういうような作戦で対応するかという、その作戦というのはやはり国土交通省においてTEC―FORCEなんかが中心になってつくったわけでございますから、そういう意味では、私は、評価されてしかるべきであろう、こういうふうに思います。

 しかし、これからのことを考えると、やはりああいう大規模な災害になってまいりますと、一地方整備局ではおさまらない。結果としては、あの東北震災においても、オール・ジャパンでTEC―FORCEも出しておりますし、機材なんかもオール・ジャパンで出しております。そういう意味で、直ちにオール・ジャパンで統合できるような、そういうような装置も必要ではないかというふうに反省もしております。

山本(公)委員 今、オール・ジャパンということを言われましたけれども、まさにあのとき、ある意味で組織的にオール・ジャパンの体制をとれたのは自衛隊と国交省だけだと私は思っているんです。そういう意味において、これからもそういう体制をとっておくのが、この国の国土交通行政にとってみれば、言ってみれば大切なインフラだろうと私は思っております。

 それと、もう一つおっしゃっていただいた、やはりあのときの大畠さんが偉かったのは、責任は全部自分がとるからと、どこかの総理大臣と違って、わからないことにしゃしゃり出ていくことはまずなかった。その辺は大畠さんは偉かったなと私は評価しております。

 その中で、言ってみれば、さっき望月委員もおっしゃった地方整備局の、地方主権で廃止だというような話が随分出てきておりまして、実は私の四国なんかは、基礎自治体の首長さんは全員が残してくれという強い要望を持っております。もし四国に東北のような震災が起きたときに果たしてということを考えたときに、やはり四国地方整備局は残ってもらいたいというのが切実な首長さん方の思いなんです。知事さん方も、知事が四人おられますけれども、四国の知事は余り地方整備局のことはおっしゃいません。ほかのところについては言われますけれども、余りおっしゃいません。

 そういう状況でありますので、先ほど来お話し申し上げたように、一朝有事の際に組織的にオール・ジャパンの体制をとれるのは、やはり整備局であり、また自衛隊だろうと思いますので、そういう観点からも、ぜひ大臣、国土交通省の思い、また国土交通省に期待をする地方自治体の思いをあらゆる場で出していただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 何か、何十年以内に何十%の確率で起きますよというような報道が毎日のごとくされている昨今でございますので、地方も身構えております。身構えておる地方に対して、逆に不安になるようなことをあえて政府がする必要はないと思いますので、そういう観点からも、ぜひ国土交通大臣のお立場を強く前に出していただきたいな、かように思っております。

 時間がないので、次々質問させていただきたいと思います。

 今、東北で、高台移転ということで地元の復興計画が着々と表に出てきております。このことについて、実はちょっといろいろなことで聞きますと、では移転をされる方がもとの土地をどうやって処分するかという話がいろいろと地元で、何といいますか、解決策がないような情報が伝わってきております。

 震災前の価格でどうですかという話もあるやに聞いておりますけれども、私は去年、伴野委員長のもとで、国土交通委員会でニュージーランドのクライストチャーチに視察に行きました。あそこは二月に大地震が起きたんですけれども。クライストチャーチのところの復興庁の、あれは次長だったと思うんですが、彼の説明を聞きましたときに、あそこではリーマン・ショック前の値段で買い取ろうとしているんです。つまり、一番高いときの値段で皆さん方手放していただけませんかというような提案をされているそうだと聞きました。

 日本では逆に、震災前の値段であるとか、そしてもっとひどいところは震災後の現状の値段であるとか、そういうような話が伝わってきております。

 本来のところは、やはり高台に移転するということが主たる目的であるならば、その移転費用も要るでしょう。もう国がある程度面倒を見るというつもりであるならば、ある種の、今のニュージーランドのような発想もあっていいのではないかと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

前田国務大臣 私自身は、国土交通大臣としてその範囲で申し上げるなら、公共事業用地を取得する場合の考え方に準じてということにどうしてもなります。

 ただし、議員も言われておりますように、売却する被災地ですね、住民たちが今までいたその被災地の評価額というのは不動産鑑定士にきちっと評価をしていただくわけでございますが、その評価額というのは、今、例えば津波につかって全く価値がなくなっている土地の価格ということではございません。それが計画に従ってまちづくりをやって復興した場合にあるべきであろうそういう価格を現在価値に引き戻すというような手法でございますから、平均すると七割とか八割だとか、その程度の価格になるというふうにお聞きはしているところであります。

 さらに言えば、要するに復興するわけですから、議員御承知のように、交付金であったりいろいろな対応策等をとっておりますから、トータルで考えると、とにかく個人の御負担というのはなるべく少なくするということになっております。

山本(公)委員 やはり非常時なんです、復興の段階においても。あのときだけが非常時じゃないので、復興の段階においても非常時だという意識を持ったときには、ある種の剛腕がやはり喜ばれるときがあるんだろうと思います。こういう観点もあるということを、実際にやっている国があるわけですから、ぜひ参考にしていただければなというふうに思っております。

 ところで、やはりこれは、復興地における話題になったといいますか、我々最初に聞いたときに、えっと思ったのは、いわゆる入札の不調問題です。

 御承知のように、四国、九州、まあ全国各地といいましょうか、建設業は今大変な大不況にあります。仕事がない。たまに仕事が出ても、言ってみれば一般競争入札で激しい競争があって、なかなか利益の出るような落札価格では仕事が来ないというようなのが全国的な現状であるにもかかわらず、東北で、事情はよくわかります、いろいろな事情があるんだろうと思いますが、不調が起きてくる。この乖離は一体何だろうと思ってみたりしたのがあの瞬間でございます。

 きょうは内田建設産業局長が見えていると思いますけれども、要するに、この問題は東北三県だけの問題ではないという意識を役所は持ってもらいたいんです。この問題はある意味で全国各地の建設産業に波及する問題なんだという意識を役所はぜひ持ってもらいたい。

 今回、大臣の所信の中で、建設産業についてはたった二行書いてあります、たった二行。その二行、「建設産業については、国土を守り、生活を支える建設企業の再生や技能・技術の承継等を図り、その再生・発展に取り組んでまいります。」と書いてあるんです。

 これは、東北三県だけのことじゃないと思います。東北三県も、実際問題、建設産業がかなり疲弊をしていて、ああいう状況が起きていて、大変今御苦労をされていると思います。政府として、これは東北三県だけの問題ではないですよね、全国的な問題ですよねという意識だけは持っておいていただきたいなと思います。ぜひお願いします。

 それから最後に、道路問題についてちょっと、確認といいますか、お願いを申し上げておきたいと思います。

 あの東北の震災の後、いろいろな方面から、東北の高速道路が生きていた、生きていた高速道路をうまく有効に使おうではないかという中で、無料開放という言葉で無料化をしました。その無料開放を最初にやった段階では大混乱を生じて、見直しをして、新たにまた無料開放という世界ができていったと思うんですけれども、これは、無料開放して、実際に東北の観光地や何かにお客さんがたくさん行きましたか、台数がふえましたか。道路局長、わかりますか。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がありましたように、無料開放、昨年の六月二十日からスタートいたしまして、十二月からは三次補正の予算措置もいただきまして継続をいたしております。

 観光などの観点から効果があったかということでございますが、実は、観光施設の入れ込み客数などについてはちょっとまだ十分なデータがないんですけれども、交通量という観点からはデータがございまして、無料開放の前と比較いたしますと、場所によって違いますけれども、平日で二割から八割程度交通量が増加するということで、多くの方々に御利用いただいているということで、地域振興にも一定の効果があったのではないかというふうに考えています。

 ただ一方で、交通量が増加いたしますと、どうしてもやはり高速道路の本線での渋滞といった課題も出てきているという状況でございます。

山本(公)委員 大臣、効果があったとするならば、もう間もなくこれは期間が切れますよね。今後、この扱いはどうされますか。

菊川政府参考人 今ほど申し上げましたように、平成二十三年度の補正予算で今実施中でございますけれども、大変厳しい財政状況のもとで、平成二十四年度の予算については計上されておりません。

 四月以降どうするかということにつきましては、避難者を対象にした支援などについて今やっております措置の見直しを含めて、今、高速道路会社と相談しながら検討している状況でございます。

山本(公)委員 まだまだ、あの東北の現実を見るときに、全くゼロという世界はちょっと乱暴過ぎるかなという気が私はいたします。さりとて、全国的な一つの不公平感という観点からいくと、ある種の道路というものに対する料金体制というのは今後も見直していかなければいけない状況になってきておりますので、その辺のことについては、根本の背骨だけはしっかりとしながら、四月一日以降、東北の現実に即した一つのいい方法をぜひ考えてもらいたいなというふうに思っております。

前田国務大臣 今、道路局長がお答え申し上げたとおりでございますが、三党協議というのがございます。それに沿って、二十四年度については予算計上はしておりません。

 ただし、有識者会議がずっと検討してくださって、今後の有料道路の料金のあり方についての中間報告といいますか、そういったものを出してくださっておりますから、そういうものも踏まえて今後検討を続けてまいりたい、このように思います。

山本(公)委員 大臣が言われたように、国交省の有識者会議でも高速道路の料金体系についてはさまざまな提言がなされていることは承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、ある意味からいったら、さっき冒頭申し上げましたように、国土交通行政の大転換を図らなきゃいけない、もうそういうときに来ているんだろうと思います。八ツ場のダムにしたって、八ツ場のダムをやめることによって、ひょっとしたら一朝有事の際に大惨事が起きるのではないかという議論さえあります。さまざまな高速道路も、同じように、避難路として、また堤防として、いろいろな役割を果たしたということが東北の教訓の中に入っております。

 そういう中で、全国的にはミッシングリンクがまだまだあるという状況でございます。私の選挙区ではありませんけれども、高知の太平洋に面したところ、この間からえらい騒がれて、大変大きな津波が来るであろうと言われておるんですが、あそこは高速道路がないんです。切れております、ぶつぶつに。ああいうところに高速道路があったら、多分、そのとき起こるであろう被害は最小で済むのではないかという東北の経験もあります。

 そういう意味において、もろもろ含めて道路というものの料金体系というのは全国的にやはり見直していただきたいなと。かつては、道路公団のときは、そろばんに合うとか合わないとかの議論でしたけれども、そういうことじゃないですよね。道路というのは、必要であるならば税金を使ってでもつくっていくのが本筋ですよねということは、やはり東北の教訓だろうと思います。ぜひその観点からも頑張っていただきたいなと思います。

 最後に、この前、大臣の所信を読んでおりまして気になったところが実はやはりありまして、「海運・造船分野においては、革新的省エネ技術の導入等を図るなど、世界有数の海運・造船国として国際競争力を強化してまいります。」これもたった二行なんです。今、海洋国家日本において海運、造船がどういう状況になっているかというのは、大臣御存じだろうと思います。もう戦後最悪に近いような状況に今この両業界はあります。

 私のところには、選挙区ではありませんけれども、今治造船があります。多分、三年先ぐらいしか船台は埋まっていないだろうと思います。どんどんその先がキャンセルになって、三年のうちにも、もうキャンセルした方がいいといってキャンセルするオーナーさん、船主さんもいらっしゃる。そういう状況で、造船会社も非常に今苦しんでいる。

 日本は海洋国家なんですよ。海洋国家から船が、商船隊が疲弊していなくなる、造船所もなくなる、それはやはりおかしいと思うんです。私はずっと言ってきたんですけれども、国家において保護すべき産業というのがあると思うんです。日本という国は、海洋国家、島国。であるならば、国家において何らかの、保護をするという表現がいいかどうかわかりませんけれども、育成するでもいいです、そういう観点が海運、造船の分野にはあっていいんだろうと思います。ぜひ大臣、お心にとめておいていただきたいと思います。

前田国務大臣 実は、国土交通大臣は、海洋政策担当大臣も兼ねております。

 きのうの夜、海洋関係の秋山会長さん、それと放送大学の來生副学長、この方も審議会の座長か何かをやってくださっていますが、お二人に来ていただいて、幹部を集めて勉強会をやりました。

 要するに、海洋基本計画の改定の時期が近づいてまいっております。そういう中で、海洋こそ日本の立脚する基盤でありフロンティアであるという観点から、今申された造船から商船隊から離島から、国土交通省がかかわる海事、港湾、海岸、非常に幅広いところを所管しております。そういった意味で、まさしく共有するものを持っておりまして、さらに進めさせていただきます。

山本(公)委員 ありがとうございました。終わります。