父が亡くなった時、その事実を私はあっさり受け止めた。
悲しいって思わなかった。
涙も出なかった。
なのに、
二日後、涙が出てきた。
三男を寝かしつけながら、涙が止まらなかった。
病院に行きたいと思った。
お見舞いに行った病院。
病院に行ったら父にまた会えるんじゃないかって。
そんなわけないのにね。
棺桶に入れてあげようって、昔父がよく吸ってたタバコを探した。
パッケージの記憶だけで探したら、もう名前が変わってた。
父の好きな食べ物も入れてあげようと思った。
甘いものが好きだった父。
糖尿病になってからは甘いものを必死に我慢してた。
だから、父の好きな甘いものを入れてあげたかった。
でも何が好きかわからなかった。
妹に『お父さんの欲しいものも入れてあげなよ』って言われた。
でも私は父の欲しいものなんてわからなかった。
タバコも好きなものも欲しいものも、
私は何も分からない。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
心にぽっかり穴が空いたみたい。
何もする気がなくて、ふとした瞬間には泣いてて。
それでも日常は進んでく。
やらなきゃいけないこともたくさんある。
子どももいる。
だから何もしないなんて出来ない。
最期ひとりだった父。
ずっとベッドの上で痛そうに苦しそうにしてるのを見るのは辛かった。
だから、早く痛みが無くなればいいって願った。
でもね、いなくなって欲しくなかった。
孫に会わせてあげたかった。
親不孝な娘でごめんね。
大好きだよ、お父さん。
