その十七 山登り
中学2年の夏休みの初め、朝早くグランドにクラス全員が集まり、バスで出発します。
隣の西条市の山の麓まで、約1時間弱でバスをおりて、1泊2日の登山がスタートしました。
3時間ほど登って、川が狭くなった場所で、ご飯を炊いて食べるチームに分かれます。
川の冷たい水でコメを洗い、かわらで薪を拾い集めて、火をつけて焚きました。
「夏山の 飯盒炊きの 旨さかな」
飯盒(はんごう)で炊いためしは、みんな旨いと言いながら食べています。
私は母の簡単なおかずで食べましたが、とても美味しい昼飯でした。
昼からの山道は、細くきつい上りの道が続きます。
笹ヶ峰(標高1860m)の山小屋についたのは夕方でした。
それから少し、段ボールで笹すべりをして遊びましたが、風が強く半袖の上にカーディガンを着ていてもふるえます。
「冷たい風の 笹ヶ峰 真夏の夕の 笹すべり 隣の山は 石鎚の 山が連なり 美しや 中二の山の 思い出よ」
石鎚山は、たぶんあの山だろう でしたが、景色と夏の寒さには感動しました。
しかし、夕食はあまり美味しくなくて、クラスの男女20人ほどに分かれての狭い部屋での雑魚寝(ざこね)は、嫌な思い出です。
「笹ヶ峰 山小屋狭し 夏の夜を 友と雑魚寝の 想い出苦(にが)し」
あれから40年後、六甲縦走や関西の山を登りはじめます。
金剛山では二輪草やミズバショウの群生、葛城山ではススキやカタクリの花、比良山系(ひらさんけい)では、琵琶湖や日本海に感動しました。
しかし、宿泊での山登りは、いつも断っていました。
あなたとの山の思い出は、六甲山やしあわせの村の山ではなく、四国八十八か所の雲辺寺の山をロープウエイで上り、いろいろ見て歩いたのが一番の思い出ですよ。
