ステーキ肉を塊から切る時にリンパの部分を残さないように切り取らないと、肉が劣化しやすいというのは正しいですか?
ご質問ありがとうございます。これは非常に重要なポイントです。
結論から申し上げますと、「正しい」と言えます。
牛肉の塊からステーキを切り分ける際、リンパ節(リンパ腺)や腺体( gland )と呼ばれる部分を残さない、または取り除くことは、肉の風味や保存性を高める上で非常に重要です。
リンパ節(腺体)とは?なぜ取り除くべきか?
1. 役割と特徴:
· リンパ節は、生体の免疫機能をつかさどる器官です。細菌やウイルス、老廃物などの異物が濾過・蓄積される性質があります。
· そのため、強い不快な臭い(獣臭や苦味、えぐみのもと) を持つ場合がほとんどです。
· 見た目は、周囲の脂肪や筋肉質とは明らかに異なり、くすんだ灰色や薄綠色、もしくはザラザラした質感をしていることが多いです。
2. 劣化への影響:
· リンパ節が付いたままにしておくと、その部分から臭いが肉に移ったり、腐敗の起点となったりする可能性があります。
· 特に挽肉(ひき肉)にする場合は、ここが混入すると味全体を台無しにしてしまうので、注意が必要です。
どう見分け、どう処理するか?
· 見分け方:
· 牛肉の塊を切り分ける時は、通常のサシ(脂肪)とは明らかに色と質感が違う部分がないかを注意深く観察してください。
· 通常の脂肪はクリーム色でなめらかですが、リンパ節は上記のように灰色がかった、ややざらついた固まりです。
· 処理の方法:
· このような部分を見つけたら、包丁の先でえぐるように、周りの肉ごと、あるいは脂肪ごと大きく取り除いてください。
· 少しでも「これは普通の脂肪と違うな?」と疑問に思ったら、迷わず切り捨てるのが安全で美味しいステーキを作るコツです。
重要な注意点:家庭で入手する肉塊の状態
ただし、一般の消費者がスーパーや精肉店で購入する「ブロック肉」や「かたまり肉」は、すでにプロの手によって余分なリンパ節や血管、傷んだ部分は丁寧に取り除かれている場合がほとんどです。
したがって、家庭で切り分ける際にリンパ節が残っている可能性は比較的低いと言えます。心配するよりも、まずは「いつもと違う部分がないか」を観察する意識を持つことが第一歩です。
まとめ
· リンパ節は臭みや劣化の原因となるため、発見したらためらわずに取り除くべきです。
· ただし、市販の塊肉は既に処理済みのことが多いので、過度に心配する必要はありません。
· 肉を切る際は、色や質感がおかしい部分がないか常に観察する習慣をつけましょう。
この知識は、特に直売所などで枝肉(えだにく)から直接ブロックを購入する場合や、ジビエ(鹿や猪)を処理する際に非常に役立ちます。安全で美味しいお肉を楽しんでください。