熱闘!後楽園 -75ページ目

smash18 by megane1964



熱闘!後楽園-megane1964
年を取ると、だんだんあっさりしたものが好きになるようで、四十路も半ばを過ぎたワタクシもご多分に漏れない。血の滴るようなステーキだとか、背脂ぎちぎちのラーメンなんて「別にいいや」ってかんじで、できればフグぞうすいだとか、鯛茶漬とか、そんなもので晩飯をすませてしまいたい、と日ごろから思っているのである。ただ、問題は、そういうあっさりシンプルな食べ物ってのは、素材が良くないとまるで料理の体をなさない、ってわけで、いい素材を使うとどうしても高値(こうじき、と読んでね)になってしまうから、なかなか口に入れることができない、というジレンマに陥ってしまう。仕方がないから、中くらいの素材で、いろいろと技術を使った料理を食べて…何とか心腹を満たす。ひとり者のぜいたくではあるが、そんな生活を送っている。


 まあ、「素材が良ければ味付けはシンプルでいい」という方程式は別に料理に限らないわけで、まったく興行の世界もそうなのである。いい役者といい演出家、いい作家がいれば、芝居なんて単純なものが面白い。プロレスだって、いいレスラーがいいコンディションでちゃんと組み合わされていれば、シンプルな試合形式が一番面白かったりもする。


 で、SMASHだが、ワタクシが最近見ているプロレスの中では、前宣伝からアングルの作り方、当日のVTR演出など、とにかくもっとも、いろんな技巧を駆使しまくっている団体である。手を変え品を変え、とりあえず様々な話題を大会前には提供してくれる。


 今月今日の「SMASH18」もそうで、「天龍源一郎参戦」→「シングルで負け知らずのマイク・コバックとの対戦」→「コバックが、勝ったら天龍さんの娘を自分のビッチにするぞ、という」、「リン・バイロンが華名を醜いビッチと罵倒」→「勝った方が負けた方の乳をさらす、と華名が応酬」、「かつてタッグチームを組んでいた飯塚との対戦を前に、AKIRAがどんどん精神を病んでいく」「大阪プロレス参戦の児玉が、若手同士の戦いには負けられない、という」→「対戦相手の石川が、自分の試合を若手というカテゴリーでくくってほしくない、とクレーム」――などなど、いろんな煽りが試合前に展開されていた。「シンプル・イズ・ベスト」のワタクシではあるが、面白い煽りには乗ってもいい、と思っている。だけど、こんなに仰山あるとやねえ…。などと思いつつ、南側中段やや左の指定席に落ち着いたのだった。


 ちなみに本日も、北側客席は全部潰して登場ステージ+スクリーンという、おなじみのSMASH仕様。8割程度の客席は埋まっていたかな。これは、「天龍効果」が大きい、と見た。


 当初の「本当にいい素材はシンプルでいい」理論から言うと、こうゴテゴテ飾っているものの出来は推して知るべし。で、現実も、その公式から大きく外れることはなかった。第一試合、児玉vs石川。他団体に行けばジュニア・ヘビーでも上がれる石川がスーパーヘビーに見えちゃいけないよね。第三試合、ゼウスとボディガー(THE BODYGUARDというリングネームだけど、こう聞こえるし、こう書いた方がカッコよくね?)のタッグチームの筋肉ムキムキぶりは見てて楽しいけど、矢郷さんと木藤が相手では、魅力の3分の1も出せてないんじゃないの? 第五試合、TAJIRIとFUNAKI、確かに曲者対決だけど、曲者は正統派と闘ってこそ面白さがでるんじゃないのかなあ。


 期待していたセミファイナルの天龍さんは、逆水平を何発かコバックに見舞ったものの、グーパンチはなし。コバックの下僕のリンがいろいろトンファーで持って突っかかっていくムーブが多くて、肝心のコバックとのレスリングが少なかったのが残念。最後は丸めこみを切り返して勝ったけど、どうも天龍プロレスの醍醐味を出してくれたとは言い難い。あんだけ、「勝ったらお前の娘をビッチに」とか言ってたわりに、娘さんは顔を出さないし…。うーん、消化不良だなあ。


 第四試合の志田vs朱里も案外。先月のアイスリボンでこの二人のタッグが面白い試合になったのは、やっぱりさくらえみの受けのうまさがあったからだとつくづく痛感。ただ、試合を決める直前の朱里の蹴りには説得力があったけど。メーンの大原対ウルティモ・ドラゴンは、普通に面白い試合。

第二試合のリンvs華名は、華名の良さだけが目立った。トンファーを持ったリンのヴァイオレントな攻撃の波をうまくやり過ごすと、離れては蹴り、近づいては締め、の非常に論理的な戦いぶり。ただねえ。「乳を出す」と公約したんだから、ジャンプスーツのジッパーをちょっと下げて、ウリウリしただけじゃつまんないんじゃないかなあ。エロに走れとは言わないが、公約したことはやってくれないと。ブラが見えて、恥ずかしそうにリンは走り去ったけど、普段から、ジャンプスーツのそのあたりまでは露出させているわけだから、このくらいでオタオタしたら、「ビッチ」の名前が泣くってもんだよ。


 むしろ面白かったのは、第四試合のAKIRAvs飯塚。飯塚の、お定まりの場外を荒らしまわっての入場の後、出てきたAKIRAがすごかった。頭の右半分を坊主にして、白塗りして、青で歌舞伎の隈取風のメーキャップをして、日本刀を持っての入場。「精神を病む」アングルの中に、自分で自分の髪の毛をむしり取っている、というムーブがあったけど、ここまでやるとは思わなかった。そのガイキチ風の格好で、飯塚と場外乱闘するは、凶器攻撃の応酬をするは。場外へのプランチャー2連発、リング内でのむささびプレス2連発と、AKIRAはなかなかの切れっぷり。2発目のプレスを何とかアイアンフィンガー・フロム・ヘルで撃退した飯塚が、レフェリーを場外へたたきだしての反則負け、という決着も、今後の遺恨につながりそうでなかなか。



 この試合、料理のたとえでいうと、「中の上の素材を、腕のいい料理人が技巧の限りを尽くして仕立てた」って感じ。AKIRAは、あんな頭にして、今後どうするんだろうねえ、とは思ったが、こういう風にアングルを徹底してもらえると、見ている甲斐がある、というものだ。


 今大会で新たに生まれたストーリーもある。天龍に負けたコバックがリンを殴打、置き去りにして帰り、コバックとの試合から逃亡したはずのキム・ナンプンがリンに肩を貸して退場する、という風に。でもねえ、あんまりアングルを作りすぎると、せっかく創設したベルトをめぐるトーナメント、という大きなコンセプトの印象が弱くなってしまうんじゃないかなあ。せっかく天龍さんという超一流の素材が来たのだから、いろいろ整理して、もう少しシンプルにした方がいいんじゃないかなあ。それとも……。


 ま、いろんなことを感じたのでありました。


 結果は、いずれここに出るでしょう。

http://www.smashxsmash.jp/




6.8 「THE GATE OF MAXIMUM」開幕戦 by チャン・マメルトン

プロレス界のホットスポット…初めて観たドラゲーの印象を言葉にするなら、まさにそんな感じだった。

ホットスポットとは、生物進化の過程で独特の変化を遂げた結果、他の地域では生息していない生き物が数多くいる場所で、その代表例としてガラパゴスやオーストラリアなどが挙げられる。
ドラゲーもまさに同様で、若くてイケメンの軽量級の選手が中心で、音楽やライティングを駆使した演出は、さながらクラブのよう(行ったことはないけど)。あるいは空を飛ぶホストクラブの兄ちゃんたちの集まりか。

また予想以上に男性客が多かったが、若い女性だけで来ている人も多く、一目見てすぐに分かるいわゆる「どこに出しても恥ずかしい」プロレス者風の人も少ない。実際、この団体しか見ない客も多いそうで、まさに独自の進歩を遂げてきた団体と言えよう。


さて今宵の会場だが、団体発表では満員の2000人。確かに東西はほぼ満席だったが、南北には割と空席があった。試合開始の6時半時点で、1階当日券売り場で売り切れていたのは立ち見の3,000円のみ。全体では8割の入りではないだろうか?

試合前、八木レフェリーとリングアナが登場。スクリーンの設置はなく、この2人のやり取りで試合の見所を案内するのだろうと認識。昨今、映像を使った案内が多いが、逆に変なアングル作りに活用されている例も少なくないので、このシンプルさは良し…と思いきや、その後第一試合で双方のユニットが交互に出てきたので、結果的に前説程度の位置づけになってしまった。

第一試合、スペル・シーサー、ドン・フジイ 対 Gamma、リッチ・スワン。スペル・シーサーの入場と共に、緑のTシャツを着た面々が登場。その中で唯一知っていた望月成晃がマイクを持って、新ユニット名を「ジャンクション・スリー(以下J3)」としたこと、今日は全勝を狙うなどと長々とアピール。あれ、試合はいつ始まるんだろう? などと思っているとパートナーのフジイ入場。続いてGamma、リッチ・スワン組も入場。あれ、Gammaって以前大阪プロレスにいた、あのGamma? あの時はマスク被っていたような? いつから素顔になったの?

と書いたように、このドラゴンゲートについてはまるっきり予備知識がない。大体、前身の闘龍門JAPANから名称変更をして既に7年経つのに、その間全く観たことがなかったし、さらに闘龍門時代に遡っても観ていない。いわゆるルチャ系の団体は、当時仕事で観た大阪プロレス以来約10年ぶりの観戦。別にキライではないんだけどなぁ…。

で、この試合だが実はあまり観ていない。ロビーに出て電話応対などをしていたのだが、会場からは笑い声が何度も響く。あぁ、そういう試合なんだと思って席に戻ったら、スペル・シーサーがリッチ・スワンから3カウントをとって試合終了。

そうしたら直後に、今度は青いTシャツを着た面々が登場。いきなりGammaを袋叩きにした後に、こちらも長~いマイクアピール。どうやらGammaがブラッド・ウォーリアーズ(以下BW)から追放されての制裁らしい。あぁ、こちらのユニットがヒールなわけね。確かに口調も態度もヒールっぽくしているけど、でも何だかプロレスというより劇場でベタな安っぽい芝居を観ている感じで何ともヘン。以前、megane1964さんも指摘していたが、正義と悪という闘いの構図は必要なのかなぁ? 一見分かりやすそうなんだが、予備知識なく観た者にとっては登場人物の相関関係がゴチャゴチャしていて、却ってちんぷんかんぷん。先が思いやられる。


第二試合、谷嵜なおき、トマホークT.T vs 横須賀享、KAGETORA組。これもJ3とBWの抗争。トマホークT・Tの売りが、ドラゲーNo.1の逆水平の使い手とか。確かに良い音はさせていたけど、でもルチャのイメージと違って随分ゴツゴツした試合をするなぁという印象。
この試合に限らず、全体としてヘビー級のような試合を展開していたのは何故なんだろう? これも独自の進歩をした結果なのかな? これがドラゲーという団体なの?


第三試合、新井健一郎 vs 岩佐拓。この日唯一ユニット抗争とは関係ない試合だからか、ストリップ劇場での幕間のコントのように見えた。それにしても、新井に何故こんなにも声援があるのだろう? 別に上手いとかすごいとかという選手でもないし、特攻服姿ならかつてLLPWにいた女子レスラーの紅夜叉の方が断然様になっていた。


第四試合、サイバー・コング、リコシェ vs ドラゴン・キッド、PAC組。体は作っているが線の細い選手が多い中で、サイバー・コングはボディビル系で明らかに異彩で太く見える。
試合自体も、ここまでの中では良かった。印象深いのは出される技の数々で、他の団体ではない、あるいは滅多にお目にかかれない技が次々と出てきた感がある。スピードとキレがあって、しかも高度。技を受ける側の合わせ方もあるんだろうが、とても一朝一夕には出来ない技が多かった。この点でもホットスポットだったか。


休憩を挟んだ第五試合、堀口元気、斎藤了 vs 鷹木信悟、B×Bハルク。ところがいきなり試合不成立。 B×BハルクがJ3を裏切りBWへ。そしてメンバーと共に鷹木を袋叩きにし、鷹木は大流血。そこにJ3のメンバーが救出に登場。以後、双方マイクを使って展開するのだが…。

しかし、ストーリー作りを引っ張るなぁ、まだ続くのかと初観戦者は辟易。でも、団体と常連さんからすれば「♪私たち これからいいところ~」となるのだろう。第一試合に登場しヘタレキャラ化していたGammaがJ3側に、それから…(中略)…となって、両陣営が出揃っての10人タッグマッチに。ますます分からない展開になってきた。

試合内容は、確かに各選手の身体能力の高さ、独特の見得の切り方など観るべきものもあり、観客を十分に満足させていたと思う。ところが…試合後もさらにマイクアピール合戦が続いたのだが、面倒なのでもう書かない。


結局、今大会はJ3とBWの抗争がいよいよ始まるという序章だったようで、大河ドラマに例えれば第一、二話くらいに相当するのか。だとすれば、常連さんや予備知識がある人たちは、今後への期待感を持って観ることが出来たのだろう。でも、初観戦者からすれば存分には楽しめなかったし、もっと各選手の力量や技を見せて欲しかったというのが本音。事実、この団体を「劇団四季みたい」と称したmegane1964さんも、過去3回で一番つまらなかったと感想を述べている。

もう一度書くが、このような正義と悪の闘いの構図は必要なのかなぁ? 芝居崩れのような下手な演技とベタなストーリー展開も、やっぱり求められているのかなぁ? 各選手のアスリートとしての高い能力をベースにした闘いの構図でも、この団体は十分に応えられると思うのだが。ホットスポットであるが故に、現有選手たちの役割や配置を変えてストーリーを展開しなければならない難しさが見えた気がした。


余談だが、リング上の選手たちが実際の体以上に大きく見えた。同じようなサイズの選手を集めているのもあるが、よく見れば四方の鉄柱の高さが他団体より低く、同様にトップロープの位置も低い。他団体の大型レスラーたちはトップロープの位置が概ね脇の下あたりにくるが、身長が10センチ以上低いドラゲーの選手たちも同じような位置にトップロープがきていた。だから、見た目ではほぼ同じ。こういう工夫もあるのかと感心した次第。


ところでホットスポットに生息する生き物の多くは、実は現在絶滅の危機に瀕している種が非常に多い。主たる原因は「外来種」。固有の生態系を容赦なく破壊してしまうのだ。例えるなら、もしドラゲーに他団体の大型選手が数多く参戦したら? もちろん他団体と関わると違った展開が出来ると思うのだが、それでも頑なに純正に拘るのは、このホットスポットを絶滅の危機から守るという意味もあるのだろう。

様々な面で独自の進化を遂げ続けている“ホットスポット”ドラゴンゲート。他にはないプロレスを観られるリングである。


それにしても、この礎を築いたウルティモ・ドラゴンは改めて偉大だと思う。大男限定だった領域に、小さい人でもレスラーになれる機会を作り、それが存在し続けているわけですから。まさに創造主だったわけだ。


試合結果はこちらへ
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/2011/2011060802/index.html

ディック東郷みちのくラストマッチ by megane1964






熱闘!後楽園-megane1964


 5月29日に仕事で京都に行って、太秦の映画村に行ったのだが、これがまた梅雨前線が元気だったうえに今年最初の台風、という最悪な状況。40歳台も半ばを過ぎた現在、「持ってないなあ」と我ながら苦笑してしまった。若いころは、結構ラッキーに恵まれたもんなのにねえ。土砂降り一歩手前、という悪天の中、太秦の街を歩き回り、へとへとになって帰った翌日、クーラーをつけっぱなしにして寝たのがたたり、のどと頭がガンガン痛む。つまりは風邪である。会社には這うように行っていたのだが(それでも水曜は休んだ)、アフター5は芝居も落語も何も見ず(あ、火曜日にKERAは見たな)、ひたすらバラモン兄弟が通り過ぎた後のリングのような部屋で、体力回復のための睡眠に励んだのでした。





 で、ようやく社会復帰した最初の後楽園が「みちのく」である。岩手とか青森とかのディープ東北には、個人的にも仕事的にもあまりつながりがないので、なかなかリアルタイムでその試合を見ることは少ないのだが、映像や活字情報を通じて、一応の事は知っている。というより、好感を持っている。しっかりルチャをやりながら、「宇宙戦争」なんて、アホなアングルを考える団体なんだからねえ。1990年代後半のWWEにはまった身としては、白使(パクチー)とかカイエンタイとか、おなじみだったからねえ。考えてみれば、この団体、在籍していた「レジェンド」が多いんだよねえ。人生さんとか、サスケさんはもちろん、TAKAさんとか、FUNAKIとか。





 本日は、その「レジェンド」のひとり、ディック東郷の「みちのくラストマッチ」である。20年前のこの日、みちのくでデビューした「レスリング・マスター」が、今月いっぱいの「日本での引退」を前に上がる、最後のみちのくリングである。昔からのファンからすれば、さぞかし感慨深いものがあるだろう。そんなに思い入れのないワタクシも、少しは頭が垂れる思い。後楽園ホールはフルサイズで七割程度の入りである。





 相手は当然、デビュー戦の相手でもあったサスケである。とはいえ、ちょっと残念なのは、新日本「スーパーJr」に参戦中のサスケ先生、肋骨を痛めていることである。テーピングしてリングに上がる姿は、さすがに痛々しい。東郷の体がますますシェイプアップされているだけに、コントラストがなおも目立つ。とはいえ、記念の試合である。サスケもふだんのわけのわからんムーブを見せず、真摯に試合に入っていく。ロックアップ、腕の取り合い…、リング外にたたきだした東郷に、ドロップキックを見舞っても見せる。





 ただ、手負いの身は手負いの身。肝心なところで東郷に技をかけきれず、徐々に流れはサスケから離れていく。得意のダイビング・セントーンをいったんは回避したものの、徐々に守勢一方に追い込まれる。そして、青コーナー付近で、東郷がぺディグリーの体勢に入った時に――。





 “反正規軍”である「九龍」の野橋太郎とラッセが乱入。「レジェンド」ふたりをぶちのめし、試合をぶち壊してしまうのであった。野橋、といえば、昨年の「宇宙戦争」ではキンキラの宇宙人をやっていて、ワタクシ的には「面白いヤツ」だったのだが、本当は「悪いヤツ」だったのか。こんの、せっかくのメモリアル・マッチを滅茶苦茶にしやがって……。





 と会場に怒りが充満しかけた時、東側の花道からひとりのマスクマンが走り来る。野橋とラッセから、ふたりを助け出した、その人とは――。





 あらわれたのはなんと、もうひとりの「みちのくレジェンド」、スペル・デルフィンであった。そして、デルフィン、サスケ、東郷の3人は急きょタッグを組み、野橋、ラッセにウルティモ・ドラゴン(この人も「レジェンド」ですな)を加えた3人と、タッグマッチに挑む。デルフィンが華麗にスインギングDDTを決めた後、東郷が野橋にぺディグリーからセントーンの「必殺コース」を見舞って3カウント。「引退する前に、デルフィンさんと和解しておきたかった」という東郷のマイク・パフォーマンスに大拍手が起きたのだった。





 サスケが本調子だったら、こんな展開にしただろうか。粛々と30分試合をして、ドローで2人の手をレフェリーが上げたんじゃないだろうか。この6人タッグは、まさに「けがの功名」だったのかもしれない。でも、デッィク東郷のみちのくラストマッチには、こういう形がふさわしいのではないか。「みちのく」の歴史を感じさせる試合だった。





 個人的にステキだな、と思ったのは、この試合がメーンではなかったこと。休憩をはさんだ「みちのくイリミネーション」は、「正規軍」と「九龍」を代表する5人ずつがコーナーに分かれ、「通常ルール+オーバー・ザ・トップロープ」で、「最後に勝ち残り者を出した方が勝ち」という試合に臨んだ。





 ちなみに、「九龍」は、佐藤恵、秀(バラモン兄弟ですね)、景虎、南野タケシ、フジタ“Jr”ハヤト。「正規軍」は、剣舞、ヤッペーマン1号、2号、Ken45、拳王。つまりは、若手、中堅のバリバリの試合を東京者に見てもらおう、ってこと。





 こういうバトルロイヤル的な試合は、ワタクシ、あまり好きではないのだが、今回は面白かった。それぞれの個性が明確で、色がどんどん変わっていくからだ。剣舞はいかにもルチャな戦いぶりで、619なんか決めるし、バカ兄弟は相変わらずの暴れぶり。恵が秀に墨汁ミストを誤爆するひとこまもあったりして。





 最後に残ったのは、ハヤトと拳王、両チームのエース。双方とも蹴りが得意だから、バシバシミドルを打ち合って、「おー、スーパーJrのハヤトvs金本みたいだな」と思っていたら、拳王がアンクルホールドに行ったのでびっくり。もういっぺんびっくりしたのは、拳王のドラゴンスープレックスを何とか逃れたハヤトが、スタンディングの体勢からKIDに行って拳王を締め落としたこと。本当に、金本戦がフラッシュバックしたようだった。





 「レジェンド」を「レジェンド」として立てながら、1番いい所は、これからの若い者に任せる。何というか、サスケとか東郷とかには、ベテランとしての心の余裕があるよね。第二試合の人生vsつぼ原人なんかも、マニア心をうまくくすぐる面白プロレスだったしね。ワタクシ的な「みちのく」の好感度は、さらに上がったのでした。





 試合結果は、いずれ更新されるであろうこちら  http://www.michipro.jp/index.htm


を見てくださいね。