熱闘!後楽園 -72ページ目

ディック東郷国内引退興行その2 by megane1964


熱闘!後楽園
 えー、少し言いすぎました。いくらディック東郷国内引退興行とはいえ、他の試合を「記録するに値しない」は、レスラーの皆さんに大変失礼ですね。なもんで、頭を丸めてみました。何ちて。


 メーン以外の5試合で、印象に残った場面を少しだけ、書いておきましょう。えー、もうひとつ、書き忘れていた会場のしつらえを。北側の座席を半分強潰し、上にスクリーンを吊るす、いつものDDTスタイルです。上手に記者席、下手に実況などの関係者席。大日本の27日ほどではありませんが、約9割、ほぼ満員の入り。当日のバルコニー席にも、結構人が入っています。


 結局、メーン以外の5試合は、ディック東郷さんゆかりの人々が入れ替わり立ち替わり登場したのでありました。楽しかったのは、第2試合。新崎人生、気仙沼二郎vsツボ原人、タカギ原人の試合。


 みちのくプロレスで、人生vsツボ原人というのは、それこそ第二試合、楽しいプロレスの位置にあります。もともと藤原組だったツボ原人は、プロレスの基礎がちゃんとあるので、パロディ的なムーブに説得力がありますし、アイデアも豊かです。どっかの団体に見せてあげたい。で、パートナーを組むタカギ原人って…。まあ、大体、想像はつきますよねえ。例の大社長です。ホントにこの人は、こういうワルノリが好き。


 顔を緑に塗った大社長は、マイケル中澤の首に縄を付け、引きずりまわしながらの入場。マイケルは偉いねえ。こういう汚れ仕事を嫌がらない。いつものように、人生が「拝み渡り」を披露し、ツボ原人が大胸筋ピクピクをした後、大社長がゆずポンキック。なんか、大社長のこの技も、いつの間にか定番になってきましたねえ。で、今度は人生に手をひかれ、大社長が「拝み渡り」。ロープから落ちて股間を打つお約束のムーブがあって、人生が大社長をフォールしたのでした。


 もう1試合紹介しましょう。第3試合は「ガントレット・タッグマッチ」。5つのタッグチームが勝ち残りで試合をしていき、最後までリングに立っていたチームが勝ち、という試合形式です。


 まず、登場したのは、HANZO、MEN‘sテイオーvsグラン浜田、スペル・デルフィン。いやあ、懐かしいですねえ。デルフィン組が勝ち残り、やってきたのは、飯伏公太、男色ディーノの人気者コンビです。飯伏はいきなり飛びまくってるし、ディーノは思い切り浜田の股間をつかんでいる。浜田先生、取り乱してレフェリーに暴行を働き、人気者コンビの勝ち残りです。


 次に出てきたのが、マサ高梨、KUDOコンビ。いきなりマサにディーノがディープキス。「男色殺法」が炸裂しています。場外では飯伏がバミューダ・トライアングル。おや、隙をついてマサがディーノを丸めこんでるぞ。


 続いて登場は,GENTARO、ヤス・ウラノ。マサからヤスが3カウントを取ると、その勢いで、HARASHIMA、星誕期コンビも撃破します。最後に出てきたのは、石川修司、諸橋晴也。「あれ、諸橋はビック村上からビックを譲られたんじゃなかったっけ」と思っていたら、ヤスが諸橋から3カウント。レジェンドから純DDTまで、カラフルなメンバー。スピード感もあって楽しめたのでありました。


 第5試合、邪道、アントーニオ本多vsグレート・サスケ、TAKAみちのくのタッグマッチも趣き深かった。アントーニオがレスリングマスター3人に囲まれているんだからねえ。やっぱり今のDDTのエースはアントーニオなんだねえ。


 一気にセミファイナルまで2時間余り試合を見せて、休憩後はディック東郷vs外道、という構成も良かった。メリハリがついたよね。結局、いろんなセレモニーを終えたら午後10時だったけど、まあ、仕方ないかなあ。なにしろ、ディック東郷さんにとっては特別な日だったのだから。他人の記念日にあれこれ言うのは、野暮ですよね。結果はこちらで。http://www.ddtpro.com/

ディック東郷国内引退興行~ikizama~ by megane1964


熱闘!後楽園-megane1964
 とても豪華な興行だった。セミファイナルまでの5試合で登場したレスラーは28人。みちのくプロレスのグレートサスケ、KAIENTAI-DOJOのTAKAみちのく、新日本プロレスの邪道……。名のあるレスラーたちが粛々とタッグマッチをこなしていた。ふだんの後楽園ホールなら拍手喝さい、というメンバーだ。


 だけどその、豪華なメンバーが登場した5試合をワタクシは、あえて、ここに記録するに値しない、と言ってしまいたい。それほど客席の目も、レスラーたちのまなざしも、最後の試合に注がれていた。メーンイベントはグレート東郷vs外道。この日唯一のシングルマッチは、“レスリングマスター”グレート東郷の国内引退試合だったのだ。


 1990年代後半のWWEにはまったワタクシとしては、あまりお上手ではない英語でマイクアピールをする日本人ユニットKAIENTAIはおなじみだったし、「プロレス開眼」したここ2、3年は、なにしろインディーズばかり見ていたから、それなりに東郷さんの試合は見ている。とはいえ、ユニバーサル時代がどうの、とかみちのく時代がこうの、という知識は、モノの本で読んだり、サムライで見たりして身に付けたものに過ぎない。ワタクシが知っている東郷さんは、<鍛え抜かれた身体でどんな相手でも立派な試合を作る、ハードボイルドなレスラー>である。「おもしろプロレス」が多いDDTに、プロらしいアクセントと重みを付けている、という点では、かなり好感を持っている。


 国内最終試合の相手になった外道は、ユニバーサルプロレスの先輩。若いころから本当に世話になりながら、今までシングルマッチをしたことがないのだという。現在は新日本プロレスに所属する邪道・外道は、鍛え抜かれた肉体としたたかな技巧で知られる国内有数のタッグである。


 入場してきた両者を見て、「似ているなあ」としみじみ思った。それまで、そんなこと考えてもいなかったのだが。坊主頭に近い短髪にバンダナを巻き、パンプアップされた褐色の肉体に黒のショートパンツを身につけている。東郷の方が少し筋肉がファットだな、というのが違いだろうか。思えば邪道も同じスタイルである。やはり出自は隠せない、ということか。


 さて、肝心の試合だが、マスター同士らしく、バリエーションに富んだ面白いものだった。最初の5分はロックアップしてからの腕の取り合い。徐々にグラウンドのせめぎ合いへと変わっていく。10分の少し前ころから、外道の蹴り、東郷のパンチと打撃戦に代わり、場外乱闘含みのラフファイトで外道が優位に立つ。


 リングに戻ってからは、勝負勝負と、それぞれが決め技を出し合いながら仕掛け合う。外道のフェイスロックで失神寸前に追い込まれた東郷が、お返しにジャストフェイスロックを決めてみたり。場外で東郷の見事なトペをモロに食らった外道が、スーパーフライで東郷を3カウント寸前まで追い込んだり。


 飛び技、関節、打撃、さまざまな技が、見事なタイミングで繰り出される。まるで「プロレスの教科書」みたいな試合である。気がつくと、青コーナーでアントーニオ本多がきちっと片方の膝を立てて、真剣な顔で見入っていた。西側のニュートラルコーナーには、途中、ラフ戦法に出た外道がはずしたコーナーマットを日高郁人が抱え込むようにしている。北側のスタンド前ではFUNAKIがマットをたたいて観客を煽っている。赤コーナー近くではTAKAみちのくがクールな笑顔を見せている…。


 ふと、東側の入場口付近を見ると、車いすに乗ったマスクマンがいた。ハヤブサだ。佐々木大輔、マイケル中澤…先輩後輩、古くからの仲間、新しい友、幾重にもリングを囲んだレスラーたちに見守られながら、ディック東郷はぺディグリーからダイビング・セントーンの「必殺コース」を決め、3カウントを手に入れた。あまりにも美しい、あまりにも様式的な、まるで「模範試合」を見せられたような思いだった


 試合後、マイクを手にした東郷は、「これが終わりではない。むしろ始まりだ」といった。これから1年か1年半か、海外でプロレスの旅を行い、ボリビアで引退試合を行った後、また、日本に戻ってきてその報告をするという。そして、自分がレスラーをやっていくについて、本当に世話になった4人の先輩の名前を挙げた。邪道、外道、グレートサスケ、そしてスペル・デルフィン。


 花束贈呈の「壮行会」の最後、握手を求めた高木三四郎大社長の手を握った東郷は、いきなり膝を入れ、ぺディグリーをかました。レスラーならではの愛情表現に、観客席は大きくわいた。仲間内から「大将」と慕われているというハードボイルドな男の、本当に男らしい笑みが、その顔に浮かんでいた。


 試合結果はこちらで。http://www.ddtpro.com/


平成23年6月27日 大日本プロレス by.ザ・スーター

【企業努力】
大日本にピッタリな言葉だと思う。
どうだい見てくれ、この客入りを。
こんなパンパンに入った後楽園ホール、メジャー団体でもちょっと難しいんじゃないかな。
ホントにココが、かつて長州力にボロクソに言われた弱小インディ団体なのかい?
会場全体を支配するファンの熱気に、私は早々に呑まれかけていたのであった。

ちょっと記憶が曖昧で申し訳ないが、私が大日本を観戦するのは、確か2年ぶりのことである。
どうやらその間に、団体のコンセプトは大きく様変わりしたようだ。
2年前の観戦時は、とにかくデスマッチに頼り続けるイメージが強かったが、それがどうだろう、今はしっかりとしたプロレスリングも見せてくれるじゃないか。
特に私が感心したのは、第4試合の関本大介、岡林裕二、忍 vs 佐々木義人、石川晋也、河上隆一の6人タッグマッチであった。
ちょっと見ない間に関本大介、スゲー良い選手に成長したじゃないですか!
いったい何なんですか、あの尋常じゃない存在感。
ぶっといよ、ハンパなくぶっとすぎるよ!!
そして岡林裕二。
初見じゃ安田大サーカスのクロちゃんにしか見えなかったけど、なかなかどうして、良い選手ですよ。
まだまだ技の粗さは目立つものの、素材としてはかなりのものでしょう。
今の路線で、より上を目指して欲しいものですな。
しかしこの試合のホントの主役は、忍でした。
見てるこちらがハラハラするほどに細すぎる体は、とてもプロレスラーとは思えないけど、そんな選手が自分よりも二回り以上デカイ佐々木義人からスリーカウントを獲ってしまうから、プロレスは面白い。
関本、岡林のゴツゴツしたプロレスに、忍のピョンピョンしたプロレスが絡み合い、絶妙のコンビネーションなんだよな~。
この三人のタッグは、これからも見てみたいと心底思いましたね。
余談になりますが、ガチムチ系の関本、岡林は紛れもなく二丁目のそれだし、忍は完全に歌舞伎町のホストのなりだしで、私はこの三人のチーム名を、【トリオ・ザ・新宿 at The Night】と、心の中でそっと名付けたのは、ココだけの秘密です。

タッグといえば、第2試合に出場した、MEN'Sテイオー、ツトム・オースギ、ヘラクレス千賀組も凄かったな~。
何が凄かったって、ツトム・オースギとヘラクレス千賀のコスチュームですよ。
彼等の極小でピチピチ過ぎるタイツは、もしかしたらMEN'Sテイオーからの指示なのか!?
思わずそう勘繰りたくなるほどに、ワイセツ指数の高過ぎるコスチュームでしたね。
MEN'Sテイオー、恐るべし!

メインイベントの伊東竜二 vs 星野勘九郎のBJW認定デスマッチヘビー級選手権は、実に壮絶な試合でした。
恥ずかしながら私は星野勘九郎を見るのは初めてで、入場してきた瞬間、あまりにザキヤマに似ていたので、思わず吹き出しそうになってしまいましたが、リラックスできたのはココまで。
この先はとにかく目を覆いたくなるシーンのオンパレード!
やりすぎだよ、あのデスマッチは。
確かに危険なことをすればするほど客は盛り上がるのかもしれないけど、もはやアレはプロレスの領域を超えてしまっていると、あえて私は断言しておきます。
伊東竜二を画鋲と折れた蛍光灯が敷き詰められたマットに寝かせ、その上に鉄製階段を置き、そこにトップロープ最上段から星野勘九郎がセントーンを仕掛けた瞬間は、本当にゾッとさせられました。
仕掛けた星野勘九郎が壊れてしまうよ!
ちょっとシリアスに書くと、いつ手遅れな事態に陥ってもおかしくないですから。
せっかく【企業努力】を続けてこれほどまでに素晴らしい団体に育ったというのに、予期せぬ事故が起きてしまったら、今までの苦労がすべて水の泡と化してしまう…プロレスを愛する者として、本当にそれだけは避けて頂きたいと、私は切に願っております。
試合結果に触れておくと、伊東竜二がドラゴンスプラッシュ(with 蛍光灯)で、キッチリとスリーカウントを奪取。
星野勘九郎は善戦したが、終わってみればチャンピオンの危なげない勝利と言ったところだろうか。
ハッキリ言って伊東竜二にまだまだ余裕があったのは、紛れもない事実である。
完敗ではあったが、星野勘九郎も実に良い選手だった。
今回の敗戦を肥やしに、より精進して更なる奮起を期待したいと思う。

最後になるが、一言だけ言わせて欲しい。
『我々は殺し合いをしているんじゃないんだ!』
当時は迷言と言われたこのドラゴン・ストップを、私は大日本のフロントに捧げて、今回の観戦記を締めたいと思います。