映画化が決まり、今話題の本、

二宮敦人さんの『最後の医者は桜を見上げて君を想う』を読みました。

 

最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)

(↑Amazonの電子書籍Kindleです)

 

Amazonのプライム会員だと

Kindleで無料で読めますよ♪

 

 

最後まで病気と闘い

少しでも長く生きて奇跡を信じることを良しとする

天才外科医の福原先生。

 

患者にも死ぬ権利はあり、

自分らしい死を迎えることができれば

それもまた病への勝利だと考える桐子先生。

 

対立する2人の仲を取り持つ

自信はないけれど

患者と共に悩み、苦しみながら

患者に寄り添った医療を提供したいと

熱意を持っている音山先生。

 

 

3人の医師に関わる患者さんたちを描いた物語なのですが、

その中で、患者さんが

病気になった患者は

命を懸けた博打をしているものだと言うんです。

 

成功率○%。

 

こちらの方が、癌の再発率は低い。

 

副作用が出る確率は○%。

 

 

そうやって説明されて

結局、治る確率の高い方に賭けて治療をしていく。

 

 

病気になると、病名によって基本の治療方針は決まっていて

その治療の流れに沿って、

患者さんは賭けに勝ち続ければ、治るし

負け続ければ、死ぬ。

 

福原先生は

例え今、勝てる見込みがなくても

命さえ繋いでいれば、いずれ勝てるようになるかもしれない、

自分が治療法を見つけて何としてでも治す、

という強い信念があるので

患者さんを積極的に治療します。

 

 

そんな治療の中で

その流れに疑問を持った患者さんが

桐子先生に相談します。

 

桐子先生は

「(治療の流れは)基本的には変わりません。

 ベルトコンベアに乗せられた製品のように、決まったラインを流されていくのです。

 だから、人によっては忘れてしまうんですよ。

 自分が人間であることをね。」

と言うんです。

 

 

この患者さんは

白血病だったので、命を懸けた博打に挑むために

ベルトコンベアに乗っているのですが、

不妊治療の患者も命こそ賭けていませんが

同じようなものだな、と思いました。

 

特に、今の病院に転院してからは

先生の決定が全てで

病院の方針に沿って治療をしなければならないし

それが気に入らない、

もしくは、仕事等でできないのならば

辞めてもらって構わない、というスタイルなので

今の病院ではベルトコンベアに乗り、

他のことを考えずにただひたすら

全ての博打に勝って妊娠という奇跡を掴む夢を見て

流されていくしかありません。

 

 

私はずっと、このベルトコンベア方式に疑問があって

前の病院ではここまでベルトコンベアに乗って

自分の意思とは関係なく流されていくという感覚はなかったな

と思っていたのですが

この文を読んで、なるほど…と思いました。

 

「病院で命を引き延ばされた末の死ではなく、短くても鮮明な、

 自分の家での死を選ぶ。

 死から逃げ続けて最後に追いつかれるよりも、

 死に向かって一歩踏み出す……。」

 

死に振り回されると、往々にして生き方を失います。

 生き方を失った生は、死に等しいのではないでしょうか。

 逆に、生き方を維持して死ぬことは、

 生に等しいとは言えないでしょうか」

 

桐子先生は

死ぬことを推奨しているわけではないんですよ。

 

生きるために治療を選ぶのも

勝手に流されて治療されるのではなく

自分の意思でやるべきだと言っているんです。

 

もしかしたら私も

不妊治療に振り回されて

自分の生き方を見失っているのかもしれないな、と思いました。

 

 

ベルトコンベアに乗るも、降りるも

自分の意志で。

 

ベルトコンベアに乗ったとしても

操縦は自分の意志で。

 

前の病院では

ベルトコンベアに乗ることには変わりなかったのかもしれませんが

先生は私の意思を聞いてくれたし

治療を進めるスピードも私に合わせてくれました。

 

 

細かいことを言えば

通院日に他の予定があるときには、

通院が1日ずれることのデメリットをきちんと説明し

私の意思でどちらの予定を優先するか決めさせてくれました。

 

検査をするかしないか、

メリット、デメリットをきちんと説明し、

私に決めさせてくれました。

 

そういう、小さなことですが

少ない選択肢の中から

自分で決められることもあったから

ベルトコンベアに乗っている気持ちにならなかったんだと思います。

 

 

ベルトコンベアに乗っていると

何も考えなくても進んでいくから

楽だと思います。

 

それが合っている人もいると思います。

 

それを楽だと感じられる時期もあるのかもしれません。

 

私も、最初の病院が今の病院だったら

今よりさらに知識がないので

ベルトコンベアに乗せてもらえることを

イコール安心感と捉えたような気がします。

 

 

でも、その現状に疑問を持ってしまうこともある。

 

 

多分、私が今の病院に抱いている不信感は

ベルトコンベアに乗ってしまったら

私には全く決定権がないこと

意志を持ってはいけないように扱われ

ベルトコンベアの行先を自分では調整できないことなのだと

気付きました。

 

二股に分かれた道に来ても

私の意思ではどちらに進むか決められないので。

 

 

病院の方針は変えることはできないと思います。

 

 

今の病院で唯一、私が決められるのは

ベルトコンベアに乗るか、乗らないかのみ。

 

 

それなら私は、

自分の意思でベルトコンベアに乗って流される、という選択をすることで

自分が意志のある『人』である事を忘れないようにしようと思いました。

 

 

そうすることで

少し前向きに考えられるような気がしました。

 

 

 

なんだか、本の内容から逸れてしましましたが

全ての人が、生まれたら

いつか必ず来る「死」に向かって歩いているので

後悔のないような歩き方をしたいな、と思える

素敵な本でした。

 

生き方、死に方について

凄く考えさせられますよ。

 

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫) [ 二宮敦人 ]
価格:702円(税込、送料無料) (2018/9/4時点)

 

(↑楽天の紙の本です)