次男が急性脳症で寝たきりになった際、

同じような病気の子供を持つ方々と交流したいと思い、

「全国重症心身障害児(者)を守る会」に入会しました。

その会の役員の方から、ある障がい児者支援施設をご紹介いただきました。

 

もともと看護師をされていた理事長は、とても熱い志をお持ちの方で、

重い障がいのある方やそのご家族に寄り添い、複数の支援施設を運営されています。

 

多くの支援施設では、利用者さんの衣類の工夫をされているスタッフさんも多いと思います。

こちらの施設でも、スタッフさんが、常同運動のある利用者さんのために、タオル地の手袋を作っておられました。

※常同運動:手で腕や顔を叩くなど、繰り返される意味を持たない運動のこと

 

 

しかし、手の動きが激しいと、すっぽ抜けてしまったり、激しく顔を叩いてしまうと、唇が切れてしまったり。。。

この利用者さんは、レット症候群という指定難病で、若い女性の方です。

実際にお会いして、症状が出た際にどのような状態かも見せていただきました。

長時間、顔を叩き続けてしまうこともあるそうで、

「見ていられない」「なんとかしてあげたい」ということで、ご相談をくださいました。

 

 

今まで、次男のように動けない人のお着替えの工夫をしてきましたが、

動ける方の、このようなお悩みもまた、深刻なものだと思います。

ご本人はもちろん、ご家族や施設のスタッフさんも、とても辛いと思います。

私自身も「なんとかしてあげたい!」と、強く思いました。

 

ただ、「最初から上手くいかないかもしれません」と、お伝えしたところ、

「もちろんです。かかった費用はちゃんと請求してください。きっと問題解決してくださると信じていますから。」とおっしゃっていただきました。

 

 

ああ、この仕事をしていて、本当によかった。

こんなふうに頼っていただけるなんて、心から嬉しく思いました。

 

さて、ここまでは美談なのですが、、、

ここからはめちゃくちゃ泥臭い、地道な作業に突入しました。(^_^;)

 

 

 

まず、すっぽ抜けないように、アームカバーの先端に綿入のマスクを縫い付けてみました。

最初から修正が必要だと思っていたので、極力余計な工賃を発生させないように、あるものを活用しようと思いました。

マスクがちょうど手のひらサイズだったので、片方を開いて綿を詰めました。

 

これだと、両腕は繋がっているけれど、腕の動きが激しいため、簡単に脱げてしまいました。

 

 

そこで、アームカバーではなく、長袖Tシャツの裾を切って、袖のマスクを付け直しました。

やはり腕の動きが激しく、袖がくるっとまわって、マスクの付いていない部分で叩いてしまうので、裏側にも綿入マスクを追加してカバーも付けました。

 

こんどは、綿入マスクが増えたせいで手が入れにくくなり、袖先に重みができたせいですっぽ抜けやすくなってしまいました。手首にゴムを付けてみましたがダメでした。。。

それに、表と裏にどうしても隙間部分ができてしまうことや、腕全体を使った叩いてしまうので、綿入れの部分を増やす必要がありました。

 

 

ここまでで、問題点が整理できたので、一気に仕様を変えました。

袖の縫い目を開いて、柔らかいニット生地を肘あたりまで縫い付けました。

ニット生地を上下・左右・中央の6つのポケットができるように縫って仕切りを付け、そこに綿入の袋を6つ入れて、上下にひもを通して縛れるようにしました。

 

 

上下を紐で結ぶことで、形がしっかり固定できます。

また、綿を分割することで、手が入れやすく、ホールド感もでてすっぽ抜けなくなりました。

隙間部分が減ると同時に、綿入れ袋を取り出し可能にすることで、洗濯の際に乾きやすいというメリットもあります。

 

 

このように、試行錯誤しながら、ひとつひとつ事例を積み重ねていけるのも、

ご依頼くださる方のお気持ちのおかげです。

本当にありがとうございます。

 

そこで、

もしこのブログを見ておられる方で、同様にお困りの方がおられましたら、

ぜひこうのふくにご相談いただけないでしょうか。

 

ご紹介したものを、ご自分で作られても良いですが、

もしご依頼いただければ、あなたが作るよりもきっと早くお作りすることが出来ます。

そして、同様のご依頼をたくさんいただければ、

このような加工を、障がいのある方の作業所で承ることができます。

 

今回ご依頼いただいた施設さまのように、

現場ではさまざまな問題に直面されていると思います。

もし、少しでもお手伝いできることがあれば幸いです。

よろしくお願いいたします。

 

 

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