先日、施設で暮らす方の後見人さまのご依頼で、

ズボンを2点お作りさせていただきました。

このご注文には、特別な思い入れがありました。

 

 

 

 

私の次男は2歳で急性脳症で寝たきりになり、

病院から重症者施設に移って過ごしていました。

そこでは、うちの子は一番末っ子でした。

 

 

生まれたときから障がいのある方は、その施設で長く過ごされていて、

50代60代の方もおられました。

その方の親御さんは、80代くらいになると思います。

 

そんなご高齢の方が、

電車やバスを乗り継いて施設に面会に来られ、

親子で仲睦まじく過ごしておられるのは、とても心温まる風景でした。

 

「いくつになっても、この子が可愛いんじゃ。

来られるうちは来てやりたいんじゃ。」

と、心が溶けるような温かい笑顔で話しておられました。

 

 

障がいのある子どもを持つ親にとって、

自分が死んだ後、その子どものことを誰に託すかというのは、

とても気がかりなことです。

 

 

 

昨年、

あるNPO法人の方からお電話をいただきました。

「60代の重度心身障がいの方の後見人をしているのですが、

その方のお母さまが作っておられた服を作っていただけないですか?」

とのご依頼でした。

 

聞けば、その方の服は、お母さまがずっと作っておられたそうです。

寝たきりの生活に合わせて、

サイズや素材や柄を考えて工夫されていたとのこと。

お作りになっていた見本を送ってくださいましたが、

母の愛情がたくさん注がれていたのがよくわかりました。

 

そのお母さまがお亡くなりになり、

服がだんだんくたびれてきて、どうしようかと思っていたところ、

たまたま私のホームページを見つけてくださって、ご連絡をくださいました。

 

私も、次男の服は全部自分で作っていたので、

そのお母さまのお気持ちが、よくわかります。

 

私は、3日おきに面会に行って、

次男の洗濯物を持ち帰っていました。

最初の頃は、縫うのが下手くそで、

施設の洗濯機で洗うと、ほつれてしまったからです。。(^_^;)

 

 

親亡きあと、

 

残された子どものお世話をしてくれる方々が、

 

お母さまの想いを受け継ぎ、

 

私にご依頼をくださったことが、本当に、本当に、嬉しいです。

 

 

 

こんなお仕事で、

お金をいただいていいのかと思うくらい、

幸せな仕事です。

嬉しくて、何種類もの生地でご提案させていただきました。

 

遠方の方なので、お会いしてはいませんが、

お母さまが作られたズボンを見て、

どんな方かを想像して、

ズボンの裾飾りを選びました。

 

 

お母さまの愛情には、遠く及ばないと思いますが、

ほんの少しでもその想いを引き継ぐことができたら、

こんな幸せなことはありません。

 

こうのふくネットショップはこちら