室内空気の質 

室内空気を汚染する物質は数多くありますが、建築やビル管理の観点から重要な要素としては、二酸化炭素、一酸化炭素、浮遊粉じん、ホルムアルデヒドの4つがあげられます。建築物環境衛生管理基準では、これらの物質の許容濃度を定めています。二酸化炭素の許容濃度は健康影響を及ぼすレベルとはかなり異なりますが、室内の汚染状況を総合的に判断する指標として用いられています。二酸化炭素が増えれば、臭いやふけ、衣服に付着していた汚染質なども多く存在していると考えられているためです。 

 

■通風の確保 

★通風を上手に取り込む 

古くから日本の住宅は夏の暑さをしのぐために、通風を積極的にとれるように計画されていました。住宅では開口部を大きく取り、多くの気流を室内に迎え入れた生活を行っていました。通風により室内の空気を綺麗に維持し、気流を浴びることで快適感を得ていました。近年では、周辺環境の変化に伴い、近隣からの視線や音の問題などが発生し、窓を開けての生活スタイルも変わってきました。また、土地の利用形態も変化し、密集住宅地が増えてきました。このような場所では窓を開放しても、自分の家になかなか風が吹いてこないという問題も生じています。このような中でどのようにしたら、通風を効果的に取り組むことができるか考えてみましょう。通風を確保するための基本的な開口部の配置は、風が吹いてくる方向に窓を設け、その反対側にも窓を設けることです。このときに室内間の扉などを閉めてしまうと、効果が低下しますので、扉の上に欄間を設けることで、プライバシーを確保しながら、通風経路も確保することができます。また、従来から日照確保用に使われていたトップライトやハイサイドライトも近年では通風量確保のために利用されてきています。下方にある窓とトップライトなどの上方にある窓のように、高低差のある開口を組み合わせることで、空気は上下に動きます。