2月19日から20日にかけて行われた「若手医師のための家庭医療学冬期セミナー」に参加してきたので報告します。
私が参加したワークショップは以下の通りです。
・一歩進んだポートフォリオ作成とその支援
・家族志向のプライマリ・ケア「実践編」
・家庭医療“超”入門
・BPSモデル(生物心理社会モデル:biopsychosocial model)とシステム理論
ワークショップの内容と感想
●一歩進んだポートフォリオ作成とその支援
ポートフォリオの定義は「ある領域における学習者の作業や進歩、達成を表現する学習者の仕事を目的意識的に集めたもの。これは、ポートフォリオの内容の選択、選択基準、判定基準、学習者の省察に、学習者自身が関わらなければならない」とあります。このワークショップの講師である藤沼先生はもうひとつの定義として、「家庭医療専門医に必要な知識・技術・態度・価値観を評価するためのパフォーマンス課題の達成を集めたもの」をあげていました。
よいポートフォリオとは、必要な力を示すパフォーマンス課題に取り組んでいること、適切な症例や事例であること。
パフォーマンス課題とは「リアルな文脈の中で、様々な知識やスキルを応用・統合しつつ何らかの実践を行なうことを求める課題」と説明がありました。
前置きが長くなりましたが、よいポートフォリオを作るために必要なパフォーマンス課題を参加者自身で(班に分かれて)作って見ましょうと言う事が今回の企画でした。
私の参加した班の課題は幼少期・思春期でした。
家庭医として、幼少期思春期の患者さんにどのようにアプローチできるようになれば一人前と言えるのか?小児科医との相違は?短い話し合いの時間で、結論は出ませんでした。
3つ課題を挙げることから始め、①ワクチン予防接種が出来る、②思春期の教育が出来る、③親とコミュニケーションがとれるが出されました(この3つが出来るようになって一人前なのかという疑問もあります)。
更に一つについては、具体的な目標を立てることをしました。
選んだ課題は①予防接種。
ゴールはワクチンを200本打つ(レジデンシー・東京でこれが一つの目標になっているそうです。ただし根拠なし)。
期間は、小児科・診療所をローテーション中の後期研修医の期間。
結果は、打った人の記録やワクチン接種のスケジュール立てた3例
課題作り、課題をどのように達成するかについて共に難しさを感じるワークショップでした。藤沼先生曰く、これらのエントリー領域作りが知恵を絞る所と。
●家族志向のプライマリ・ケア「実践編」
家庭医の特徴付ける3本の柱は、①患者中心の医療、②家族志向のケア、③地域包括医療。
家族志向のケアは、個人だけの診療から家族への診療、生物・心理・社会モデルの展開をする。
このワークショップの主は、ロールプレイを通じて対個人から家族図を作り状況を把握すること(個人だけの診療から家族への診療をイメージする)でした。
患者シナリオは、20歳男性の腹痛。大学通学のためにアパートで暮らしている状況。
医師役は、本人の状況をさらに聞きだす事(実は勉強が上手く行っていなくて留年寸前)、両親を事故で無くしている事、10歳離れた兄が隣町に住んでいる事(兄は弟のことをかなり心配しているが、心配が過ぎている様子あり)などを患者さんから聞いて腹痛の原因を理解できるかどうか(腹痛は過敏性腸症候群)でした。過敏性腸症候群で薬を出しているだけではいけませんよと言うメッセージ。
●家庭医療“超”入門
タイトルが気になったので参加しました。
内容は、今までに聞いたことのあるものがほとんどでした。
受診した理由はもれなく聞く事は大切。外来診察の時間がかかってしまうのではないかとの疑問が出ますが、ほとんどの患者さんは60秒以内で話を終えたそうです(アメリカでの研究)。
●BPSモデル(生物心理社会モデル:biopsychosocial model)とシステム理論
システム理論は未知の領域で、理解が及ばない所あり。
システムとは?
一般システム理論によれば、システムとは以下のようなものである。
・システムは互いに作用している要素からなるものである
・システムは部分に還元することが出来ない
・システムは目的に向かって動いている
・ひとつのシステムの中には独特の構造を持った複数の下位システムが存在する
・下位システムは相互作用しあいながら調和し、全体としてまとまった存在をなしている
システムは互いに作用しているので、昨日の「解決策」から今日の問題が発生することがある。
解決のツボは問題から一見遠くにあることもある。レバレッジ・ポイント(小さな力で大きく構造を変えられる介入点)
BPSモデルの利用レベル(ワークショップ講師の岡田先生の定義)
1.患者の問題を生物、心理、社会とそれぞれの要素をまんべんなく考慮して臨床をやろうとするレベル
2.生物、心理、社会などの要素が複雑に影響しあっていることを意識し、システム的にアプローチしようとするレベル(時系列パターンや構造を意識し、レバレッジ・ポイントを見出そうとする)
3.医師自らも患者の問題の構造の一部であることを意識し、医師と患者の相互作用も考慮した診療が出来る