この1年間で10以上のオンラインルノルマン占いサービスを試してきました。タロットと違って、ルノルマン占いができるサイトは圧倒的に少ない。日本語で使えるものとなると、さらに限られます。
ルノルマンカードはタロットの78枚に対して36枚。絵柄も「騎士」「クローバー」「犬」「鍵」など日常的なモチーフで、解釈がシンプルで具体的。「いつ」「誰が」「どうなる」という現実的な答えが出やすいのが特徴です。タロットが心理や精神面を深掘りするのに対し、ルノルマンは実際の出来事や状況の変化を占うのに向いています。
この記事では、実際に使って比較した5つのサービスを紹介します。
1. SPUR ルノルマンカード占い
集英社のファッション誌SPURが運営する無料占いコーナー。監修は『実践ルノルマンカード入門』著者の高橋桐矢さん——この人は「トリプルK」というユニットでも活動している本格派の占い師です。
最大の特徴は44種類というテーマの豊富さ。「恋愛運」15テーマ、「結婚運」9テーマ、「仕事運」10テーマ、「総合運」10テーマ。「あの人の気持ちと近未来」「元カレと復縁できる?」「今の仕事、このまま続けていい?」など、実際に悩む内容が細かく設定されています。
私が実際に「あの人の気持ちと近未来」で試したところ、カードを1枚引く形式で、引いたカードに対応する解釈が表示されました。解釈文は3-4段落で、カードの基本的な意味に加えて、選んだテーマに合わせた具体的なアドバイスが書かれている。
36枚すべてのカード意味も別ページで読めます。各カードのキーワード、象徴、恋愛・仕事・対人関係での解釈が整理されていて、ルノルマンを学びたい人にも役立つ。イラストはオリジナルで、加藤木麻莉さんによるもの。伝統的なルノルマンカードとは異なる現代的なデザインです。
完全無料、会員登録不要。
制限:ワンオラクル(1枚引き)のみ。3枚スプレッドやグランタブローといった複数枚の展開はできません。また、AI対話型ではないので、追加質問や「もっと詳しく」といったやり取りは不可。同じカードを引けば同じ解釈テキストが表示される定型文方式です。
適している人:ルノルマン初心者、具体的な悩みがすでにある人、AIではなくプロ監修の解釈を読みたい人、カードの意味を勉強したい人。
適していない人:複数枚のスプレッドを試したい、自分の状況に合わせたカスタム解釈が欲しい、対話形式で深掘りしたい人。
ファッション誌のサイトという位置づけですが、占い部分はかなり本格的。高橋桐矢さんの監修という点で、解釈の質は信頼できます。
2. Lenormand.life
ここからがAIルノルマンと従来の自動占いの分岐点です。Lenormand.lifeは事前に書かれた解釈をカードに紐づけるのではなく、AIがあなたの具体的な質問に基づいて文脈的な回答を生成します。
体験が根本的に異なります。質問を自由に入力し、スプレッドを選び、カードを引き、そしてあなたの質問内容を踏まえたAI生成の解釈を受け取る。「来月の恋愛運はどうなる?」と「転職すべきか迷っている」では、同じカードでも全く違う解釈が返ってきます。
スプレッドの選択肢が豊富なのが特徴。過去-現在-未来(3枚)、クロススプレッド(5枚)、9枚スプレッド、グランタブロー(36枚全使用)まで対応。ルノルマンでグランタブローができるオンラインサービスは、日本語では他にほとんど見当たりません。
私が「9枚スプレッド」で仕事の悩みを試したところ、各カードの位置(過去・現在・未来、上段・中段・下段)とカード同士の組み合わせを考慮した解釈が返ってきました。「鍵」と「魚」が隣接していたことで「金銭面での突破口」という読み方がされている。単独カードの意味だけでなく、コンビネーション(組み合わせ)解釈ができるのはAIならでは。
2026年運勢占いという新機能も面白い。17枚のカードで年間テーマ、仕事・恋愛・金運・健康を四半期ごとに占う。1枚の年間テーマカードが全体の基調を示し、16枚が各分野を季節ごとに解読する構成。
Yes/No占い、意思決定リーディング(2つの選択肢を比較)といった実用的なツールも揃っている。「AとBどっちにすべき?」という具体的な二択の相談に使える。
完全無料で基本機能が使える。回数制限はあるが、試すには十分。
制限:監修者名の記載がない。AIが生成する解釈は、プロの占い師による監修を経ていない可能性がある。また、AIのパターンマッチングであり人間の直感ではないため、解釈が時々一般論に感じることも。質問を具体的にするほど精度が上がる仕組みなので、「恋愛どうですか?」より「3ヶ月以内に彼から連絡は来る?」のような聞き方が有効。
適している人:複数のスプレッドを試したい、グランタブローをやってみたい、自分の状況に合わせた解釈が欲しい、深夜でも使いたい(24時間対応)。
適していない人:プロ監修の解釈にこだわる、AIツールに抵抗がある、定型文の方が安心する人。
AIルノルマン分野はまだ発展途上ですが、Lenormand.lifeは現時点で機能面では最も充実しています。特に複数枚スプレッドを試したい人には、他に選択肢がほとんどない状況です。
3. 鏡リュウジ 秘密のルノルマン・オラクル
西洋占星術研究家・鏡リュウジ氏監修のワンオラクル占い。夜間飛行という出版社が運営する、書籍『秘密のルノルマン・オラクル』のプロモーションサイトです。
鏡リュウジという名前は占い界では知らない人がいないレベル。京都文教大学客員教授、平安女学院大学客員教授、英国占星術協会会員。『鏡リュウジの占星術の教科書』など著書多数。その鏡氏が2014年に出した『秘密のルノルマン・オラクル』は、日本で初めてルノルマンカードの解説を本格的に扱った書籍でした。
このサイトはその書籍のプロモーション用。無料で1枚引きのワンオラクルが体験できます。
占い方はシンプル。イエス・ノーで答えられる質問を心に浮かべて、深呼吸して、「ここだ」というタイミングでカードをクリック。引いたカードの意味が表示されます。
恋愛版のワンオラクルも別途あり。同じ1枚引きですが、恋愛向けの解釈が表示されます。
私が試したところ、解釈文は書籍からの抜粋と思われる丁寧な内容でした。カードの歴史的背景や象徴の説明も含まれていて、単なる結果表示ではなく「ルノルマンカードとは何か」を伝えようとしている。
完全無料、会員登録不要。
制限:ワンオラクル(1枚引き)のみ。複数枚のスプレッドは書籍を購入してくださいという位置づけ。あくまでプロモーションサイトなので、深い鑑定を期待するものではありません。また、サイトのデザインは2014年当時のまま——機能に問題はないが、見た目は古め。
書籍は「カード36枚+解説書」のセットで、Amazon・honto・紀伊國屋で購入可能。本格的にルノルマンを始めたい人には、このセットは入門として評判が良い。
適している人:鏡リュウジ氏のファン、ルノルマンの「正統派」解釈を知りたい、書籍購入を検討中、手軽に1問だけ試したい。
適していない人:複数枚スプレッドを試したい、AI対話で深掘りしたい、モダンなUIを期待する人。
プロモーションサイトではあるが、鏡リュウジ氏の監修という点で解釈の信頼性は高い。ルノルマンを「ちゃんと学びたい」人への入口として機能しています。
4. うらなえる ルノルマンカード占い
テレシスネットワーク株式会社が運営する占いポータル「うらなえる」のルノルマンコーナー。無料占い+有料プレミアム鑑定+学習コンテンツの3本立てで、総合力が高いサイトです。
最大の特徴は学習コンテンツの充実度。36枚すべてのカード解説ページがあり、各カードのキーワード、基本的な意味、ワンカードで占う場合の解釈が詳しく書かれている。さらにスプレッド解説(ワンカード、ツーカード、スリーカード、ファイブカード、ナインカード、グランタブロー)も図解付きで説明されていて、「ルノルマンの教科書」として使える。
タロットとルノルマンの違いも分かりやすく整理されている。「タロットは78枚でルノルマンは36枚」「タロットは正逆で意味が変わるがルノルマンは正位置のみ」「タロットは心理・精神面、ルノルマンは具体的な出来事」——こういう比較があると、どちらを選べばいいか判断しやすい。
無料占いはテーマ別に用意されています。恋愛・仕事・結婚・復縁などから選んで、カードを引く形式。解釈は定型文ですが、テーマに合わせた内容になっている。
有料鑑定は「トリプルK」という3人の女性占い師ユニットが監修。『衝撃的中&鳥肌不可避◆あなたの人生"全て解る鑑定"転機/選択/晩年』というメニューで、会員価格2,530円(通常2,860円)。24項目で転機・選択・晩年まで占う詳細鑑定。
私が無料占いを試したところ、占い結果自体は他サイトと同様の定型文方式でした。ただ、結果ページの下に「もっと詳しく占いたい方は有料鑑定へ」という導線がある。無料で試して、気に入れば有料へというビジネスモデル。
完全無料の部分と有料の部分が明確に分かれている。会員登録すると割引価格で購入可能。
制限:無料版は定型文の結果。AI対話型ではないので、追加質問は不可。また、無料で使えるスプレッドは限られていて、複数枚の本格的な占いは有料鑑定への誘導がある。
適している人:ルノルマンの基礎を体系的に学びたい、カードの意味を調べたい、有料でもいいから詳しい鑑定が欲しい、信頼できる占い師の監修を重視する。
適していない人:完全無料で深い鑑定まで済ませたい、AI対話で深掘りしたい、有料への誘導が気になる人。
学習コンテンツの質は高く、ルノルマンを勉強するなら一度は目を通す価値があります。占いポータルとしての運営実績も長く、怪しいサイトではない安心感がある。
5. zired ルノルマンカード解説
占いメディア「zired」のルノルマン特集ページ。著書『一番わかりやすい占い師になるための本』を出している占い専門集団が運営しています。
このサイトの特徴は「占いツール」ではなく「百科事典」であること。36枚すべてのカードに個別の詳細ページがあり、各カード5,000字以上の解説が読める。キーワード、基本的な意味、恋愛での解釈、仕事での解釈、他のカードとの組み合わせ例まで網羅されている。
グランタブローの読み方ガイドも詳しい。「グランタブローとは何か」から始まり、カードの配置方法、読み解きの手順、具体的なリーディング例まで解説されている。実際に自分でカードを持っていて、読み方を学びたい人には非常に役立つ。
私が「騎士(ライダー)」のページを読んだところ、カードの象徴(スピード感、到着、ニュース)から、恋愛での具体的な解釈(「新しい出会いの到来」「連絡が来る」)、仕事での解釈(「プロジェクトの進展」「異動や転勤」)まで細かく書かれていた。他のカードとの組み合わせ例(「騎士+クローバー」で幸運な知らせ、「騎士+雲」で混乱したニュース)もあり、実践的な内容。
占い師・邑崎志帆さんがカード解説を担当。各ページに著者名が明記されていて、監修体制が見える形になっている。
完全無料、会員登録不要。
制限:これは「占いサービス」ではなく「解説記事」です。サイト上でカードを引く機能はありません。自分でルノルマンカードを持っていて、その意味を調べたいときに使うリファレンスサイト。オンラインで占いを体験したい人には向いていません。
また、記事内に有料占いサービスへの広告リンクがあります。メディアとしての収益化なので当然ですが、純粋な学習目的で読むと気になる人もいるかも。
適している人:ルノルマンカードを自分で持っている、カードの意味を詳しく調べたい、グランタブローの読み方を学びたい、占いを「勉強」したい人。
適していない人:オンラインで占いを体験したい、カードを持っていない、解説記事を読むより結果が欲しい人。
辞書・百科事典として使うサイト。ルノルマンを本格的に学ぶなら、ブックマークしておいて損はありません。







