生成AIの登場によって、私たちの仕事のスタイルは劇的に変わりつつあります。
企画書をまとめるときも、取引先にメールを送るときも、ChatGPTなどに相談すれば、すぐにコツや文例を提示してくれる——。
まるで、いつも優秀な秘書をそばに置いているような感覚です。
しかし、便利になったのは自分だけではありません。
同僚も上司も部下も、誰もがAIを活用し始めています。
報告書、企画書、会議での発言――。
どれもが以前とは違い、洗練され、いかにも“正解”のようなアウトプットが並ぶようになりました。
今は、AIを使いこなす人が“先行者利益”を得ている時期かもしれません。
ですが、いずれ誰もが当たり前のようにAIを使うようになるでしょう。
「今の発言、それってあなた?それともAI?」
そんな問いかけが冗談では済まされなくなる未来も、すぐそこにあるかもしれません。
AI時代に求められる「教養」
「今週のメルマガ、またAIで書いたんでしょう?手を抜きましたね〜」
…なんて笑い話が現実になる日も近いかもしれません(笑)
世界に目を向ければ、米中露の地政学的な動き、選挙に翻弄される各国の政局など、私たちの働き方に少なからず影響を与える要因は増える一方です。
こんな時代に、ただ“声の大きな人”や“もっともらしいAI”に耳を傾けるだけでは、いつの間にか周縁に追いやられてしまうかもしれません。
だからこそ、**AIではなく「自分自身の教養」**が求められます。
ビジネスの現場で、
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判断(評価)
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意思決定
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交渉
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コミュニケーション
これらをAIではなく、自分の頭でできるようになること。
それがこれからの時代を生き抜くための基盤になります。
忙しい現代人にぴったりの“サクッと”シリーズ
そうは言っても、現代人は忙しく、じっくり教養を深める時間なんてなかなか取れません。
そこで、今回は**図解やイラストが豊富で短時間でも学べる「サクッとわかるビジネス教養シリーズ」(新星出版社)**をご紹介します。
シリーズには、金融、マーケティング、統計、行動経済学など多様なテーマがありますが、今回は特に「心理学」に注目したいと思います。
第23回 『ビジネス心理学』 匠栄一著(新星出版社)
心理学は、幸福感や働き方への意識に深く関わっています。
いま、世界の幸福度ランキングで日本は55位(2025年)。昨年より4ランクも下がりました。
幸福度は10代をピークに、40代で最も落ち込み、50代以降ようやく回復の兆しが見える傾向にあるといいます。
しかし、それも10代ほどには戻らない。
「お金=幸福」ではない。
むしろ「自己実現」こそが、幸福の本質だとされるようになっています。
1.ストレス社会を生き抜く心理学
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成功すれば幸福になれる → ✖
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幸福だから成功する → 〇
心理学ではこれを「幸福優位の法則」と呼びます。
ポジティブ思考とネガティブ思考の**バランス(3:1が理想)**が成功のカギです。
気持ちが沈んだときは、自分の感情を**言語化(=外化)**して整理しましょう。
紙に書き出すことで客観視でき、気持ちを切り替える助けになります。
さらに重要なのは、ストレスとうまく付き合う心の柔軟性、「レジリエンス」です。
2.成果を出すための心理学
モチベーションは3つの要因に分かれます。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 衛生要因 | 給与、福利厚生、人間関係など |
| 動機付け要因 | 達成感や承認欲求 |
| 社会的要因 | 社会への貢献、自己肯定感 |
例えば、努力して成果を出したのに周囲から妬まれると、やる気は一気に下がります。
これを「アンダーマイニング効果」と呼びます。
また、「いいことだけ」を伝える営業や採用活動には注意が必要です。
人は“押し付けられる”と反発します(=心理的リアクタンス)。
→ メリット・デメリット両面を伝える「両面提示」が信頼につながります。
クレーム対応も同様です。
誠実な対応で期待を上回れば、「リカバリー・パラドックス」が働き、ファン化することもあります。
3.組織を強くする心理学
メンバーが主体的に動くためには、「心理的安全性」が不可欠です。
“言いたいことが言える職場”は、成果と創造性を高めます。
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他人を見下すことで得られる偽りの自信=「仮想的有能感」には要注意。
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リーダー自身が批判を受け止める度量を持ちましょう。
感謝を伝える「サンクスカード」や、弱音を吐ける時間を設けることで、心理的安全性が高まります。
まとめ
AIが当たり前になる時代だからこそ、「自分の言葉」で考え、判断し、発信する力=教養が求められます。
今回紹介した心理学の知識は、ストレス対処からチームビルディングまで、幅広く活用できるはずです。
参考図書
『サクッとわかるビジネス教養 心理学』
