当然のごとくネタバレありなのでこんなのを読む前にシン・ゴジラ観ましょう。
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うっかり以前書いてた記事を消してしまったので書き直し。
悲しいなあ。
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シン・ゴジラのストーリー構成について。
序盤やや政府陣のコミカル な描写が目立つのは、それだけ楽観視していたという表現なのでは。
主人公である矢口も過度な楽観視は禁物であると釘を刺すシーンがあるし。
第2~3形態までは「巨大不明生物が出現するという非現実」がまだ現実に馴染んでない段階かも。
その後第4形態になってからはその非現実が現実に馴染みはじめコミカルな描写が減っていく。
ラストの尻尾について。
その造形から巨神兵説が出てる尻尾だけど、個人的には巨神兵説はないと思う。
まずメタ的な事を考えれば、ジブリのキャラである巨神兵を東宝キャラであるゴジラ作品に出せないだろうという点。
次に劇中視点で考えると、、ゴジラは確かに圧倒的な進化能力を持っているけど、基本的に「外的刺激を含む環境に合わせた進化」を行っているので、劇中において縁もゆかりもない巨神兵の姿にいきなり進化するということは考えにくい。
1進化の可能性、方向性としてゴジラの群体化、小型化分裂化などは考えられるけど、唐突に巨神兵のような存在にはならないだろう。
では何故あれが巨神兵のような姿をしているかというと、おそらく庵野監督の「人型をした人ではない恐怖の存在」というイメージが巨神兵なんだと思う。
若い頃に巨神兵の作画を手伝ったり、実写作品を撮ったりと庵野監督にとって巨神兵は深い関わりのあるモチーフである。
そもそもシン・ゴジラの劇中には庵野監督の思い入れの強いものが幾つか登場している。
今までの特撮音楽しかり、(自分は確認出来なかったけど)嫁の安野モヨコのキャラクターしかり。
そういう流れで「今度シン・ゴジラが進化する可能性のある人を模した恐怖の存在」を表現するにはどうすればいいか、という問題に対して、思い入れの強い巨神兵に似せた造形が生まれたのではないか、と考える。
で、結局あの尻尾はどういう意味なのかという話に戻るけど。
今回のゴジラはあからさまに東日本大震災、福島原発事故をモチーフに描かれている。
現実の日本はその大きな出来事の以前も以後も原発と共存を続けている。
今までのゴジラは人の手によって倒さたり、海に帰ったりとそのまま日本に居座る事はなかった。
しかしシン・ゴジラは、人の手によって封印こそされているけど日本に残ったままになっている。
いつまた目覚めるかも分からない恐怖がそこに鎮座している。
この点が「恐怖との共存」。
では得られる力の象徴とは何か。
シン・ゴジラを封印した「ヤシオリ作戦」は日本神話でスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した際に飲ませた「八塩折之酒」がモチーフになっている。
アメノハバキリというコードネームもそこから来ているしね。
それで、日本神話では倒したヤマタノオロチの尻尾から「草那芸之大刀」という剣が生まれる。
草那芸之大刀とは、三種の神器の1つである天叢雲剣の事。
三種の神器の神器の中では天皇の持つ武力の象徴ともされる。
さて、劇中においてシン・ゴジラの細胞には人類に恩恵をもたらす福音としての側面もあると語られている。
なんてったって水や空気からあの巨体を動かすエネルギーを得られる原動力でもあるのだから、それが人の手によってコントロール出来るものになれば圧倒的な力となるのは明確だ。
しかし一歩間違えればまた新たなゴジラを生み出すことにもなりかねないという多大なリスクも存在する。
これは原発も同じで、原発から得られるエネルギーはもちろんのこと、その技術そのものも相当な利用価値がある、でも福島原発事故のように取り返しのつかない事故を起こす可能性も同時に存在している。
この点が「得られる力」。
ではなぜ「恐怖と共存することによって得られる力の象徴」をラストに持ってきたのか。
それはシンプルに、問題提起のためである。
シン・ゴジラでは、ゴジラの襲来という一見するともうどうしようもない出来事が起こった。
しかし、それでも最後まで諦めず日本が一丸となってゴジラに立ち向かう事でとりあえずの終息を迎える事が出来た。
そういうハッピーエンドを示して、ラストにあの尻尾を映すことで「この映画では日本はこんなにも頑張った。では現実の日本はどうですか?」という問いかけをしているのではなかろうか。
庵野監督は人嫌いなようで人が作ったものをどうしようもなく好きな人だと思うので、だからこそ最後にそんな問いかけをしたのではないかなと思う。
尻尾の別の見方。
造形面でみると、例の人型は尻尾にすがりついているようにも見える。
シン・ゴジラは尻尾からも熱線を吐く事が出来るので、つまりはゴジラの力にしがみつく人を表しているともとれる。
長々と書いたけど、まだ1回しか観ておらず、他の人の感想を見ながら自分なりに反芻した結果を垂れ流しているのであまり当てにはならない。
ここからはその他気になった点をいくつか。
熱線を吐く際に下顎が割れた件について。
おそらく普通に口を開いただけでは、あの歪な歯が折角収束させた熱線の邪魔になるから、熱線の通り道を空ける為に左右に開いたのではなかろうか。
予告の段階で左右に開いている点に気付いた人は本当によく見ていたよね。
牧元教授について。
牧元教授がゴジラと一体化した説もあるけど、個人的にはゴジラは圧倒的な災厄だから、私怨によって誕生したものではあってほしくないという願望がある。
ゴジラ誕生のきっかけを作ったのは牧元教授であるとは思うけど。
シン・ゴジラは古代から生息していた海洋生物が廃棄された放射性廃棄物を食べて変化した生き物が進化したものであると説明されている。
元々海の生き物が放射性廃棄物を食べ変化あらゆる進化の可能性を獲得したとはいえ、基本的に外的刺激や環境の変化がなければ必要以上の進化はしないと思う。
ゴジラに進化する可能性こそあれど、元となった海洋生物が自らの意思でゴジラに進化する可能性はかなり低いと考えられる。
その進化の可能性を発見した牧元教授が好きにした結果ゴジラになった、という感じだろうか。
とりあえずこんなところか。
2回目はちょっと先になるけど観に行く事はほぼ確定なので、その時にでもまた何かあれば。
OPの東宝ロゴからのシン・ゴジラのタイトルはもうそれだけで期待値上がっちゃうよね。