世界経済フォーラム(WEF)が

「ジェンダーギャップ指数2021」を発表

 先般、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長(元総理大臣)による発言が世界中で大きな波紋を呼んだことは記憶に新しいかと思います。国外からの強烈かつ素早い反応ぶりに対して、なぜこれほどまでに批判されるのかと、驚いた方もいたでしょうし、また、ジェンダー問題についての日本と諸外国との意識の違いを実感した方も多いかと思います。今や日本では男女格差問題や女性の活躍について、にわかに関心が高まっているわけですが、かれこれ30数年間、なかなか変わらない日本の企業や政治の場に身を置いてきた私としては、日本は内側から変えていくのは困難だけれども、外圧には敏感に反応する国民性なのかなと、複雑な気持ちです。

 このような中、今年も世界経済フォーラム(WEF)による「ジェンダーギャップ指数」が発表されました。「ダボス会議」で知られるWEFが、世界の国々で男女平等がどれほど実現しているかをまとめた報告書で、今年で15回目となります。3月31日に発表された報告書では、日本は156カ国中120位(昨年は121位)、G7では最下位という結果でした。

 WEFの報告書では、教育・健康・政治・経済の4分野に分けて指数化していますが、日本はとりわけ政治分野で147位と大きくランクを下げています。日本は、女性の議員や閣僚の数が極めて少ない国であることが指摘されているのですが、こうした指摘に対して、「他の国と比較して低いから問題だというのはおかしい、日本は日本、よその国はよその国。」という意見を聞くことがあります。社会に影響力のあるリーダーの発言がまたたく間に世界中で共有され、ひとたび国際社会で問題視されれば、国内外にその波紋が広がる時代において、もはやそのような孤高(?)の態度は通用しないのではないでしょうか。

 

 

事務局長として立法した

「政治分野における男女共同参画推進法」

 立法府として何かアクションを起こすべきではないか。日本の議会で女性議員が極めて少ない状況について問題意識を共有する国会議員が超党派で集まり、「政治分野における女性の活躍と参画を推進する議員連盟」が立ち上がったのは2015年2月、今から約6年前のことでした。

 すべての政党から議員が参加する議員連盟では、当時無所属だった私が事務局長を務めることとなりました。「議員は、選挙で有権者が選ぶのだから、女性議員も自然に増えるはず」というのが当初の私の認識でしたが、諸外国の状況や取組みを調べてみて、私自身の考えが変わりました。実に多くの国において、クオータ制を設けるなど、政府や政党が意図的にルール改正を行うことによって女性議員を増やしていることがわかったからです。何もしないで女性議員は増えないということです。

立法府として出来ること、そして、立法府しか出来ないことは、法律を作ること。こうして私が事務局長として立法に携わり、2018年5月に全会一致で成立した議員立法が「政治分野における男女共同参画推進法」です。この法律は、いわゆる理念法と呼ばれるもので、罰則規定もなく、関係者の自主努力を促す緩やかな法律ですが、基本原則において公職選挙の候補者の数が男女できる限り均等となることが謳われていることから、メディアなどからは「男女候補者均等法」とも略される、画期的な法律と言えます。

 

 

 

それでも女性議員が増えないのはなぜ?

 議員立法が全会一致で成立してから3年が経過しましたが、残念ながら、現状はさほど変化していません。女性議員の占める割合は衆議院では9.9%、参議院では20.7%、地方議会においては、17.3%の市区町村議会で女性議員ゼロという状況です。

 現状の日本において、女性議員を増やすために最も必要なことは、政党の自主的な取組みだと考えます。女性議員を増やすのに効果的な取組みといえば、118の国・地域で導入されているクオータ制ということになりますが、クオータ制と一括りに言っても、

①議席割当制、②法的候補者クオータ制、③政党クオータ制の3種類に分かれています。①と②は政府による法制度ですが、③は政党が女性候補の割合などを規約に盛り込むなどの政党の自発的取組みを指しており、イギリスやドイツがこれに該当します。日本の場合は、国が法制度で縛るのではなく、イギリス・ドイツ型である政党クオータ制がふさわしいと、私は考えています。各政党が女性議員を増やす本気度が問われています。

 もう一つは有権者の意識、というよりもアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が指摘されます。女性の組織リーダーや政治家が少ないのだから、女性がやるものではない、女性が出来るものではない。裏を返せば、女性のリーダーや政治家が増えればそれが当たり前になる。ニワトリと卵のような関係かもしれません。

 女性議員が少なかったフランスでは2000年代から制度改正に取組み、候補者を男女同数原則とするために、ついに憲法改正まで行いました。さらに、2015年の県議選では男女がペアになって立候補し、有権者は男女ペアに対して投票する「男女ペア方式」が採用されました。このような徹底ぶりは、かの国とお国柄が異なる日本では現実的ではありませんが、我が国において女性の活躍、とりわけ政治分野における女性議員増を実現するために出来ることはまだまだあるはずです。

 

前参議院議員 こうだ邦子

 

 

 

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