猿が宇宙旅行行くようなモン。(月)② | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


はぁ~まさか月曜まで分けることになるとは…

何回直しても文字数ダメだった…

ということで⚠️本日2投目です!

中途半端ぁ~やだぁ~←


さーて!

わけのわからん自己満の話はここで終わります!

お付き合いありがとうございました!

今私の脳は…ニノ誕に追われていますw















──その世界に革命を起こす!



加藤がウィンクし、人差し指をひらりと振る。


「かく…め…」


「だってぇ、そういう動物の尊い実験があったからこそ人間の宇宙旅行が可能になったんですもん。…って昨日、ほんと昨日ね、テレビで言ってました!

 

知ってます?日曜の朝からやってる、大人気のニュース。番組の名前はえーっと…何だっけなぁ…なんか天気みたいな名前の…ハワイアンズみたいな感じの…

 

とにかくそのニュースの中の、イチメンってコーナーでちょろっと取り上げててぇ~…僕ね、そのメインキャスターがテルマちゃんの次に大好きなんです~っ♡

 

ちょぉイケメンでぇ、頭が良くてぇ、空気が読めて笑顔が可愛くてリスさんみたいで~…食べちゃいたいっ♡ていうか食べられてもいいっ!なんちゃって、キャ♡

 

とにかくそんな彼が何か昨日スーツの胸ポケットにボールペン挿してて、なーんか見覚えあるやつだったんですよね~…ちゃんと映らなかったけど、同じの使ったことあるのかな?運命かも?!こんなことテルマちゃんに言ったら怒られちゃうかなぁ♡

 

あ、テルマちゃんと言えば、ホラ、SNS大好きじゃないですかぁ。なんか昨日からTwitterが荒れてたらしくて~。人気芸能人がこぞって愛用してる作品があるらしくて、血眼になってファンが探してるって今朝…」

 

 

加藤のマシンガントークは早い内から耳に届かない。

 

そういえば、教授に言われてた。

 

『色んな手法を混ぜこぜで枠に囚われない大野が、感性だけで描いた絵は革命的だ』って。

 

イラストレーターになりたいと酒の席で打ち明けたあの日、教授はまず何言った?

 

『おお、予想外だな!そうか、お前はイラストレーター目指してんのか。』

 

嬉しそうに笑ってたじゃないか。

 

『どう…思いますか?俺がイラストレーターになるの…』

 

『そうだなぁ~…ふふっ。


お前がイラストレーターとして活躍するのは、猿が宇宙旅行するようなモンだな!』

 


俺は…あの言葉だけ鵜呑みにして。

 

ただ無知なだけだったのに、勝手に思い込んで。

 

ひねくれて受け取って。

 

やさぐれて、大学も行かなくなって…。

 

連絡手段を持たずに実家を飛び出した俺を、東山教授や両親はどう思っただろうか。

 

 

…叱られに、行こうかな。

 

殴られることも覚悟して。

 

 

「…もっかい、やり直してみっか。」

 

 

小さい独り言は加藤には届かなかったようだ。

 

「ねぇ、大野さん聞いてますー?!ほら、『宇宙服を着たお猿さん』が大野さんの人生を表してるってことはですよ?革命を起こすのなら、ですよ?」

 

ニヤニヤ目を半月にして加藤が近寄ってくる。

 

ちけぇ、と掌で押し返す。

 

なんだコイツ、まだ喋ってたんか。←

 

「うふふ、もうすぐ再会するんじゃないですか?」

 

「サイカイ?何がだよ。」



「そりゃぁ、運命の人っ!」



Trrrr....



店の電話が鳴る。


おやっさんは出かけているため俺が電話をとる。


「はい、山風人形店です。」


「ああすみません、こちらSSテレビの村尾と申します。日曜のNews Arashiansという番組を担当しておりまして、『昔ながらの玩具職人の裏側』というものを特集したいと考えており、今度貴店に取材させて頂ければなと思いまして…」


テレビの取材、かぁ。


確かに今は藁にもすがるも思いだけど。


おやっさんの予定表には、山田会長の面会、とある。


おもちゃ業界の重鎮に売り込みに行ってるらしい。


こりゃ帰んの夕方だな。


あの人話なげーし。


「あー…すんません、今店主がいなくて。掛け直させます。お電話番号よろしいですか?」


「失礼いたしました、では03…」


男の声がテレビ局の電話番号を告げる。


「因みに、もし取材させて頂けるなら、当番組メインキャスターの『櫻井』が伺いますので。」


嬉しいだろ、と言わんばかりにサクライとか強調して言われてもな。

 

知らねーし。

 

俺が会いたいのは翔くんだけだし。


「はぁ、かしこまりました。では…」


電話を切るなり、加藤がクイクイと俺の袖を引く。

 

「ねぇねぇ、大野さん!だから~運命の人とまた会えるかもですよっ♡大野さん案外募金したり人助けしたり、無駄にいいことしてるし!」


お前の顔面とテンションで無駄とか言われたくねぇ。


つーか案外ってなんだよ。


それに翔くんの住んでる場所も年齢も仕事も、ましてや苗字すら知らないんだ。


家という希望が言葉通り燃え尽きた今、もはや光なんて微塵もない。


「それに僕…このお猿さん、バイバイじゃなくておいでおいでってしてるんだと思ってました。」


「え?」


「幸せや運、縁、いいこと皆おいで~って!」


猿の絵を真似て加藤が三本の指をちょいちょいと曲げてみせる。


確かに…そう、見えなくもない、か?


「ほらぁ、火事とか経験して、不幸だった分幸せが一気にきちゃうかも!


何故か急に人気が出てイラストレーターとして引っ張りだこになったり~


たまたま人形をあげた人がおもちゃ業界のすごい人のお友達でココの人形が注目されたり~


運命の人がひょっこり現れたり!」


目をキラキラさせて指を組んで世界に入ってる加藤に溜息をつく。


「ばーか、んな簡単に奇跡みたいなこと起こるわけねーだろ。どんな確率だと思ってんだよ。」


「えー、どんな確率ですかぁ?しーりーたーいー!」


あーもぉ、うぜぇ~~!!!!


んなもん知るか!


「えーとだから、そりゃ…」


メモ書きをおやっさんが見やすい場所に貼り付け、くるりと振り返る。



「猿が宇宙旅行行くようなモンだよ。」



加藤はめげることなく、無駄にポジティブを発揮してニッコリ笑う。



「それじゃ、希望はゼロじゃないですねッ!」



あまりに自信満々だったから、そうだなって諦めて笑った。



END