No control162 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


コメントもメッセージも返してなくてごめんなさい(T-T)
1回どこかで諦めて再スタート切らせてください、ほんとすみません(T-T)(T-T)

そしてrさん、まさかの覚えててくださって0時ピッタリに送って下さって、めちゃくちゃ驚いたし嬉しかったです(T-T)(リア友よりも早いっていう!笑)
時を同じくして、和様からもプレゼント頂いて…
私……幸せすぎる。・゚・(*ノД`*)・゚・。
本当に本当に、ありがとうございますヽ(;▽;)ノ✨✨✨

そんなわけで私、今日また1つ歳をとりました♡
色々バタついてはおりますが、ゆっくりと1つずつ問題を解決して4月から新しいスタートを切れるよう頑張ります!
最近鬱々してしまいましたが、今年の目標は笑顔!
色んなとこに顔だして活発的に笑顔で行こうと思いますー!!!٩(ˊᗜˋ*)و✨

さぁそんな誕生日に、すごく嫌な話をGO!(笑)













【Side 大野】


翌日の日曜日。


夕飯をご馳走してくれるという話らしい。


一度自分の家に帰りカジュアルな服の中ではしっかりしたものを選び、身に纏う。


緊張しないわけがない。


それでも、恋人の両親に挨拶に行くだなんて幸せなことだ。


自分の人生は諦めていたから、何だって奇跡的で、嬉しい。


例えそれが、確実に歓迎されないものだとしても。



「…ここ、だけど…」


未だ乗り気でない櫻井さんが苦々しい顔で指をさしたその場所は、豪邸。


重厚な門の奥には真っ白な壁の建物が三階建てでそびえ立っている。


決して狭い敷地には見えないのに…。


「す、すごいね。」


「……中身は空っぽですけどね。」


櫻井さんが自嘲気味に笑い、押しますよ?と一声断りを入れてインターフォンを鳴らす。


「はい。」


「俺。」


「あ、、、あの!こんばんは。大野智…と、申します。」


「えっ…?あ、えっと…こんばんは、とにかく入って。」


お母さんだろうか。


そりゃそうだ、アルファの恋人を連れてくると思い込んでいたなら、男という選択肢は極めて低い。


アルファの男同士なら、結婚は出来ないのだから。


ガチャ、ウィーン…


自動で開く門に驚きつつも、深呼吸をひとつ。


イバラの道は目に見えてたんだ。


…大丈夫。



すると櫻井さんがそっと手を握ってくれた。


「…俺もいますから。…いざと言う時は、逃げて帰りますよ。絶対に良い展開にはならないので…。」


ぎゅっと手に力を入れる櫻井さんの方が緊張している気がするのは気のせいかな?


「…逃げないよ。櫻井さんとのことだもん。」


「ダメです。それは俺が判断します。」


「んふふ…俺相当頑固だから。」


櫻井さんが、思い当たる節があるのか眉を顰め、ため息をつく。


「…とにかく。親の承諾なんて要らない歳なんですから。それだけはよく覚えといてくださいよ?」


「分かった。…ありがとね。」


櫻井さんは優しい目を向けてくれて、再度手に力を込める。


「お邪魔します。」


1歩、敷地へと足を踏み入れた。




「あ…えっと…もしかして、翔の…?」


「初めまして。翔さんとお付き合いさせて頂いております、大野智と申します。」


玄関先でぺこりと頭を下げる。


「…び、ビックリしたけど…翔はその…同性が好きだったのね?何も聞いてないから驚いちゃって。ごめんなさいね。」


「いえ…突然すみません。ありがとうございます。」


「じゃ、上がって?スリッパこれを…」


「……いいえ。上がれません……。」


首を横に振ると、櫻井さんが慌てて「飯の後で話しましょう?」と横槍を入れる。


「ええ、まだ支度途中だけど…良かったら食べていってください。」


「…その資格が…僕にはきっと、ないと思うんです。」


「ちょ、大野さん…!」


「…翔…?」


戸惑う櫻井さんに、不安そうなお母さん。


そして…なかなか入ってこない俺らを不審に思ったのか、お父さんも玄関へとやってくる。


「一体どうし…え、男?!翔、どういうことだ?恋人じゃなかったのか?」


「…婚約者だよ。」


櫻井さんがふてぶてしく答える。


「…お前、同性愛者だったのか?!…気色の悪い。」


「お父さん!」


お母さんが慌てて宥める。


「折角アルファを見つけたのに、子も産めないんじゃ純血の血が途切れてしまうだろう。」


「そうだけど…いいじゃない、優秀そうなアルファなんだから。ねぇ?」


櫻井さんが、はぁ、と大きな溜息を吐く。


「…二人とも相変わらずだね。大野さん、もう帰りましょう。」


引っ張られた腕をぐっと止める。



「……産めます。」


「…は?」


「大野さん、いいから!」



「僕は…子どもが産めます。」



櫻井さんが目を手で覆う。


「…ど、ういう…?」


「……君は…女性なのか……?」


俺から発せられるアルファのオーラのせいだろう。


ますます混乱していく御両親に、俺はくるりと振り返り襟元を解く。


シャツを後ろに弛ませ、そこを見やすいように角度を調整する。



櫻井さんのモノになった、証を。



「……っ、噛み跡…!!!!」


「お前…オメガか……っ?!?!」


青ざめて後ずさる2人に向き直り、こくりと頷く。


「はい。僕はオメガです。」


「…俺が…俺の意思で、ヒートじゃない時に噛んだ。この人は俺の運命の番だよ。」


櫻井さんが俺の肩をぐっと引き寄せる。


ご両親の顔が歪んでいくのがハッキリとわかる。


「ふざ…けるな!!!許さん!!!!何でオメガなんて底辺の生き物を…っ!!!」


「運命の番だなんてバカバカしい!翔、あなたは高潔なアルファなのよ!それをこんな…っ」


二人の目が、ゴキブリを見るかのような蔑んだ目に変わる。


櫻井さんが何かを言おうとしたけど、俺がそれを制する。


「突然、このような形で…驚かせてしまい申し訳ありません。」


「そもそも何でそんな…アルファのオーラがあるのよ?!」


「実は…僕の家系もアルファだらけで。それが原因の一つかもしれません。従兄も同じく、アルファ夫婦の子どもですがオメガに生まれ、アルファのオーラを持っています。」


「はぁ?!アルファ同士の子どもでオメガが生まれるなんて…!」


「…確率は低いと思いますが、ゼロではありません。そういうこともあるようです。」


鼻息荒くお父さんが、「有り得ない!」と叫ぶ。


「アルファとアルファの子はアルファだ!うちの子供達が証明してる!高潔で、純潔な血が流れてるんだよ!!」


「そ、そうよ!目を覚ましなさい翔!あなたはこんな低俗な種族となんて…」



「目を覚ますのは親父達の方だろっ!!!!!」



大きな声を出したのは、言うまでもなく櫻井さんだ。


俺まで驚いて櫻井さんを振り向く。


「…俺はずっとアンタ達の言うことを真に受けて育ってきた。アルファは偉い。オメガは悪だ。番にして欲しいからフェロモンぶち撒いてアルファを狂わす。そう言ってたよな?」


親を睨みつける櫻井さんを止めるべきか分からない。


だけど…その剣幕を止められる自信はない。


「はっ、笑わせるよ。どっちがだよ。オメガからしたら、そんな考え方のアルファは悪でしかないだろ。ヒートは生理現象だ。それに狂って寄って集(たか)って襲い掛かるのは俺らの方。好きでも何でもない奴に襲われる相手の気持ちを考えたことがあんのか?


…一部だろうけど、オメガがどういう気持ちで生活してるのか教えてやろうか。


……死、だよ。


もし襲われたら殺して欲しいって、そんな覚悟を持って抑制剤を色んなところに忍ばせて必死に生きてんだよ!そんなこと考えたことあったか?…俺はなかったよ。アンタ達の洗脳のせいでオメガの人の生活や気持ちなんて意識する余地すらなかった。同じ人間だとすら思ってなかった。


だけど違ったよ。獣みたいな俺たちよりよっぽど人間だった。自分たちの不遇を打開すべく、必死でもがいて。足掻いて。努力して。誰かのために自分の人生投げ出して死ぬ気で頑張ってさ。そんなこと、アルファはしない。自分のことばっか考えてる、アルファなんて最低のクズだ。」


「お前…!」


ご両親の顔が怒りで真っ赤に染まっていく。


「アルファの両親を持ってること、前は自慢だったよ。そうでもして自分たちの恋愛を貫いてるんだと思ってたから。でも…ちげぇじゃん。アンタ達はさ、自分のプライドを守ってるだけなんだよ。浮気を正当化して。どこが自慢の親なんだよ。ふざけんな。色んなところでオメガを不幸にして。諸悪の根源だろ。」


「翔、いい加減にっ……!」


「櫻井さん、それは違うよ。」


お父さんと被ってしまったけど、俺はそのまま続ける。


「違うの。悪なんてないの。アルファも、ベータも、オメガも。皆悪くないよ。それぞれの種族で、それぞれの習性と悩みがあって。アルファとオメガは特にそれを強く反発して考えちゃうけど。誰も悪くないんだよ。皆、人間なの。


それに、櫻井さん…翔さんは。僕やオメガの友人の気持ちを汲んでくれて、ベータの同僚のことも理解してくれて。今、必死で『誰かのために』努力してくれています。アルファであることは、勿論能力的にも凄いことです。だけど…翔さんの素敵なところは、アルファである故の能力だけじゃなくって。


間違いを認められるところ。真摯に向き合い、謝れるところ。自分の信念を曲げた上で、人を思いやれるところ。…たくさんあります。そんな翔さんを育ててくださったのは紛れもなくお二人です。だから…僕は、一方的に感謝しています。大好きな人のご両親ですから。」


「…大野さん…。」


「…誰も悪くない、だと。オメガさえいなければ、俺達はあんな想いをしなくて済んだんだ…」


「そ、そうよ…私達は悪くない…!オメガが悪なのよ!!」


2人の言葉を聞き、櫻井さんが何かを思い出しながら、ゆっくりと喋り出す。


「…『もし、自分がオメガだったら』。そう、オメガの『友達』に聞かれたよ。もし自分がそうだったら…俺はどのタイプだっただろうって、考えてみたんだ。」


オメガの、友達──。


棚田くんのことだろうか。


櫻井さんが真っ直ぐな目でご両親を射抜く。


「優秀なアルファと番になりたくてフェロモンで引き寄せるか。…それすらも番は一方的にアルファから解消されるし、不安定なものだけど。

それか、ビクビクその項を守りながらまともな職にもつけずに暮らすか。

それとも、死をも覚悟して好きな奴へ想いも告げられずに生きるか……。」


櫻井さんがちらりと俺を見る。


「あるいは…自分の人生を投げ打って、自分の幸せを全て諦めて、大切な人の為に身体をボロボロにしてオメガの人権を守るため、種族の偏見を取っ払うために死ぬ気で努力するか。」


俺の、ことを…言ってくれてるんだろう。


そんな立派なものじゃない。


俺は贖罪として生きてきただけなのに。


「俺は…母さんも、翔も。アルファだ。そんなもん考える価値がない。」


「…親父やお袋が襲ったり項を噛まれてしまったオメガは、今どういう想いでどういう生活をしてるんだろうな。そんな自分と関わった人すら、…自分が犯した罪すら。考える価値がないって切り捨てんのかよ。」


「………。」


お母さんが俯く。


「…言いたいことはそれだけか。」


お父さんの低い声が響く。


「まだまだあるけど、暴言しか出ないしどうせその固い頭じゃ一生理解出来ないだろうからもういいよ。」


櫻井さんが蔑みの目を向ける。


「出ていけ。お前なんて勘当だ!!」


「お父さんっ…」


お母さんが慌てて止めるも、櫻井さんは分かりました、と頭を下げる。


「お世話になりました。俺は大好きで大切な人と勝手に幸せになります。どうぞ偏見に溺れてその狭すぎる視野で周りを罵ることで自分を正当化して生きていってください。」


「さ、櫻井さん!」


「大野さん、行きましょう。」


「待って、せめてパソコンだけでも直してあげて!困っちゃうから!俺は認めて頂けない限りこの家に入れない!」


ここまで話が悪い方に展開するなんて思ってもなくて。


突然のことにパニックになっちゃって、間の抜けたことしか言えなくて…。


「もう…関係ありませんから。」


櫻井さんはずんずんと歩みを進める。


振り返ると、閉まりかけた扉の隙間から、お母さんの複雑そうな顔が見えた。