イエローペアン1(二宮さん誕生日企画④) | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


nekoさんリクエスト入ります!
配役はnekoさんに最初に頂いた通り、
渡海→二宮
高階→大野
世良→相葉
佐伯→松本
西崎→櫻井
です。
悩みに悩んだのは、ブラックペアンの世界観のまま入るか、配役だけ尊重して全く別のものにするかどうか。
医療の知識がないからブラペそのままにするには見返しながらの作業になるのだけれど、別物にするとなれば内容全くなくて皆当人の感じの優しい性格の、ふわっふわした感じになってしまいそうなのでやめました(笑)
一応若干調べながら書いてますが撮りだめてるドラマを見直す時間が無い(untitled観なきゃだから←)ので、多少間違ってるかも知れませんし省くために少し変えてます。
ストーリーも最初だけはドラマに沿いますが全然違う話になる予定ですので、ご了承ください!







コツ。コツ。


ゆっくりと気怠く廊下を歩く男を、遠巻きに見つめる3人の白衣の男達。


1人は数日前からこの病院で働くことになった医師だ。


「あの人だよ。」


「へぇ、何かちっさいッスね。」


「身長は低くても呼ばれる名は『オペ室の悪魔』。…あの人の腕は患者を生かすが医者を殺す。」


「噂には聞いてたけど、怖~…。」


「関わったら終わりだ。せいぜい…」



「患者を生かしてるならいいお医者さんなんじゃないですか?」



「?!」


ひょこっと顔を出したのは研修医の相葉。


驚いて一歩引く医師たちに、相葉はにっこりと笑ってみせる。


「あ、すみません!立ち聞きするつもりじゃなかったんですけど。」


「お前かよ、あービビった…いや、間違いなく悪魔だよ。性格がな。」


「えー?そんな風に見えないですけど!何か可愛い顔してませんか?何なら女の子みたい…くふふ(笑)」


「こ、声でかい!」


慌てて口を塞ごうとした時、コツ、とフロアに響く足音。


が、自分達のすぐ後ろで鳴る。


ぎくりと医師たちは固まる。



「…井戸端会議ですか。楽しそうでいいですねぇ、腕の無い暇な医者は。」



視点は低いのに見下すようなその冷たい視線に、その場にいた全員凍りついた──相葉を除いて。


「こんにちは!二宮先生!俺、あなたの下につくことになりました、研修医の相葉雅紀ですっ!よろしくお願いします!」


90度に曲がる腰。


二宮はそれを一瞥し、小さく溜息をつく。



「………邪魔。」



呟くようなその一言は、低く、周りの人間全てを威嚇するかのようだった。


医師たちは慌てて、二宮の道を拓く。


「あ、待ってくださいよ二宮先生!患者さんの引き継ぎを…」


「邪魔だ。」


「え、でも俺引き継ぎ…」


「邪魔っつってんだろ。」


今度は確実に相葉に向かって言い放つ。


仕方なく退く相葉に目もくれず、二宮はコツコツと歩みを進めた。



やがて二宮の背中が消え、医師たちはほうと息をつく。


「ほらな、だから言ったろ?」


「へ?」


「性格。悪魔だろ?」


「うーん、まだ分かりません!ちょびっとしか話してないし!」


相葉は親指と人差し指で『ちょびっと』を表現する。


「……お前……無駄にポジティブだな……」


「ありがとうございます、よく言われます!!」


相葉はにこっと明るく笑った。


(…褒めてない。)


その場にいた医師は全員心の中でつっこんだ。






「やあ、二宮。俺の患者を助けてくれたんだって?」


「……。」


二宮は無言で頭を下げる。


その顔はどこか面白くなさそうで、そして何1つ信じていないというような目だ。



「しかも…松本式で。」



ここは東城大学医学部附属病院。


その中の権威…松本教授。の、部屋。


松本式というのは、僧帽弁手術を人工弁を使用し心停止させずに縫合するという松本にしか出来ない術式だ。


「いつの間に完成させてたのかなぁ。」


松本はにっと口角を上げて笑う。


二宮はゆっくりと顔を上げ、


「…ええ?……何のことでしょう?」


そう低く、小さく囁くと、歪んだ顔でいやらしく笑う。


松本は暫しじっと椅子から二宮を見上げた後、クスッと笑った。


「…まーいいよ。」


「では、失礼します。」


「待てって。」


松本の声が少し低くなる。


二宮の足はぴたりと止まる。


「オペしてお互い疲れたんだ。遊んでけよ。」


にやりと笑う松本の目は、口とは違い笑っていない。


大きな瞳で、挑発的に二宮を捉える。


「…そちらの方がよっぽど疲れませんかねぇ。」


「ストレス発散だよ。分かんだろ?」


松本はおもむろに立ち上がり、羽織っていた白衣を脱いでストンと床に落とす。


二宮はその白衣をじっと見つめる。



──まるで父親のようだ。



必要な時に盾にされ、不必要になれば簡単に床に捨てられる。


二宮の父親は松本に裏切られた。


だからこそ、こうやって懐に入り込み…


吐き気がするような要求にもじっと耐えてきた。



「…っ、や、ぁ、っ」


「啼 けって…な?悦 んでるくせに。」


「あぁっ…!」



全ては松本へ復讐するため。



立場のない平の医師では、教授とこうして話すこともままならない。


権力争いをして近付くとミスをすれば一発退場。


それに松本は出世のためにわざとらしく媚を売るような人間は側に置かない。


置くのは、お気に入りのペットだ。


二宮は、立場のない医師のまま…


権力争いをせず、教授に気に入られるため……身体を差し出した。


大きな権力も立場もあるこの男を、地獄の底へ突き落とすためには


懐に入らないことには、捻り潰されて終わりだ。


……親父のように。


だから、俺は…飼い犬のように望みを聞いてやる。


「はぁっ、あっ……!」


「おら、もっと高い 声出せよ!」


「あぁぁっ…!!」



それが、この男への一番の復讐への近道だと信じて──。