「ちょ、まじ見んなってこれはダメだろ!」
流石に慌てて脚を閉じて隠そうとするも、小栗の手がそれを阻む。
「味見だけ♡」
ぱくっ。
「っ………!!!」
「おい!まじか!!!」
松本がその信じられない光景を見て思わず叫ぶ。
「バカ、起きんだろ。」
小栗が口に 含みながら 喋り、大野は身を捩らせる。
「…あっ、やめ…っ、いやぁっ…!」
見たことのない表情。
聴いたことのない高い声。
そして隣の部屋で櫻井がいる背徳感。
松本はズク、と自分が奮い 立つのを感じた。
痒みにも似たもどかしい 疼 きが理性を支配していく。
ちゅ、くち ゅ、と小栗の口から漏れるその音に大野も松本も、小栗本人も煽られる。
やばい、と思うものの大野は身体が思うように動かない。
意志とは反してそれは勝手に質量を増す。
「おーのひゃん、おっひいね(大きいね)」
小栗が驚きながら舌 でなぞる。
松本が肩越しにそれを見つめる。
大野の後ろでゴクリ、と唾を飲み込む音。
「やめろ…っおね、がっ…」
小栗は一つ一つの表情を見逃すまいと上目遣いに大野を見る。
涙目で声を 抑え必死で 堪える大野の顔を見て小栗はぶるっと震える。
「しょ、くっ…翔くん…っ」
ついには大きな涙がこぼれる。
それを見て松本はハッとする。
「旬、マジで起きるって翔くん。もうこの辺でやめとけよ!」
「滅多な事じゃ起きないよ。薬盛っちゃった♡」
「は?!」
「う、そっ……」
「嘘じゃないよ大野さん。大丈夫、ただの睡眠薬だよ?だからゆっくり楽しもう?ね?でもあんま声出すと起きちゃうかもしれないから、気をつけてね。」
にっこり笑いながらまた小栗は大野を口に含む。
「ぅあっ…翔くんっ…翔くん、翔くん、翔くん…!!」
「そう、翔くんだと思えばいいんだよぉ。俺櫻井くんでーす。」
「おい旬、お前マジで言ってんの?」
「潤は耳以外にキスしとけば?(笑)」
そう言われて大野さんがびくっとして振り返る。
不安そうに垂れた眉。
涙でゆらゆら揺れる瞳。
「まつじゅ…」
助けを求めるはずのその言葉は、完全に逆効果で松本のスイッチが入る。
「……っ!!」
ごめん、大野さん。
止まんねーわ。
*
「な?」
「…いや、は?」
「だからさ、俺は酔うわけにはいかねーんだよ。」
雑誌の取材のため二人きりの楽屋で櫻井が真剣な顔をしてウンウンと頷く。
「ちょっと待ってよ、何で俺そんな流されてんだよ。」
「流されるね!智くんの小悪魔度わかんだろ?あれで流されない人がいたら坊さん通り越して仙人だよ。小栗なんて一瞬だろ。あー怖!」
翔くんのが怖いわ。
何だそのリアルで俯瞰で見てて俺の反応までバッチリ考え尽くされた妄想。
気持ち悪っ!!
「そういうわけで、店は俺が決める。そう小栗に言っといて。馴染みの個室あるとこ予約するわ。で、智くんは22時には帰すから。次の日早めに雑誌の取材を急遽入れる予定だから。」
「入れる予定って……翔くんて、マネージャーなわけ?」
「使える権力は全て行使するよ。じゃないと怖くて飲みなんて快諾出来るわけないだろ。」
櫻井に、OKしたって本当?と聞いたところから延々とこの妄想話を聞かされたのだ。
松本は既にぐったりしていた。
してもない罪を咎められた(気がする)からだ。
しかしその話にはいやに説得力があり、その状況で自分の理性が勝つとは確かに思えない。
だからこそ余計に疲労感が伴う。
「なら断わりゃいーじゃん…」
「それは負けた気がして嫌だね!」
あーーこの人めんどくせぇーーーーーーー。
松本はため息をつく。
「…俺、パス。行かね。」
「えー?何でだよ??」
わかれよ!
結局、松本が行かないことにより話は流れた。
真相はというと。
小栗は趣味である油絵を一緒に描きたいだけだった。
しかし二人きりはまずいと思い松本を誘い、櫻井も来るようけしかけただけだった。
という事実を皆が知るのは、もう少しあとのお話。
夢オチやら妄想オチやら好きだな!
…と思われても無理はないですね(笑)
山ベースのO総受けが結構好きらしい…←
小栗さんて油絵好きなんですね。
知ってました?私知らなくて。
これ書くにあたってちょっと調べました。
無駄に(笑)