【Side 二宮】
ここ数日、同じことをぐるぐる考え続けてる。
大野さんに言われた、告白のこと。
ダメだなぁ。
云うと決めた途端に意識してしまう。
簡単でしょ？
二文字じゃん。
好き。
はいおしまい。
何でこんな簡単なこと出来ないんだろ？
感じたまま口を開けばいい。
暑いね。
疲れたね。
楽しいね。
好きだよ。
…何で出ないかなぁ。
こういうの平気で言えるタイプなはずなんだけど、どうしても出てこない。
『好き』って言葉と、想いが比重しなくて。
そりゃそーだよね。
何年好きだと思ってんだよ。
嵐結成前から、相葉担トップなんだからさ。
どう考えても、そんな軽いものじゃない。
『ニノ！』
底抜けに明るい声が脳内に反芻する。
俺の意思なんて無視して、眩しくて仕方ない笑顔も浮かんでは消える。
ああ、やめてくれ。
これ以上、相葉病にしないでくれよ。
俺の申し出をあんたはどう思う？
キモチワルイ？
それともウケイレナキャ？
そんなんで付き合っていいものなのか？
誰より優しいあんたの手を、こんなにひねくれて性格の悪い俺がとる資格、あるのかな。
それか…
『好き』
この二文字で、俺も変われるのだろうか？
相葉さんという太陽を手に入れたら、或いは、俺は…
手の中のゲーム機に浮かぶGAME OVERの文字。
「はぁ…。」
恋愛もゲームも、調子出ないよ。相葉さん。