1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

 

地味にこのカップルが好きみたいです。

私基本総武線が好きなんですけど

末ズは…ありっちゃぁ…あり(宿題君か何かのOさんのセリフ/伝わらないモノマネ選手権)

そういやにのさんのライブって皆応募した?

プライベート(友人関係)でも色々ありまくりで、心が忙しい日々です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side松本】

 

「…マジ…」

 

「どったの」

 

ひょいと俺のスマホの画面をのぞき込む和に見やすいよう手首を傾ける。

 

大野さんからの報告メールだ。

 

「え、翔ちゃんの両親落としたの!?」

 

「…みたい。まだ広告についての話は進んでないけど交際含め認めてくれたって…すげぇわほんと、あの人達。」

 

笑いながらおめでとうございます、と返信する。

 

あの日。

 

 

──…櫻井さん…お願いしてみてもらえないかな…。

 

──あのね。無理ならそれでいいの。だけど…諦めたくないの。全部だよ。…全部。

 

 

ずっと一人で抱えて全てを諦めていた大野さんが

 

諦めたくないから頑張ってくれと櫻井さんに申し出た。

 

あの瞬間、俺は泣きたくなる位嬉しかったんだ。

 

自分の欲や希望なんて口にするなんてもってのほか、みたいな考えの人だったから。

 

俺が協力を申し出たにも関わらず、番のフリしてるのがずっと申し訳なさそうで、苦しそうで…。

 

この企画も皆が色々な形で大野さんの思想に影響されてやれることをやらせてほしいと名乗り出ただけなのに、

 

『手伝わせてしまっている』と根底に考えている感じだったし。

 

そんな大野さんが、「頑張ってほしい」と言えたんだ。

 

それだけのこと、だけど

 

めちゃくちゃ

 

めっっちゃくちゃ嬉しかった。

 

その時、ずっと貼っていたシールの部分がすっと浄化したような…

 

ただのシールだけど、大げさながら俺はオメガの人生を生きていた。

 

その気持ちに寄り添って生活してた。

 

それが…報われた気がしたんだ。

 

きっと沢山のオメガの人が、言いたいことを言えずに生きてる。

 

そんな世の中を変える第一歩があの一言だと言っても過言じゃないと思っている。

 

根付いた気持ちや固定概念を変えることは決して容易なことじゃない。

 

だけど大野さん達は櫻井さんの両親を変えた。

 

大野さんも変わった。

 

そのきっかけが櫻井さんってところが気に食わないけど。

 

 

ヴ、とスマホが振動する。

 

見ると大野さんで。

 

『全部諦めたくないって思えたの、松潤の存在のおかげだよ。

ずっとずっと、助けてくれてありがとう。これからも…困った時はお願いしてもいい?』

 

…本当に、この人は。

 

最後の一言が、どれだけ俺を喜ばせるか…

 

あなたに頼ってもらえることが、どれほど俺にとってありがたいことか…わかっているんだろうか。

 

きっとわかってないな、と小さく笑う。

 

『あなた達の努力の結果です。俺に報告してないで思う存分イチャイチャしてください。

…でも、ありがとうございます。俺も勝手に頼りますので、絶対に俺を頼って下さい。

あなたの一番の部下より。』

 

 

「…ニヤニヤしてる。」

 

和がじとりと俺を睨む。

 

「わり。櫻井さんとイチャイチャしとけって送ってた。」

 

「ふ~ん…潤はほんと好きだよね、『大野さん』。」

 

「…ははっ」

 

思わず笑った俺に和がいよいよ怒り出す。

 

「何笑ってんのよ。そんなおかしいわけ。」

 

「可愛いなぁって。」

 

「はぁ???」

 

心底意味不明って顔してる和の後頭部を掴み、引き寄せる。

 

「んっ…!」

 

噛みつくように唇を食み、数秒後離れると真っ赤になっている和は本当に可愛い。

 

「…何サカってんのよ。」

 

「あれ、サカったの?ただのスキンシップだよ。」

 

クスクス笑うと、また睨まれる。

 

「俺、『天下のアルファ様』なんですけど?」

 

「思ってないこと言う和もすげー可愛い。」

 

「…ばっかじゃない。」

 

ふいと横を向くヤキモチ妬きの和の横顔が大好きで、愛おしくてたまらない。

 

この気持ちを大野さんへの尊敬の気持ちと比べてしまうのは本当にもったいない。

 

だって別じゃん、絶対に。

 

この唯一無二の気持ちは、きっと和だからで。

 

きっとこれから先も和だけで。

 

 

「そんなことより、ホテルもうすぐなんでしょ?」

 

「あー…うん、まぁ。」

 

オメガのヒート専用フロア付きのホテルは完成間近。

 

あとは内装位で、オープン日までは多少日があるものの広報課は大忙しだ。

 

プレオープンセレモニーもあるし、使える宣伝はとにかく手広く使いたいところ。

 

しかし…

 

『…オメガの施設…ですか。うーん…他に目玉となるものはないんですか?』

 

『これ…本気でやってるんですか、Samejimaさんとこは(笑)』

 

『また革新的(笑)なことを…採算とれるんですか?(笑)』

 

やはり否定的に捉える人は多い。

 

いいですね、と取材を喜んで受けてくれたのは雑誌社二社、新聞社三社のみ。

 

テレビ局に至ってはゼロ。

 

電子公告やポスターなども主要な大きいものは断られてしまった。

 

今回に限っては掲載料を多く払えばどうにかなるというものではない。

 

印象を悪くしてアルファの、つまりは金銭的に余裕のある客の来店を遠ざけてしまうことに繋がる可能性がある。

 

決定権がある人にはアルファが多いから仕方がないといえばそうなんだけど…

 

ゲームの状況よりは悪くないものの、ここで躓いてしまうと一気に雲行きが怪しくなる。

 

…いや、櫻井さんの父親がゲームの広告を押してくれるならホテルのが不利なのかもしれない。

 

この企画はオメガのためのものだけど、オメガだけにこっそり展開すればいいってわけじゃなくて、企業が、社会が歩み寄ってることを知って欲しいわけだから。

 

「佐藤にツテ聞いてみるとかは?テレビ業界詳しいでしょ。」

 

若干嫌そうに和が聞く。

 

(いつまで佐藤君に嫉妬するんだ、こいつは。何故か知念に惚れてるんだからどう考えても大丈夫だろ。)

 

和はゲームのチェックをしてるようで、その眼の下にはクマが出来ている。

 

…まぁゲーム作りの前からクマは常にあったけどね。

 

ただ大好きなゲームをプレイせずにクマを作るだなんて、今までは考えられないようなことだ。

 

倒れるなよ、と言ったところで本人は聞く気はゼロ。

 

心配ばかりしてたけど、和は楽しいんだと教えてくれた。

 

自分の諦めていた夢に取り組めるこの時間は、ゲームをするよりもっと充実しているのだと。

 

無理をして取り組んでいるようには確かに見えなかった。

 

一度は完成し今は手直しのみなのに、重箱の隅をつついているような状態でより良くしようとする姿はどこか寂しそうにも見える程だ。

 

 

「佐藤君に俺らのホテルの件は関係ないからね。」

 

ただでさえゲームの方での宣伝に一役も二役も買ってくれている。

 

他のことを頼むのはお門違いだ。

 

「でもテレビでやってくれないと若い子は見ないでしょ。話題になれば別だけど。」

 

「…そうだよな…。あー、何かないかな、いい手…。アルファが多いんだよテレビ業界の重鎮は…。」

 

天を仰ぐも、和が上からのぞき込んでくる。

 

「…やめる?」

 

ニッと笑う和は、俺の答えを知っている。

 

「アホか。やめるわけねぇだろ。」

 

和なりの応援だろう。

 

目の前の和をしっしと手で追い払い、両手をぐーっと伸ばして立ち上がる。

 

「もう一回、回ってみる。もしかしたら心変わりしてくれたりするかもしれないし。」

 

「それでこそ潤。」

 

和は満足そうに笑って俺の背中をぽんと叩き、英字の羅列するパソコンに視線を戻した。

 

いつだってこいつは、立ち止まることを選ばない。

 

慰めるわけでもなく、「休んでもいいんじゃない?」などと優しくするでもない。

 

俺の背中を押し、手を取り、一緒に走ってくれる。

 

和のこういうところが好きで、尊敬してる。

 

思いやって止めてくれる大野さんより、ケツを叩いてくれる和の方が俺に合ってると思うんだ。

 

なんて、比べるようなこと言ったらまた拗ねるんだろうか。

 

それとも耳を真っ赤にして「ばっかだな」とか言うんだろうか。

 

「…和、これ片付いたらさ。」

 

「んー?」

 

和は視線はそのままで、俺に耳を傾ける。

 

 

「プロポーズするから、答え考えといて。」

 

 

言うだけ言って、俺はさっと部屋を出た。

 

「………へっ?」

 

間抜けな声とガタンと椅子から落ちる音が背後から聞こえたけど、俺は振り返らなかった。

 

 

ずっと考えていたことだ。

 

大野さんと櫻井さんが親と向き合っている姿に刺激されて、目を逸らしていた未来と対峙したいと思えた。

 

和の親に、そして俺の親に。

 

許可をもらうこと。

 

ベータとアルファ、男同士のパートナーシップ。

 

子供は産まれない。

 

反対は目に見えている。

 

それでも俺は諦めきれない。

 

和との、幸せな結婚生活を。

 

俺だって幸せにならなくちゃ。

 

だって自分ばかり幸せだと不幸に身を寄せてしまう癖のある人がいるから。

 

そうでしょう、大野さん?

 

「絶対、幸せにするんだ。俺が。ベータだって、アルファを幸せにすることが出来るって…証明してやる。この人生かけて。」

 

あなたに負けないくらい幸せになることが、あなたへの恩返しに直結すると思うから。

 

…いや、それもあるけど…

 

 

俺が、和と幸せになりたいから。

 

俺が、和を幸せにしたいから。

 

 

項に手を伸ばす。

 

勿論そこにはシールは貼っていない。

 

もう偽ることは何もない。

 

大野さんの為だとばかり思いこんでいたけど

 

結局は自分のためになっている。

 

属性やLGBTQへの差別?

 

そんなバカげたことのために、和との将来を手放してなるものか。

 

あの二人が乗り越えたように

 

俺らだって。

 

「っっし!やるぞ!!」

 

俺らは俺らのために生きるんだ。