航海日誌・編集後記

航海日誌・編集後記

工房「羅針盤」の機関紙、「航海日誌」の編集後記です。

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 最近の文房具の進歩は目覚ましい。針を使わないホッチキス、重ねた紙でも一番上の紙だけを切るカッター、間違えたら消せるボールペンや蛍光ペンなど、多種多様な文具が開発されている。事務仕事が多い私にとって便利な文具が増えるのは有難い話だが、シャーペンとボールペンが一本になって大いに驚いた世代にとっては今の進化は早すぎて、昔から使い慣れている文具を駆使しながら仕事をしている。

 さて、文具と呼ぶのは不適切だと思うが、事務の仕事を飛躍的に一変させたという点でパソコンが挙げられる。その便利さ、多機能性においては、他のどのツールの追随も許さず、私たちの日常生活、そして人類の発展に大きく寄与している。恐らく私はパソコン機能の何十分の一しか使いこなせていないが、それでもその恩恵を感じずにはいられない。もっとも私世代はワープロが主流だったが、それでも当時はその便利さに圧倒された。苦労してせっかくワープロの使い方を覚えたと思ったら、いつの間にかパソコンが席巻し戸惑ったが、必要な情報がいつでも簡単に得られるインターネットの気軽さと便利さに魅了された。しかし、タブレットなど新しいものが続々と開発され、もうついていけない。そんな私を尻目に、若い職員は羨ましいほど最新の文具、いや電子機器を操っている。

 そもそも私の少年時代の画期的な文房具と言えば「象が踏んでも壊れない筆箱」だった。因みにその頃はペンケースなどといった言葉はない。ある日、新し物好きの友達が学校へ持ってきて自慢していた。外見は普通の筆箱と特に変わった点はなかった。そこで試しに持ち主の了解を得て踏んでみたら「バキッ」という乾いた音がした。新品の筆箱を壊された友達もショックだったが、「あいつ象より重たいで」という噂を流された私のほうが、もっとかわいそうだった。(山)