ちぎれたゼロ戦
数年前、夫の仕事でアメリカに住んでいたことがありました。その頃アメリカのどこかで第二次大戦期の日本の戦闘機の残骸が発見されたとのニュースがありました。その残骸がスミソニアン博物館に展示された、とも。ちょうどワシントンに旅行に行く時だったので軽い気持ちで博物館に出かけたのでしたが。スミソニアン博物館にはありとあらゆる乗り物の展示がありました。子供はとても喜びました。そしてあるコーナーでの模型を見上げた時自分でも思いもよらぬ気分に陥ったのでした。その模型は何分の一かに縮小された戦争に使われたアメリカの大きな飛行機とその周りをハエの様にちいさな数機の日本の戦闘機でした...あの、ちいさな戦闘機に年端もいかぬ若者がのっていたのかと...わたしは立てなくなってしまいましてね...涙がこぼれてしまいそうになりましてね父親に肩車をされて喜んで展示物を観て回っている子供の傍に行けなくなりましてね行けば嗚咽になってしまいそうで片隅にあるベンチに込上げてくるものが治まるまで坐っていました。自分でも想像もしない沸きあがる感情でした...。そしてゼロ戦の残骸ですがどうしたらあの様な形になるのか...まるでねじり曲げられた様にちぎられた形の真っ二つの戦闘機、ただなにかに追突して二つに折れたという形ではないのですねじり曲げられた形できれいに残ったゼロ戦の先端...そこにはやはり若者がのっていたのですよね...とても近くで見物なんてできませんでしたね...