ウズラ・ハト:
みなさんこんにちは!
ウズラ:
今回の「ウズラとハトの東京ほどほど散歩」は散歩をしておりません。
ハト:
2回目にして、早くも連載中止でしょうかねぇ。
ウズラ:
なんで他人事みたいなんだよ。だいいち、連載じゃないからね。
東京都に緊急事態宣言が出てますから。散歩はちょっと控えまして、ステイホームです。
だから今回は、今後どんな所を散歩していこうかという話。計画を立てよう、という回です。
いつも感染対策バッチリだとは思うんですけどね。そもそも我々は「密」っていうのが苦手なんですから。
ハト:
たしかにね。密輸。密売。密室殺人。どれも苦手でしょ。
ウズラ:
得意だったらまずいでしょ。
ハト:
僕は密室殺人得意ですよ。
ウズラ:
…?
ハト:
名探偵ですから。
ウズラ:
ああ、解決するほう?
ハト:
例えばだね君、大富豪殺人事件さ。
ドアの鍵はかかっていた。窓の鍵も締まっていた。しかし部屋の中で大富豪は殺されていた。いったいどういうトリックが使われたのか。君、分かるかね?
ウズラ:
分かるわけないでしょ。それだけで分かったら、むしろ僕のほうが名探偵でしょ。
ハト:
ワトソンくんには少し難しいかもしれませんな。
ウズラ:
ワトソンくん?
ハト:
私はホームズ。ステイホームズ。
ウズラ:
それが言いたかったの? それ面白いかなあ。
ハト:
ワトソンくん、次は桜田門の辺りを散歩しようじゃないか。スコットランドヤードもあるし。
ウズラ:
警視庁でしょ。
…で、トリックは何だったの? 大富豪がどうのこうのって話の。
ハト:
まあ聞きたまえ。犯人は大富豪を殺した後、部屋の鍵を奪い、外からドアの鍵を締めて立ち去ったのさ、ワトソンくん。
ウズラ:
僕はワトソンくんやりませんよ。
あんまりトリックっぽくないみたいだけど、
でも、そんな鍵のかかる部屋があるなんて、さすが大富豪の家だね。
ハト:
しかしこれは不自然な密室だ。
ウズラ:
そうなの?
ハト:
そうさ。密室を作る意味なんてあるかね。例えば窓ガラスを割ったりしてだね、外から犯人が侵入したように装ったほうがよほど自然ではないかね。
ウズラ:
はあ。
ハト:
しかし犯人は密室を作った。それはなぜか。「部屋にいる時、大富豪はドアに鍵をかける習慣がある」ということを知っていたからさ。鍵をかけなければ不自然だと思ったのさ。だから犯行後、ついドアの鍵をかけた。意図せずに密室を作ってしまった。つまりだね、犯人は大富豪のそういう習慣を知っている人物だ、つまり、大富豪にごく近い人物だ、ということを、この不自然な密室が教えているようなものさ。
ウズラ:
へー、なるほど! で、犯人は誰だったの?
ハト:
大富豪夫人だったよ。
ウズラ:
やっぱり! 最初から怪しいと思ってたよ!
ハト:
最後にすべてを話してくれたよ。海をのぞむ断崖の上でね。大富豪夫人泣いていたよ。
ウズラ:
…海? …断崖? …泣いていた?
ハト:
ああ、火曜日の夜のことだ。解決までに2時間近くかかったかな。
ウズラ:
もう、ええわ。それホームズ出てきたことないでしょ。
ハト:
ということで、京橋の警察博物館にも行ってみたい。
ウズラ:
なんだ、それ。
まあでも、東京には博物館や資料館がいっぱいありますね。警察博物館から始めてもいいですよ、博物館全部見に行こうって目指すのも面白いね。
ハト:
ネットでいろんなものを見られる時代だけどさ、博物館とかに、体ごと行ってね…
ウズラ:
体ごとって。意識しか行かなかったら幽体離脱みたいでしょ。
ハト:
博物館という、誰かが用意した空間に体ごと入り込んで、誰かが意図して作り出した展示の流れに乗っていく面白さっていうのがあるのさ、ワトソンくん。
ウズラ:
いい加減ホームズから離れなさいよ。
でも、なかなか面白いこと言ったんじゃないですか、今。
ハト:
ネットと博物館、どっちがいいかっていう軍配は上げられないけどさ。両国だけに、軍配は。
ウズラ:
両国は前回でしょ。
ハト:
ところでウズくん。ちょっと疲れてきた。
ウズラ:
ウズくんって。初めて聞いたわ。
名探偵熱演しすぎたからでしょ。
ハト:
ちょっと休憩にしよう、今泉くん。
ウズラ:
今泉くんもやりませんから。見てない人だっているんだから。
まだ全然計画立てられてないよ。まあでも、少し休憩にしますか、古畑さん。
ハト:
もう、ええわぁ。
ウズラ・ハト:
ありがとうございました!