今年の6～7月に出ると言われている次のiPhoneは、「有機EL採用」とか「バッテリー交換可能」だとか、「裏面にもタッチセンサーが付いている」など、いろいろな憶測がネットを賑わしています。

そんな、人々を楽しませてくれる製品を出す会社「アップル」について書かれたのが、この『iPhoneをつくった会社ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化 (アスキー新書 (073)) 』

私の場合、自分がパソコン周辺機器メーカーに勤めているということもあり、「自社の製品はどうであろうか」「アップルのような会社精神を自社にも取り込めないだろうか」など勤めている会社と比較しながら、活かせるところがないか？　を考えながら読みました。

例えば本書に書かれているこの部分
「モデルチェンジのたびに目先の印象を変えるようなやり方は、確かに短期的な需要を喚起するかもしれない。しかし、特定のデザインが市場に存在する期間は相対的に短くなり、その時期を過ぎると人々の記憶から急速に消えていく」

開発陣はモデルチェンジとなると、全く違うデザインを喜んで採用する傾向にあります。それは「違うイメージを出すことで売り上げアップさせたい」とか、「似たようなものをデザインするより、違ったデザインを採用した方が仕事をした気になる」からだと思います。

でもそれは企業（製品）イメージを崩し、機会損失をしているだけ。

例えば、お客さまは外付けハードディスクの容量が一杯になったから、もう1台買おうとした場合、同じ物をまずは選択すると思います。それは2台並べた時に同じ方が統一感があるという理由からです。
しかし店頭にはいま自分が持っていると同じデザインの外付けハードディスクが無い。どうせ同じデザインのハードディスクがないならと違うメーカーの物を買ってしまうでしょう（同じメーカーでそろえようということもあるかもしれませんが）。そうなるとメーカーとしては機会損失です。
ただ残念ながらそこまで考えて製品戦略を練っている開発陣は少ないでしょう。

お客さまの立場になって製品を創造する。
アップルはそれが出てきている数少ない会社の一つだと思います。

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目次

はじめに

■プロローグ　社会現象としてのiPhone
　　やってきた携帯電話のパラダイムシフト
　　フィラデルフィアの市長も並んだ！
　　ヨーロッパへ飛び火した人気
　　実は中国に流れ込んだ大量のiPhone

■第1章　すべての道はiPhoneへと続く
　　いち早く危機を迎え、乗り越えたアップル
　　どん底からのブランド再構築
　　木を見て森も見るジョブズCEOの眼
　　モトローラとの協業で学ぶ
　　iPhoneが作れれば何でも作れる
　　社名から「コンピュータ」の文字を外した日

■第2章　常識を覆すハードウェア戦略
　　「ハードウェアを捨てろ」とアナリストたちは言った
　　最悪の事態でも残った技術者とデザイナー
　　“Designed by Apple in California”の誇り
　　iPodを理解できなかったジャーナリストたち
　　迷わせない製品ラインアップの構築

■第3章　シェアの小ささを武器にしたOS戦略
　　復活への試金石となった「マックOS 8」
　　リスクを承知で最高を生み出す意志
　　枯れたUNIXを最先端のスケーラブルOSへ
　　マルチタッチ技術買収の絶妙なタイミング
　　iPhoneにはiPhoneのインターフェースを
　　ライブラリの共有とデータの同期で広がる情報の使い道

■第4章　可能性ではなくソリューションを与えるサービス戦略
　　「損して得取れ」で成長したiTunesストア
　　マック専用サービスの「ドット・マック」からクロスプラットフォームの「モバイル・ミー」へ
　　初代iPhoneをあえて2.5Gベースとした強さ
　　製品と大人しか登場しないiPhoneのテレビＣＭ
　　グーグルも驚いたiPhoneの真の姿
　　iPhoneを賞賛する大手インターネット企業
　　互いに補完するネイティブアプリとWebアプリ

■第5章　三位一体から四位一体、五位一体のビジネスデザインへ
　　決断の早さと事業部間の連携
　　シェア獲得後の課題
　　PAセミ社の買収で半導体開発まで手中に
　　未来は待つものではなく創り出すもの
　　エピローグ　iPhone 3Gが日本にもたらす影響

おわりに
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・これからの企業にとって成功と成長のカギを握るのは、優れた製品を作るだけでなく、顧客との関係を可能な限り密なものとしていくことになる。この観点に立てば、目まぐるしいほどのモデルチェンジで消費者の購買欲を煽るマーケティングはすでに時代遅れであり、ユーザーに愛され、ユーザーと共に成長していける包括的なシステムを作り上げることが重要だ

・「数値による製品の差別化をやめ、トータルソリューションによる消費者の囲い込みへと転じた」

・自ら土俵を作ってルールを決める。そして世界初・業界初でなくとも、そのカテゴリーの中で最良の製品作りを目指す。なお「最良」とは多機能・万能という意味ではなく、「使いこなせない多機能よりも、使い倒せる厳選機能」でデザインや使い勝手、感性面での魅力のブラッシュアップさせること。

・様々製品分野で　”Made in Taiwan""Assembled in China"というような生産国表示をアジア諸国とするものが目立って増えてきている。アップルも"Assembled in China"というような表記が入るが、その前にからならず”Designed by Apple in California"と入れている

・変えるときは大胆に、その後の改良は繊細に。それが、近年のアップル社を成功に導いた仕事の進め方なのである

・多くのアイデアを素早く試し、即断即決で最も正しい答えを見つけ出す。そして、プロジェクトのどの段階でも、先がないと気づいたりより優れた方向性が見つかったりすれば、ゼロからやり直す。それができたからこそ、アップル社は生き残れたばかりではなく、業界をリードし、その枠を超えるビジネス展開が可能となったのだ。

iPhoneをつくった会社ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化 (アスキー新書 (073))

３５歳からの人生改造ノート～将来を良くするため、自分を創る努力～-iPhoneをつくった会社

013 『iPhoneをつくった会社』 大谷和利

013　『iPhoneをつくった会社』　大谷和利