ミカミです。
 

今回は『東大入試詳解25年現代文』のレビューです。

前回27カ年のレビューをしてしまったので、同じ過去問集ということで『東大入試詳解25年現代文』をレビューしたいと思います。

 

 

概要

東大の青本を科目別にまとめた本です。27カ年とは違って、定期的に更新するわけでは無いようです。
構成は、問題→著者解説→本文解説→設問解説→採点基準で1カ年というようになっています。

 

レベル別オススメ度

初心者D/初級者D/中級者C/上級者A
過去問集なので当然上級者向けになります。初心者や初級者は間違っても手を出してはいけません。中級者にもお薦めはしませんが、東大志望で過去問を知るという目的なら使用してもいいかなと思います。

 

ミカミ的長所

  • 問題数が豊富

27カ年と同じです。これは1つの長所と言えると思います。ただ、東大の問題は東進の過去問データベースが存在しますから、東大の過去問に関していえば問題数だけで長所と言えるかというと怪しいかもしれません。

 

  • 過去問集としては解説が詳しい

赤本、27カ年、電話帳などの他の過去問集に比べ解説は詳しめになっています。解答の解説だけでなく本文の解説も付いている点で、東進の過去問データベースよりも詳しくはあると言えるでしょう。

 

  • 指示表出と自己表出

解説の前に『出題分析と入試対策』という章があります。その中の「三 指示表出と自己表出について」は他の参考書・問題集にはない日本語学(言語学)からの指摘です。入試現代文に「自己表出」を持ち出すかどうかは賛否両論あると思いますが、私自身は支持したいと思います。特に随筆の対策に有効だと考えられるからです。
第4問の攻略において重要な考えなので、東大の文科を受験する方には是非読んでほしいと思っています。

 

ミカミ的短所

解説は赤本や27カ年や電話帳に比べれば詳しい方なので、過去問集としての短所は特にありません。
しかし、解答の質は話が別です。青本、特に東大の青本の解答は多くのところで批判されており、解答が最も優れた過去問集とは言い難いところです。と言っても、批判されているのは赤本も27カ年も電話帳も同じなんですが。
過去問集の解答はあくまで参照資料と考え、一つの解答例に固執せず、複数を見比べ自身の答案に磨きをかける材料にしましょう。

 

使用法

  • 目的と使用時期

過去問集ですから、当然目的は過去問演習となります。実際に出題された問題を通して志望校の傾向や求める水準を把握していくこと、また本番実践したい方法を実際に出題された問題で再現していくことが目的になります。そうなると使う時期としてはやはり高3の秋以降、早くても高3の夏以降が適しているでしょう。
もう一つ、志望校を決めた段階で過去問を見てどのような問題が出ているのか確認しておくという目的もあり得ます。その場合、高1・高2で一度眺める程度に使うことになるでしょう。

 

  • 具体的な進め方

27カ年と違い設問解説の前に本文解説があります。したがって1問ごとの進め方は以下のようになります。
 

① 問題を解く。それまでに身につけてきた知識や読解法や解法を実践することを意識する。
② 本文解説を読む。自分が解説通りに解釈できていたかを確認する。解説と違う読みになっていた場合、文章のどの箇所で何が原因で誤読が起こっていたかを検討する。
③ 解答を確認して自分の解答と比較する。過去問演習では、このとき他の解答も用意して様々なことを確認すべきです。ここが一番大事になります。
・各解答に共通する要素は何か→共通要素は必ず入っていなければならない要素の可能性が高い
・各解答で入っている要素と入っていない要素は何か→解答に入っている要素はなぜ入っているのか他の解答に入っているのにある解答に入っていない要素はなぜ入っていないのか考察する。
④ ③を踏まえて自分の解答をブラッシュアップする。


③の段階で解説を熟読して、なぜその解答になるのか、なぜその要素が解答に入るのか把握しましょう。

 

  • 代替となる参考書・問題集

収録している問題数と解説の詳しさの点で代替となる本は特に無いと思われます。

 

  • 参考書・問題集との接続

接続の良い参考書・問題集ですが、『東大入試詳解25年現代文』は過去問集なので記述対策の参考書の後にやることになると思います。

・記述式の参考書
『船口の最強の現代文 記述式トレーニング』
『現代文記述問題の解き方「二つの図式」と「四つの定理」』
『上級現代文Ⅰ』
『世界一わかりやすい東大の国語[現代文]合格講座』
『ライジング現代文』(絶版)
『減点されない記述現代文』(絶版)

 

・記述式の問題集
『上級現代文Ⅱ』

『得点奪取現代文』

『全レベル問題集6』

『記述編現代文のトレーニング』
 

⇒『東大入試詳解25年現代文』

 

  • 個人的なオススメ度

解説の充実度を鑑みると、27カ年よりはお薦めできます。もし1冊だけ過去問集を買うなら、赤本や27カ年よりも『東大入試詳解25年現代文』の方がいいと思います。その場合、最新年度は青本でカバーしましょう。

もちろん、他にも解答を用意してほしいところですが。