目が覚めて外へ出ると、彼女は荷物ひとつ持たずにそこにいた。
「おかえり、やっとこっちに戻ってきたんだね。」
と、僕は軽く微笑み、挨拶をした。
内心本当は、すごく驚いたし、とても嬉しかったけど、わざと、何でも無いように振る舞う。
下手に騒いで、彼女に子供扱いされたくなかったからだ。
そんなそっけない態度をとった僕に彼女は
「あら。昔は大騒ぎで喜んでくれたのに、ずいぶんと冷たくなったのね。」
と、そう寂しそうにつぶやいた。
冷たいのは君の方だ。
ずっと何の連絡もなしに。
いつも僕はおいてけぼりだったんだ。
「…もう、大人だから。」
僕は上からの目線で彼女に言い放った。
一瞬彼女の顔に影ができたのを、僕は見て見ぬフリをした。
だが、彼女はぱっと笑顔に戻り
「まだ、こっちにしばらくいるから。」
と言った。
「そう。わかった。」
と、二言返事で返す。
会えたかと思ったら、すぐに彼女は行ってしまう。
その時が来たらまたお別れだ。
限られた時間をギリギリまで一緒にいればいるほど、僕は別れが辛かった。
ならばいっそう別れは早い方が…むしろ最初から会えない方がいいとさえ思った。
「じゃ、また」
僕は玄関の戸を閉めようとした。
そしてそれは彼女の一言にさえぎられる。
「何でなの?」
「え…」
「前は一緒に遊んでくれてたのに、今はもう手さえにぎってくれない!」
今にも泣きだしそうな彼女の顔を手でふれた。
しばらくして雫が頬をつたって流れ落ちた。
彼女の白い肌はとてもひんやりしていて、そして透き通っていた。
すべてが美しく輝いていて僕は目を細めた。
『いますぐ抱き締めたい。』
そう思うのは僕に限った話ではない。
「ほら、僕がふれると君は今すぐに溶けて、どこかにいなくなってしまいそうになる。…けど、今はまだここにいて。」
そして、彼女はまた僕を残してどこかへ消えてしまった。
●早く雪が見たいです。
ここは東京。雪が降る季節まで、まだ遠いです。
「おかえり、やっとこっちに戻ってきたんだね。」
と、僕は軽く微笑み、挨拶をした。
内心本当は、すごく驚いたし、とても嬉しかったけど、わざと、何でも無いように振る舞う。
下手に騒いで、彼女に子供扱いされたくなかったからだ。
そんなそっけない態度をとった僕に彼女は
「あら。昔は大騒ぎで喜んでくれたのに、ずいぶんと冷たくなったのね。」
と、そう寂しそうにつぶやいた。
冷たいのは君の方だ。
ずっと何の連絡もなしに。
いつも僕はおいてけぼりだったんだ。
「…もう、大人だから。」
僕は上からの目線で彼女に言い放った。
一瞬彼女の顔に影ができたのを、僕は見て見ぬフリをした。
だが、彼女はぱっと笑顔に戻り
「まだ、こっちにしばらくいるから。」
と言った。
「そう。わかった。」
と、二言返事で返す。
会えたかと思ったら、すぐに彼女は行ってしまう。
その時が来たらまたお別れだ。
限られた時間をギリギリまで一緒にいればいるほど、僕は別れが辛かった。
ならばいっそう別れは早い方が…むしろ最初から会えない方がいいとさえ思った。
「じゃ、また」
僕は玄関の戸を閉めようとした。
そしてそれは彼女の一言にさえぎられる。
「何でなの?」
「え…」
「前は一緒に遊んでくれてたのに、今はもう手さえにぎってくれない!」
今にも泣きだしそうな彼女の顔を手でふれた。
しばらくして雫が頬をつたって流れ落ちた。
彼女の白い肌はとてもひんやりしていて、そして透き通っていた。
すべてが美しく輝いていて僕は目を細めた。
『いますぐ抱き締めたい。』
そう思うのは僕に限った話ではない。
「ほら、僕がふれると君は今すぐに溶けて、どこかにいなくなってしまいそうになる。…けど、今はまだここにいて。」
そして、彼女はまた僕を残してどこかへ消えてしまった。
●早く雪が見たいです。
ここは東京。雪が降る季節まで、まだ遠いです。