『昆虫図鑑』 虫取りしますか、それともムシキング? | 手当たり次第の本棚

『昆虫図鑑』 虫取りしますか、それともムシキング?

小学生の頃、ちょうどこんな感じの昆虫図鑑を持っていて、そりゃあよく、ひらいてはながめていたものなのだ。
やっぱり、ヒーローは、カブトムシとクワガタ。
当時は、東京都下にある、うちのあたりでも普通にとる事ができたんだよな。
それこそ、庭にだって、来たのだ。
つかまえたやつを、父が、ヒモで枝に結んでくれ、遊んでいたのは良かったが、カブトムシが勢いあまって私自身に、
「どかーん!」(イメージSE)
と、ぶつかった時には……さすがにちょっと、ショックだった。
まだ幼稚園児だったので。

けっこう、痛いんだよ。カブトムシの足にキックされると。

そんなこんなで、カブトムシはちょこっとだけキライになってしまい、その後はまったのは、トンボ類と、蝶類だ。
なんせカラフルだし、そこらへんをたくさんの蝶がひらりひらりと飛んでいるので、鑑別すべき標本にもことかかない。
とくにこのあたりは、揚羽類が多いそうで、たまに、ぎょっとするほどどでかい、カラスアゲハが飛んでたりするのだな。
でかいし黒いし、つかまえやすいかというと、意外とそうでもない。
やっとつかまえれば、得意満面、またしても図鑑だ。
……カラスアゲハってね。鱗粉も黒いでしょう(あたりまえ)。
とびちるのとびちらないのって。
母がいやがりましたね。

ともかく、子供は、虫が大好き。
つかまえると図鑑で見る。
図鑑でみては、
「これいないかな~」
モルフォ蝶を指さしていたりするのは、ご愛敬である。
あれは日本には、断じて、いません。
標本しか。

さて、昆虫図鑑は、やはり、カラーでなくてはな。
蝶などは、とくに、色と形でみわけなくちゃならないから、白黒では意味がないのだ。
モンシロチョウが、いやになるほどたくさんの変種を持っているなんて知ったのも、図鑑のおかげ。
もっとも、それって、昆虫好きな人や、研究者でもなくてはわからないような、ほんとに、微細な微細な違いだったりするので、子供には、ずらーりと並んだモンシロチョウの写真をみても、
「どれも同じじゃん」
どこが違うのかわからなくても、なんかそれだけで面白かったり。

いやー、子供の、図鑑の楽しみかたなんて、そんなものかも。

そして、秋になると、蝶がへるので、こんどはバッタをつかまえるのだ。
ともかく、袋にたくさんつかまえる、その小さなバッタが、ショウリョウバッタというのはこれまた図鑑で知っていたが、ショウリョウバッタが「精霊飛蝗」である事は、大人になるまで知らなかった。
ふつう、図鑑は、漢字で和名を書いてくれないからだ。
なので、
「なんで漢字で書かないのか。意味わからないじゃん!」
という不満は、その当時に芽生えたのであった(笑)。

さて、今は東京近辺でなかなかこういった虫取りをする事は難しくなってきたらしい。
そのかわりに、子供達には、ムシキングなるゲームが大人気。
ムシキングのおかげで、子供は、虫の名前や色や形をおぼえるのだろうか?
なんかちょっと、寂しい気がする。

それと同時に、
「やっぱ子供は、虫が好きなんだ」
と、ほほえましくも思ったりする。

小学校の、夏の自由課題といえば、私の頃は、昆虫の標本なんて定番だったものだが、今はどうなんだろう?
もし、昆虫採集できる環境にあるのなら、親子でチャレンジしてみるのも、良いかもな。
別に、実際に標本箱を作らなくても、虫かごにいれて、生きているうちに写生をして、あとではなしてあげるというのでも、良いんじゃないかい。

もちろん、昆虫図鑑は、必携。



友国 雅章
昆虫