『オズの魔法使い』 ……の、魔法
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となってしまうのだ。
嫌い、というのではない。
でも、好きとも言い切れないのだよな。
なぜだろう?
つらつらと考えてみたのだけど、それは、オズの魔法使いが実は魔法使いではなかった、というラストにあるような気がする。
エメラルドの都は、実は、緑色のサングラスのせいだった。
それってさ。
「こちらのアトラクションは立体映像です!」
でも、入口でセロファンみたいなのを貼った、ボール紙の眼鏡を配るのな。
あの時の「なーんだ」にちょっと似てる。
つまり、魔法使いというものに期待する、「ワクワク感」。
それがあっさりと水をかけられて、失望してしまうわけだ!
それが……いやなんです。
では、なぜ、『オズの魔法使い』が嫌いじゃないのか?
それは、エメラルドの都の魔法使い以外のところに、魔法がたくさん、かくれているからだと思う。
たとえば、口のきけるライオン。
あるいは、動くブリキ男や、かかし。
口をきいて動くだけでなく、彼らは、心まで持っているよね。
そして、なにより、ドロシーの家をオズまで吹き飛ばした竜巻。
これが一番凄い魔法だと思わないか?
子供の頃、『オズの魔法使い』のどこが一番好きか。
もしそう聞かれたら、絶対に、
「竜巻!」
そう答えたと思う。
今でも、ラストのエメラルドの都はやっぱり好きになれないけれども、『オズの魔法使い』には、それ以外のところに、素敵な魔法が充ち満ちている。
それが、魅力の秘密だと思うのだ。
著者: ライマン・フランク・ボーム, 守屋 陽一, Lyman Frank Baum
タイトル: オズの魔法使い