それは仕覆という世界

 

「あぁ、これはシフクですよ。」

 

シフク?

 

この袋をシフクというのね。。。

ぼぅっとした頭でその名を反芻するばかり。

 

気付けば陳列されている骨董の徳利にもシフクが寄り添っている。

 

どれも、脱いだばかりの服がからだの形のまま残っているように

器の形そのもの。

今しがた胸を射抜かれたシフクも、寸分もたがわず盃を包んでいました。

これは一体・・・?

 

疑問だらけの私に「これはマキさんが作っているんだよ」とご主人。

※マキさんは奥様のお名前です。

 

うわー!!そうなんだ!!

こうなるともう抑えきれません。

そのシフクはどうやって作っているのか、その美しい模様の生地はどこのものなのか

次々質問し興奮の坩堝。

 

ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくださるおふたり。

その中でマキさんが教室を運営されていることを知りました。

 

生徒さんは全国各地から集まっていること。

ひとつの作品を作り上げるには何ヶ月もかかること。

針をまともに扱えなくても大丈夫ということ。

焦らず、自分のペースを大切にできること。

いずれはどんな形にもチャレンジできること。

 

それらを聞きながら心にはひとつの想いが生まれていました。

 

私の脳裏に鮮やかに刻まれた、シフクから器が現れるあの瞬間。。。

それをまた味わいたい。

 

あんなに美しい瞬間に出会えたこの感動を

どうしても再現したい。

その感動を分かち合いたい。

 

たった数分のことでしたが

その気持ちは思ったよりとてもつよく

私の奥底からこみ上げる熱いものを

止められずにはいられませんでした。

 

「その教室に通いたいです!」

 

 

花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ花キラキラ

 

伊香保のギャラリーの本棚をよく見れば

「古裂拾遺」なる文字が。

 

こんなに近くに、出会いの種は蒔かれていたのでした。

 

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