おかーさん、今度私とうとう引っ越すよ~

この家に住んでたの1年もなかったな~

一緒に住んでたのはほんの3~4ヶ月だったね。

 

去年の今頃はさ、なんだかお母さんの痛みの調子がすっごく良くなってて。

痛み止めの量もガッツリ減らせて。

足の感覚まで戻ってきてさ。

リハビリしたらまた歩けるかもなんて言ってたね。

 

とうとう痛み止めが飲み薬だけで良くなったから一緒に暮らそうってなってすぐに、この家私が見つけたよね。

お母さん車椅子だし、私は大学あるから、絶対家探し苦労するだろうなって思ってた。

引っ越し時期でもなかったしさ。

でも、すぐに、私が大学の下校途中で丁度いい家見つけてさ。

見学に行ったら車椅子でも暮らせそうで。

二人して神様が応援してくれてるんだねって言ってすっごい喜んだっけ。

 

でも、結構引っ越し一人でやるのキツかったなー

お母さんの元のアパートの処分はちょっと心にグサッとくるものがあったし。

私の大学の近くに転勤してこれて、これからもっとKotokoと遊べるんだってお母さんすっごい嬉しそうだった。

私ちょっとめんどかったけど(笑)

でも、嬉しかったよ。

それなのに、そのアパートに暮らしてたのって2ヶ月なかったよね。

一気に歩けなくなっちゃって。

お母さんのとこに行った時に、

「お母さん、なんだか足上がらないし、感覚もまたなくなってきてるの、おかしくない?」

って言われてさ。いやー私怒ったわー(笑)

 

で、そのアパート処分するために部屋の玄関入ったらさ、お母さんのお気に入りのスリッパのつま先が玄関のほう向いてたの。

あー、お母さんこの部屋にもう戻ってこれないってわかってたんだなって。

悲しかった。

ていうか、最後にアパートに一緒に荷物取りに行った時に、お母さんが部屋にバイバイって言ってるのこっそり聞いちゃってたんだけどね。

 

でも、今のアパートに越してきた初日はホントにお母さん嬉しそうでさ~(笑)

車椅子で部屋の中くるくるくるくる、ずーっとまわってんの(笑)

またその顔がなぜか得意げで、なんとも嬉しそうでさ~

お母さん馬鹿みたいって言って笑ったね。

 

その後の在宅介護は正直すごい大変でずっと喧嘩ばっかりだったけど、ま、その愚痴はまた今度ね。

 

今はね、お母さんの洋服と、一緒に使ってた食器片付けてる。

びっくりするくらいお揃いの服多いよ。食器は全部2つずつペア。

お揃いの服着ていって色んな人に仲良いのね~、かわいいね~って言われるのすっごい誇らしかったっていうか、嬉しかったっていうか。

食器なんてさ、私が一人暮ししてる時に自分専用の素敵なコップとか買うと、お母さんむくれてさ(笑)

どうしてお母さんの分は買わなかったのって(笑)

普通買わないし(笑)もう十分ペアの食器あったし!!

 

でも、もうお母さん、お揃いの服着てくれないし、お揃いの食器でご飯も食べてくれないや。

新しいお家は今よりずっと狭いからお母さんの服も食器も捨てなきゃいけない。

本当にいないんだね、お母さん。さみしいな。

さみしいな。

本当にさみしいな。

悲しくて引越し準備進まないよ、全然。

さみしいな、お母さん。

 

お母さん、今テスト勉強してるよ~

めっちゃハードなんだけど(笑)

毎日2~3時間しか眠れないし!!

んでね、勉強してる時になんでかお母さんのことしょっちゅう思い出して泣いちゃうの。

楽しかった思い出ばっかり。

そっか、お母さんもういないんだ。って気付くたんびに、

なんかびっくりするよ(笑)

お母さんがいないってことが未だに信じられないみたい。

 

そういえば、こないだ旅行に行ってきて一人で楽しめなかったときからすっかり自信なくしちゃってさ。

ずっと落ち込んでたんだよね。

私やっぱり一人で生きてけないのかもって。

テスト数日前だっていうのに勉強に全然集中できなくてお酒がぶ飲みしちゃってね、(今そのツケを絶賛払ってる真っ最中)

挙句の果てにその勢いで友達にラインですんごい重たい愚痴言っちゃった。

 

絶対返信返ってこなくてこの人も私から離れていくんだろうなって思った。

でもね、その人めっちゃ優しくってさ。

すんごい長文で慰めてくれたの。

でね、その人が言ったの。

「そんなに自分が好きなものを全部壊そうとしないで」って。

自分で自分の幸せ全部ぶっ壊そうとしてたことにその時気づいたよ。

前も言ったけどさ、幸せをもっかい失って、またこんな辛い思いするのが怖いんだ。

 

お母さんがいなくなって悲しいとか淋しいとか思っちゃ駄目だ。

こんなに弱かったらこれから先また幸せになる資格なんかない。

お母さんに一人でも立派に生きてくって約束したのに。

誰にも頼っちゃ駄目だ。

 

って思ってたの。

こんな弱い自分が嫌いでしょうがないって。

 

これも全部その人にぶちまけたらね、

「でも、お母さんに会わないほうが良かったとは思わないでしょ。」

って言われた。

そういえば、そうだった。

お母さんが私にくれたものは例えお母さんがいなくなった後でもまだ残ってた。

今は辛いけど、幸せだった。本当に幸せだった。

 

でさ、思ったんだけど、私もう十分強くて、

また幸せになる資格があるんじゃないかな。

だって、私お母さんが死んじゃった後でもなんだかんだしっかり生きてるもん。

生きてるだけで十分強いよね。

お母さんがいなくて、家族がいなくて寂しいのなんてさ、

当たり前だよね。

私十分頑張ってるよね。私偉いよね!!(笑)

完璧になれるわけないよね。

お母さんのこと思い出して泣いたっていいよね。

 

きっとこれからもまた何度も落ち込むんだろうな~

でも、それもまたしょうがないよね。

今までも何度もがっつり落ち込んで、そのたんびになんとか乗り越えてきたしさ。

なんとかなるさね。

とりあえず勢い余って死なないように頑張るね!!(笑)

 

テスト終わったら思いっきり飲んで、思いっきり泣くど~~~!!!

会いたいよーーーおかーーーさーーーん!!

今日ね、久しぶりにお母さんのラインのアカウント見たよ。

 

連絡しなきゃいけない人がいてね、

その人のアカウント探してたらお母さんの見つけちゃった。

 

最後にお母さんにラインしたのもう何ヶ月も前だから、

トーク履歴ではもう他の会話に埋もれちゃってた。

 

でも、まだお母さんと話してたことは残ってたよ。

最後のラインね、4月18日だった。

最後の電話は4月17日。

 

お母さんが死んじゃう、3ヶ月も前。

こんなに早くラインも電話もできなくなってたんだね。

 

最後の電話の時、喧嘩したね。

病院に来れない時は必ず毎晩電話してって言われたの2日連続で忘れててさ。

前は私が忘れててもお母さんしつこいから絶対そっちからかけてきてたじゃん。

お母さんがもう自分では電話かけられないなんて思わなかった。

最後の電話わざわざ看護師さんに頼んでまでかけてきたね。

どうして電話かけてきてくれないのって。

私、こっちだって忙しいんだから、そっちからかけてきてよって言ってさ。

 

でも、喧嘩した後明日は忘れないからって約束したからさ、

私ちゃんと次の日お母さんに電話かけたんだよ。

でも、お母さんでてくれなかった。

病院に行ったら、もう、電話に出るどころか、

スマホの充電もできなくなってたし、

自分のスマホがどこにあるのかもわからなくなってた。

 

ごめんね、お母さん。

電話かけてあげればよかった。

夜一人で寂しかったんだよね。

ごめんね。

今お母さんと電話で少しでも話せるんだったら、

絶対に忘れたりなんてしないのにね。

馬鹿だよね。

 

最後のラインは”お母さんいよいよラインができないよ”だった。

お母さんにこうやっていちいち出来なくなってくこと報告されるのすっごく嫌だった。

聞きたくなかった。

”もう字がかけないよ”、”テレビがみれないよ”って。

”もうお母さんだめだよ”って。

こうやって言われるたんびに腹立ってさ、

そんなことないとか、まだできてるじゃんとか、

挙句の果てには、出来なくなってくのしょうがないじゃん、諦めてよ、私にいちいち報告してこないでよって言ったね。

ごめんね、あんなにしっかりして私のこといっつも叱ってたお母さんが、

なんにも出来なくなってくの認めたくなかった。

 

朝の4時位にさ、お母さんがなんでか急に長話ししだしてさ。

あれはこうしなさいとか、これはこうしなきゃだめだとか。

いっつもみたいにくどくどと。

こっちは眠いのにさ。

そんなことわかってるよ、今何時だと思ってるのってキレたっけ。

そしたら、お母さん、これがまともに話せる最後だと思うからって。

朝の4時にさ。勘弁してよね、お母さん(笑)

 

でも、今ならお母さんのお小言何時でもいいから聞きたいな。

知ってると思うけど、今部屋めっちゃ汚いよ、お母さん。

前だったら大喧嘩になるレベルだよ(笑)

なんでもいいから話したいな、お母さん。

怒ったっていいからさ。

お母さんの声もう何ヶ月もきいてないや。

人って最初に声から忘れてくって言うけどさ。

あれ、ホントだね。

お母さんの声、まだ数ヶ月しか経ってないのに、

もう思い出せないんだよ。

びっくりだよね、20年以上も、私が一人暮らしはじめてからも、

ずっと殆ど毎日お母さんと話して、ずっと声聞いてたのに。

あーあ。もう二度と話せないんだね、お母さん。

どんだけ私が悲しくて悔しいかわかる?

私がそっちにいったら絶対横っ面ひっぱたいてやるんだから。

でも、それよりも前にまずはハグかな。

ね、お母さん。