ドラゴンゲート1優しいススムさんを怒らせた話①の続き









やばい、やってしまった。
ビデオカメラを設置したのにスイッチを押し忘れるという初歩的ミス。


道場に帰り、食堂に行くとススムさんがいました。


ススム「ビデオある?」


(ううっ、やはり聞いてきたか・・・でも無いものはいくら誤魔化しても無理だ。正直に言って謝るしかない)


琴「すいません...自分が今日ビデオカメラの設置を担当したのですが、スイッチを押し忘れてしまいました」

僕は震える声で正直に全てを話しました。



するとススムさんは、

ススム「まじかよーっ。でも忘れることはしょうがないよ。次は気をつけてね」



なんと寛大な心で僕のミスを許してくれたのです。


楽しみにしていたビデオカメラを観れなかったことに激怒し、

「何やってんだ馬鹿やろー!ふざけんなよ!!」

これぐらい怒鳴られるのを覚悟していたのですが、その表情は穏やかな仏様のような顔をしていました。


琴「申し訳ありませんでした。次は気をつけます」

ススム「うん、じゃあおやすみ」


怒らないだけではありません。たった今ミスを犯したばかりの僕に「おやすみ」と優しい言葉をかけてくれたのです。




食堂を後にして部屋に戻り、僕は思いました。





(よかったー怒られなくて。ススムさんは本当に優しい人だな。明日も早いしもう寝るか)




なんというやつでしょう

口では謝罪の言葉を発しているにもかかわらず、

椎葉琴香の心の中では反省の気持ちはなく、怒られなくてよかったという気持ちしかなかったのです。







そして全く反省していない僕は、同じ過ちを繰り返します。
次の日の試合会場でもビデオカメラのスイッチを押し忘れてしまうのです。


つづく