仕事で嬉しいときは、どんなときでしょうか?

 

目標を達成できたとき

成果が得られたとき

成功したとき

上司や同僚から褒められたとき

昇進したとき

給料が上がったとき

感謝されたとき

笑顔が見られたとき

 

人によって、あるいは環境によって様々であると思います。

 

医療現場でも、

患者さんの病気が治ったとき

退院できたとき

職場に復帰できたとき

などといろいろあります。

 

医療者が患者さんやご家族から頂戴する言葉の中でも、

この言葉は格別です。

 

「先生に診てもらえ良かった」

「あなたに出会えて良かった」

「あなたで良かった」

 

正直、私自身がこのような言葉を頂戴することは多くはありません。

看護師さんの方が、耳にすることが多いのではないでしょうか。

 

ある患者さんをご紹介します。

50代で女性のがん患者さんでした。

ほとんど寝ていることが多く、入浴や清拭などのために体を動かされると

痛みが強くなってしまう方でした。

 

ある朝の回診中に、こんなことを仰いました。

「ここの看護師さん達はみんな優しいけど、私はMさんが一番好き」

理由を尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「Mさんはケアの前に必ず3人の看護師を連れてきて、あっという間に体を移動させてくれるから」

「私が一番して欲しいことを、きちんと実行してくれるから」

 

Mさんに話を聞いてみると、こう言われたそうです。

「Mさんに出会えて良かった」

「絶対にこの仕事をやめちゃダメよ」

 

 

神経言語プログラミング(NLP)から派生した、LABプロファイルという考え方があります。

人の特性をいくつか分類するものですが、そのうちの一つにプロセス型とオプション型という概念があります。

 

プロセス型は、規則正しく物事を行いたいタイプで、任務を忠実に実行します。

オプション型は、好きな時に好きなように物事を行いたいタイプで、新しいものに目がなく、最後まで事を成し遂げることが苦手です。

 

みなさんは、どちらのタイプでしょうか?

因みに、私はオプション型です。

 

これまでの私の経験から考えますと、

看護師さんはオプション型の仕事をしたいのではないでしょうか。

大勢の中なの一人の看護師ではなくて、

患者さんから「あなたで良かった」「あなたにケアしてもらえて良かった」という声を頂戴できたら、最高に嬉しいのではないでしょうか。

 

つまり、自分自身という最大のリソースをケアに活かすことができるからです。

 

しかし、現場では真逆のことが起きています。

優秀な看護師には、ミスがなく、効率良く業務を実施し、残業をしない人であることが求められているような気がしてなりません。

安全性、効率化、確実性、人件費削減が優先される現場では、至極真っ当なことかも知れません。

これは、プロセス型の仕事です。

 

看護職を目指した段階ではオプション型の仕事をしたかった筈なのに、実際の業務はどちらかというとプロセス型です。

このギャップに違和感がある看護師さんは、少なくはないのでしょうか。

 

 

もう一度、さきほどのMさんのことを考えてみましょう。

Mさんのケアそのものはプロセス型かも知れません。

しかし、ケアを実践において自分自身の考えを反映させていますので、オプション型であるとも言えます。

 

実は、ケアの場面ではオプションもプロセスも両方が大切なのでしょう。

 

「あなたで良かった」

この言薬は、

あなたという存在を

あなたの行動を

あなたの成長を

あなたの成果を

あなたの成功を

承認しています、というメッセージかも知れません。