昨夜新しく見つけたレストランは恋人の口にあったようで、店の外でそっと手を繋いでも上機嫌なままだった。
家までの道を辿る途中の店で、Typeがケーキを買いたいと寄り道をした。
道路沿いの店の軒先には、近ごろ見かけるようになった七夕飾り。
青いゼリーで作られた天の川に星型のチョコレートが飾られた可愛らしいケーキを買うと、店のおもてに飾られた笹につけないかと短冊を2枚渡された。
少し考えたがとくに書くこともなく、短冊だけ持ち帰った。

何気なくベッドサイドに置いた短冊を手に取る。
「…それ、短冊?」
「あぁ。願い事、何か書く?叶うかもよ?」
言いながら手渡すと、短冊をヒラヒラと振りながらTypeが俺を見る。
「必要ないでしょ」
「そうか?」
Typeなら、自分の願いは自分の努力で叶えてしまうだろうけれど。
だが、Typeの答えは想像とは違った。
「俺の願いはTharnが叶えてくれるんだろ?」
こともなげに言うType。
「…お前の願いは?」
短冊をベッドサイドに置き、Typeに覆いかぶさるように顔を覗きこめば、イタズラっぽい目つきと微笑みで見上げて、腕を俺の首に絡めてくる。
「お前とこの先も、ずっと一緒に」
「それは確かに、星にじゃなくてお互いに願うことだな」
だろ?と得意気に笑うTypeを抱きしめて、左手薬指の指輪に誓いのキスを贈った。

20210707