法的な効力は持たないが、自分の想いや成り立ちを家族に伝えることができる「エンディングノート」。



最近、知ったこのノートに関するドキュメンタリー映画が公開されたので、観てきました。

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この映画の主人公は「段取り」命の父親。ガンの宣告を受けたこの父親は人生の最後まで、段取りをつけて死ぬべく、パソコンで「エンディングノートをつけ始める。



ほんとに死ぬ間際まで、「段取り」にこだわりつづけ、自分の葬式でさえも人間関係からありとあらゆることを考え、段取りをつけていく様子は、悲しいエンディングが明らかなドキュメンタリーなのに、なぜか笑えて来てしまう。しかも、40年間の会社員生活を送り、取締役にまで登り詰めただけあって、その「段取り」は見事の一言。観てて、「自分も死ぬ前はこんな風にできたらなぁ」って憧れを抱いちゃうほどです。



でもたぶん段取りにこだわるこの父親の根底にあるのは、「愛」。仕事では会社に対する、そして今回は残される妻や家族に対する「愛」。それは端からみると滑稽にうつるかもしれないけど、最期の最後まで家族を想い、動き続ける父親の姿は、考えだけで、涙が誘われます。

周りにいる家族も、そういう父親だとわかっているから、悲しみを抱えながらも、優しく見守ってくれる。おそらく観る人それぞれが、自分の立場と重ね合わせながら見るんだろうな。私もやっばり重ねたのは長男だったし。

そういう意味で、この映画の被写体との距離感は絶妙。家族みんなの感情をしっかり撮りながらも、ほどよく客観的。

そりゃまあ、監督はこの父親の娘。しかも、たぶん昔からこんな感じでカメラをまわしてたんだろうね。つまりこの作品は一番近くから撮ることのできたドキュメンタリー映画なんだと思う。

映画を観てる間も観終わってからも、“自分だったら”って考えが止まらない。それでいて映画にもグイグイ引き込まれるから、こんなもん泣くに決まってるじゃないか。

生まれて初めて、映画館で震えるほど泣きました。

実際、こんなに幸せな(幸せそうな)最期にはならないかもしれないけど、自分の親父にも「エンディングノート」を書いてもらおうかな…。


またしても行って参りました!

“午前10時の映画祭”

観たのは、またしてもビリー・ワイルダー監督の

「昼下がりの情事」

前回の「アパートの鍵貸します」で、すっかり気にいってしまったこの監督のロマンティックコメディ。

しかも、この「昼下がりの情事」はもっとロマンティック寄り。期待度はMAX!

感想は、と言うと…
期待以上に良かった!

まず何をさておき、オードリー(ヘプバーン)が可愛い!ほんっとに可愛い!

どんなセリフを言っても、どんな仕草をしても、どんな衣装を着ても可愛い。あんな女優さん他にいないよ。

そんなオードリーだから、最初は感情移入できなかった色男との関係も、グイグイ引き込まれてしまう。

でも、オードリーも魅力的だけど、この映画の一番の魅力は「セリフ」。

主役2人のやりとりは、この上なくロマンティックで、クスりとさせられて。この辺りがこの監督の秀逸なところなんでしょうねぇ。

もちろん、細かく散りばめられた笑いの要素も好きなんだけど、こういったニヤニヤできる部分はもっと大好物なんです。

最後は個人的には意外だったけど、全体的には大満足な映画でした。

何度も言いますが、映画祭を開催してくれた方々ありがとう。
「午前10時の映画祭」第2弾!
(観に行ったのは3回目)

今週観に行ったのは、ビリー・ワイルダー監督の「アパートの鍵貸します」です。

ビリー・ワイルダーと言えば、好きな三谷幸喜が敬愛する監督として、しばしば名前が挙がるお方。
こんな機会でもなけりゃ、劇場で観ることは二度とないでしょう。

感想としては

「観てよかった~」

いやぁ~、ホントによかった。

最初は、三谷幸喜が影響を受けたって言うから、もっとコテコテのコメディと思いこんでいたけど、もっと落ち着いていて少し意外だった。

でもジワジワというか、ニヤニヤ観られて、しかも最後にはちゃんと大きなのをもってくる。

それでいて、ロマンティックな要素も完璧に満していて、まさしく「ロマンティックコメディ」。

今だと、「ラブ」コメディとはあるけど、「ロマンティック」コメディはあまり観られないよねぇ。
それだけ「ロマンティック」と「コメディ」をちょうどいいバランスで混ぜるのは難しいんだろうね。

主演のジャック・レモンもよかった。あのやり過ぎない演技があったから、ロマンティックの要素も成立したような気もするし。

ヒロインのシャーリー・マクレーンはシーンによって、美人に見える時と、それほどに見える時とがある不思議な女優さん。でも最後はやっぱり惹かれちゃいました。

いゃあホントに「午前10時の映画祭」さまさまだよ。ありがとー。

再来週もビリー・ワイルダーの「昼下がりの情事」らしいし、また行こうかなぁ。

(ちなみに来週はローマの休日です。)






超久しぶりの更新m(_ _)m

本当は何本か観に行ってるんだけど、つい更新をサボっちゃいました。

で、今回観に行った「ショーシャンクの空に」は、言わずとしれた大傑作。

しかしながら、DVDを含めて1回も観たことがなく、すごく観たかった作品の1つだったんで、【午前10時の映画祭 赤の50本】で上映されることを聞いて思わず観に行っちゃいました。

感想はというと、噂に違わず面白い!まずは、脚本が秀逸。最後の展開はなんとなく気づいてはいたけど、そこまでに張られた伏線も見事。気付けば、アレもコレもその為の伏線だったのねって感じでした。

そしてなにより、キャストが魅力的。特にモーガンフリーマンは最高。あんなに優しげで、物憂げで、人間味のある雰囲気を醸し出せる人はいないでしょう。

周りの囚人たちもいい感じで、不覚にも、あの場所がすごく居心地のいい場所のように感じてしまった。だからこそ、あの場面がイキるんだろうなぁ。

そして、個人的に好きになった台詞が一つ。

「必死に生きるか、必死に死ぬか。」

最後の方にモーガンフリーマンが発するこの台詞。

自分もこれまで、人生に絶望することが何度かあった(多少大げさだけど)。それでもなんとか生きてるわけだけど、必死さがあったかというと、なかったのかもしれない。
たとえ希望を見いだせず、不安があったとしても、「必死に生きる」ことが必要だったのだろう。

こんな映画を初見で、映画館で観られるなんて、なんてラッキーなんでしょ。

ちなみに「ニューシネマパラダイス」もこの映画祭で初めて観ました。

主催者に感謝です。




妻夫木聡と松山ケンイチの共演。

「マイ・バック・ページ」

まったくタイプは違うけど、この2人が共演するってだけで興味深々。

妻夫木聡は出だした頃は、どちらかというと格好いい、アイドル的な人気だった印象があるけど、ここ数年の映画では繊細で感じやすい青年役を演じたらほんとにハマる。“普通”の若者の中のセンシティブな部分の表現がうまい役者さん。

松山ケンイチは純朴で、どこか古さを感じさせるイメージ。でも、それでいて骨っぽくてクールな役もハマる。特別格好いい顔立ちでもないと思ってたんだけど、それでも格好よく見えてくる変わった役者さん。

ってなわけで2人とも好きな役者さんなんだけど、困ったことに“学生運動モノ"は好きじゃないんです。なんというか、全く共感できない。

若者が日本を憂う気持ちってのは理解できなくもないけど、そこにごちゃごちゃ理屈こねたり、立てこもって戦ったりする意味がわからない。

でもって松山ケンイチの役がその全く共感できない奴。いつもは自分と違った思想の役でも、映画を通してどこかしら共感するんだけど、今回は皆無。まぁそう感じちゃうくらい、演技がハマってたんだろうけど。

それでもジャーナリストと活動家の2人に共通する“ホンモノではない自分に対する焦りや恥じらい”のような感情に関しては共感してしまう。じゃあホンモノって何?って言われてもわからないんだけど。なんとなくそう思ってしまう感じはわかる。

そういったところも含めて、この若い2人の競演を観られただけで、満足しました。

でも、この原作の人って自分を美化し過ぎな気がする…。