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病院で仕事をしていてうつ病になったリハビリ職員の、克服までの記録

くじけやすく打たれ弱い、うつ病の経験を持つ言語聴覚士が、それでも日々を前向きに生きていく

今日は朝から鼻が出ます。
下を向くと垂れてきて困ります。

こんにちは。ポンス中垣です。
急に寒くなっているので、
みなさんもお気を付けて。




「何回でも説明して欲しい」



病院勤務時代のお話。



回復期のリハビリテーションを
専門とする病院だったのですが、

みんながみんな、
リハビリするぞ!
という状態で
入院してくる訳ではありません。


当たり前なんですが。
当然なんですが。
そこで働いている当時は
思っていました。

分かっちゃいるけど、
この人、心身ともに
リハビリできる状態ではないなぁ。



どうして受け入れたんだろう?



こんなに意識状態が悪いのに。
こんなに麻痺がまだ重度なのに。
こんなに認知機能が低下しているのに。



ここはリハビリ病院だよ??
回復期だから、
「自宅退院」しないと
そのパーセントを一定以上保たないと、
病院への診療報酬が下がるんでしょう?


手術後や急変後に、
意識が中々回復せず、
そのままボヤ~ッとした状態が
続くことがあります。



脳梗塞を発症して日が浅く、
本来なら急性期にいるレベルの
状態の人もいます。


病前から認知症を患っていたものの
見当識や意思表示はわりと
しっかりしていたけれど、
今回で低下した。
こんな人もいます。


色々なところ、例えば
意識・麻痺・認知機能
視力・聴力・口腔機能、
などにおいて

重度から軽度まで
幅広いレベルにある方々が、
同じ病棟に集まってきます。




リハビリする側としては、


本人に、
リハビリに対する意欲が全くなく、

家族も
リハビリの必要性を感じておらず、

双方から拒否。


この方がまだ(?)、
説明をしても
受け入れられなかった時
残念な気持ちになるのは
こちら側なので、それほど辛くはありません。

しかし、

本人は、
リハビリに対する意欲がほぼない。
リハビリに対する理解が得られない。


家族は、
少しでも良くなって欲しい
という思いから、
リハビリに協力的。

と、双方の認識に差がある時。


この場合は、というか、
こういう場合の方が多いのですが、
スタッフの方も
ジレンマを抱えることになります。


患者さん本人は、
まだまだショックさめやらぬ時期で、
そもそも「あっ」と言う間に
急性期病院から回復期の
リハビリテーション病院に転院し、
混乱状態にあることが
少なくありません。


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ええっと、今、自分はいったい
どういう状態なの?
ここはどこなの?
今日は、何月何日なの?


っていうか、そもそも
え?なに?!私、倒れたの??


あー、ああ。そういえば……。


そうだった。

思い出した。


ん? でも、その時のことは
全く記憶にないんだけど。
その前までは覚えてるんだけど。


え、この話、前にも説明したって?



私、ふんふんって、うなづいてた?



……そうなの……か。
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家族さんは、
もう既に何度か、
今回の経緯(いきさつ)については、
本人さんに話をしているのです。


しかし、伝わっていない。
本人は、その時は分かったから、
うんうんとうなづく。


でも、時間を置くと、
やっぱりよく分からなくなってしまう。
体が辛い、
しんどい。
そして、
普段とはまるで違う環境(多くは病院)で、
次から次に検査を受け、
看護師さんも、


毎日同じ人じゃない。


普通にパニックになります。
でも、聞けない雰囲気。
みんな、忙しそう。
家族に助けを求めたい。

あれ? 私の
主人は? 嫁さんは?
息子は? 娘は?
(身近な家族を思い浮かべる)

どこ? どこなの?
(答:家です。職場です。学校ですetc.)


はあ、やっと会えた~。


うっ、なんだか、
疲れている……よね?
顔がやつれている?


雰囲気が暗い。


聞きたいことがあったけど、
やめておこう。
また明日にでも聞こう。




これはあくまでも一例です。
でも、患者さん本人の顔が、
表情が、物語っていました。

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何を聞いたのか、
何を聞きたかったのか、
考えているうちに
混乱して、
分からなくなってしまったんだ。

変だよな。
おかしいよな。
でも、覚えられないんだ。


だから、
そう怖い顔をせずに、
嫌そうな顔をせずに、


何度でも説明して欲しい。


ごめんな。

八つ当たりしてごめん。
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今回はここまで。
どうも有難うございました。