オーストラリアのハイスクールは、日本で言うなら中高一貫校という感じ。
これは中学3年生に相当する日本語クラスのボランティアをしたときのこと。
日本語担当の先生は日本への留学経験はないらしく、私と話すときも「英語の方がありがたいわ~」というオーストラリア人女性。
とてもフレンドリーで心優しい方だった。
教科書を読んでいたときのこと。
その文章の最後に「かわいそうな金魚!」という一文と共に、なんとも表現しがたい表情の金魚の絵が描いてあった。
それを音読した直後、それまで日本語文を英語で順次解説していた先生が言った。
「I don't think so!」
それはとても力のこもったったひとことだった。
詳細をはっきりとは覚えていないのだけれど、確かそのお話は、金魚が猫に狙われてどうのこうの…といったようなものだったと思う。
そして最後に出てくる「かわいそうな金魚!」の一文。
まぁストーリーは各々の好みだし、先生がこの金魚をかわいそうだと思わなくても別にかまわないのだけれど…
何故そんなにも力を込めて言い放ったのか。
私は首を傾げた。
そして次の瞬間、ふと気づいた。
おそらく先生は、「楽しそう」とか「悲しそう」といった「楽しい+そう(そんな風に見える)」「悲しい+そう(そんな風に見える)」と同様にこの文を読んだのだと思う。
そう、「かわいい+そう(そんな風に見える)」=「かわいそう」という風に。
だからその何とも表現しがたい挿絵の金魚を見て
“全然かわいくない”
と思った先生はとっさに言ってしまったのだ。
「I don't think so!」
先生がそんな勘違いをしていれば、当然生徒だって正確には理解していないことになる。
気づいた私は慌てて訂正した。
「違うよ 違うよ!『Poor KINGYO』だよ!」
「Oh...」
勘違いに気づいた先生は、目をまん丸くしてうなずいていた。
「かわいい+そう(そんな風に見える)」=「かわいそう」
おもしろい発想だ。
日本人だったらその発想はないね…と思ったところで思い出した。
昔、「きっとかわいいだろうね」を「かわいそうだよね」と表現した友人(日本人)がいたことを。
「かわいい」と「かわいそう」では、全然違う意味になってしまうのだけども…^^;