「伝えたい!」~意志表示のコツ♪ | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

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ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

母国語ではない言語で会話をするとき
どう言っていいかわからないと黙って考え込んでしまうことってないだろうか。

この時、何も意志表示をせずに頭の中だけで悩んでいると
相手には「意見のない人」「質問に答えない人」という印象を与えてしまいがち。

『日本人は自己主張しない』と言われる原因の一端はここにあるように思う。

言っていることがわからないのか、聞き取れなかっただけなのか
意見をまとめている最中なのか、コトバが出てこないのか…

考えて黙り込んでしまうだけでは、相手には伝わらない。

でも日本人は、これをやってしまいがちな人が多い。


私はこの状況を回避するために、いくつか意志表示のコツを掴んだ。


1.
たとえば相手に言われたことがよくわからなかったとき。

まずは相手が言ったことを繰り返す。
カウンセリングでいうオウム返しの要領だ。

それは、「あなたの言葉は私に届いていますよ」という意志表示になる。
そしてくり返し自分がその単語を口にすることで意味を掴めることもある。

またもし、その中のキーとなる単語がわからないが故に
質問の意図がわからないのであれば、そのコトバの意味を尋ねればいい。

「わからない」「理解できていない」と伝えればいい。

そうすれば相手は、こちらが何について考えているのかがわかるから
そこを補って再度コミュニケーションをとってくれるのだ。


2.
何か言いたいことがあるのだけれどそのコトバがわからないとき。

たとえば先日ガボンの2人がやって来たとき、
私はどうにかして自分の意志を伝えたかった。

フランス語の単語なんてたいして知らない。
でも伝えたい。

そんなとき、私はまず 「Je…」 と口にした。

言いたいことがあるのよ!
私これから、これをするって言いたいの!

「Je…」 と言って、動作と表情で伝えたい気持ちをアピール。

するとネイティブの彼女たちは、一生懸命こちらの意志を汲み取ろうとしてくれる。
予測してはその単語を口にし、また予測しては口にし…

するとちゃんと出てくるのだ。
彼女たちの口から、ドンピシャなコトバが!

 そう! それ!!

「Oui~!」


3.
何人かで意見を述べ合う会に参加すると、たどたどしい私の英語よりも
ずっと流暢な英語で意見を交わす人たちの中に入ることになる。

彼らと同じテンポで、ピッタリのタイミングで自分の意見を織り交ぜるのは
私にとっては至難の業。

だからといって、意見がないわけではない。

そんなとき私は、「はい!」と言って手を上げることにしている。

これは結構ドキドキする。
でも嬉しいことに、「意見を言いたい」という意志を伝えると
相手はちゃんとその意志を汲んで、聞く体勢をとってくれるのだ。

そして私のたどたどしい英語を一生懸命聞いてくれる。
この間(かん)、絶対にさえぎったりしない。



どれもこれも、まずは自分が相手に“聞いている事実”と“伝える意志があること”を
伝えることから始まっている。

一度で理解できなくてもいいじゃない。

うまく言えなくてもいいじゃない。

コミュニケーションて、『聞いて、伝える』のくり返しでしょ?

「聞いてるよ!伝えたいのよ!」を伝えればいいじゃない。


だから黙り込んではダメなのだ。
それが、人と人とが向き合う一番の妨げになる。