カタコトでもなんとかなる~二言語コラボ♪ | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

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ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

タジキスタンからのゲストを受け入れたときのお話。

それまでホームビジットで我家でお迎えしたゲストは
わずかながらも英語が話せた。
もちろん先方はとーーーってもカタコトの英語で、ほとんど文章にはならず
ひとつ伝えるのも一苦労だったりもしたけれど、それはそれで楽しいもの。

でも、このタジキスタンのMさんは、まったくまーったく、英語が話せなかった。
彼が話せるのはタジク語とロシア語。

ちなみにこのふたつなら、私にとってはロシア語の方が馴染みがある。

といっても、当時私がきちんと“認識”していたロシア語は
ほんの数語だったのだけれど(笑)

それでも、8時間ほどのホームビジットは
あまり困ることなく楽しく過ごしていた。

さて、私が夕飯の準備をしていた時
キッチンにある整水器が彼の興味をひいた。

Mさんが主人に尋ねる。

「整水器ってロシア語で何て言うんだろう?」

困る夫。

当然よね。
私たちは当時口にしていたロシア語は数語。
事細かなロシア語の単語なんて知らない上に
「整水器なんてロシア語、知るかーーーっ!」
という状態。

ましてや、タジキスタンに整水器なんていうものがあるのかどうか…

そこで私はちょっと頭をひねった。

私は『おいしい』に相当するロシア語は知っている。
対して彼は、『水』という日本語を知っていた。



ピーーーン!



私はおもむろに整水器を指さして言った。

「フクースナー水!」

そして水道の蛇口を指さして

「ニエッ フクースナー水!」



「ああ~!」



通じた!



ロシア語と日本語の、見事なコラボレーションだった(笑)


この通じたときの嬉さは、ちょっと言葉にしがたい。
とにかく嬉しかった。

カタコトでも、“伝えよう”“わかろう”とすると
言葉の壁はグッと下がる。

まさにそれを体感した瞬間。

英語じゃなくても、何語でも、これは起こる。
学校で学んだコトバじゃなくても。