まーくんの　ことのは。

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13Jun
- 名作文学批評シリーズ（２７）-谷崎潤一郎『神童』～ときどきキルケゴール～を読む
  シリーズ第27弾は、谷崎潤一郎の『神童』を取り上げた。底本は角川文庫版。100分間で楽しむ名作小説神童 (角川文庫)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 例によってあらすじは割愛する。角川文庫版では「100分間で楽しむ名作小説」という触れ込みもあり、本ブログの読者諸氏もぜひご自身で読み解いてほしい。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～■「聖人」たらんという勘違い本書を読んですぐに気づくのは、主人公・春之助自身の姿は、自分が目指す「聖人」とは似ても似つかない、ほど遠い存在であるということだ。ただ人並み外れて勉学ができるだけの、悪い意味での「ガリ勉」である。他者の痛みにも鈍感であり、勉学ができない人間のことを異様に見下げてもいる。一例として、奉公先で勉強が苦手な玄一の家庭教師を担当した際には、お前も馬鹿な人間だ。己はお前なんぞに同情を寄せるような、低級な自負心は持っていないのだ。己の眼からは、お前もお久も主人のお町も、皆一様に可哀そうな、下らない人間に見えるのだなどとつぶやいてしまっている。完全に「勘違い」をしている。これにはさすがにしかる後、自身でも傲慢であると反省するわけだが。この段階では、春之助が目指す先は「聖人」というよりも、例えばニーチェの提起する「超人」に近いと思った。（ニーチェは「同情」が嫌いである！）～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～■「実存の三段階」との類似ニーチェの名前を出したので、ついでに実存哲学つながりということでお許し願いたい。本作を通して描かれる春之助の内面の変化が、僕はキルケゴールが提唱した「実存の三段階」と類似していると考えた。「美的段階（実存）」⇒「倫理的段階（実存）」⇒「宗教的段階（実存）」多くの人が子供時代に経験し、大人になっても快楽や美といったものに心を奪われる「美的段階（実存）」。大人になるにしたがって、各種の社会規範や法、ルールを尊重した社会人としての「倫理的段階（実存）」。キルケゴールはさらに、もう一段階の重要性を訴える。どれだけ大人として正しい道を歩もうとしても、人間は不完全なのでどうしようもない自分と向き合う段階が来る。そこで初めて、自分の力を超え倫理をも超えた神の存在を認める。これこそが真の信仰であり、宗教的段階である。一般的には美的段階（実存）がもっとも低級なものであり、宗教的段階（実存）がもっとも困難な道であると考えられるのだが、「聖人」を目指す春之助は「美的段階（実存）」と「倫理的段階（実存）」をすっ飛ばしてしまっている。足場をしっかりと固めていないせいで、中学に入った春之助は自分の容貌や体力の無さにひどく落胆することになる。やはり最終的には、「美的段階（実存）」の大切さに気付くというわけだ。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～■なぜ春之助は「直接性」を生きられなかったのか？春之助の人生は神童（将来の聖人）という華々しいスタートを切ったが、次第に「知」よりも「美」に惹かれるようになった。いわば「実存の三段階」の逆パターンである。なぜ春之助は、実家にいた小学校時代に、美的段階を踏むことができなかったのだろうか。ただ単に世間知らずであったからか。もしくは自分も周囲も質素で素朴な生活スタイルを送り、そこに何の疑問も持たずに来たことが、かえって仇になったのだろうか。中学校に入り奉公人として日々を送る中で、いろいろな世界。それこそ教科書では決して学ぶことができないようなドロドロとした、しかしとても魅力的な大人の世界を、身をもって体験することができたからか。奉公先の面々は、春之助が実家で味わうことができなかったいろんな「美」の象徴を、随所で備えているさまが分かる。かつては自分自身が馬鹿にしていた「美」の沼に、まんまとはまってしまっている。そうであれば当初嫌がっていた丁稚奉公も、春之助にとって捨てたものではなかったどころか、結果的に人生の転機にもなったといえよう。ちなみに大人になってから改めて美的段階を生き直そうとする姿は、実は「実存の三段階」を提唱したキルケゴールも同じである。彼もまた、幼少期に味わうことができなかった「直接性」の大切さについて、思いを巡らせている。誰しも幼少期には、神や永遠、罪や罰といった概念とは無縁に、さまざまな物事がもたらす喜びを、そのまま享受して生きる。直接性というあり方である。だが彼は、父ミカエルによりその懸念を幼少期にすでに植え付けられた。・・・（中略）・・・子どもにしてすでに反省的であった。彼は、このような例外的な自分の場合には、大人になったあとで、直接的に回帰することが、ひょっとしたら可能なのではないかと問うのである。彼はその信仰の境地を「反省のあとの直接性」と概念化している。（参考文献：鈴木祐丞『キェルケゴールー生の苦悩に向き合う哲学』第6章「逡巡」）キェルケゴール　――生の苦悩に向き合う哲学 (ちくま新書)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～■春之助の将来とは？結局春之助は、「知」よりも「美」に目覚めた。小児の頃の趣味に戻り詩と芸術に没頭しようと決心したところで、物語は幕を下ろす。そこから先。書かれていない春之助の人生は、どのようなものになったのであろうか。あくまで想像だが、きっと明るい道を歩んだのではないかと思う。キルケゴールの「実存の三段階」に即して考えても、「美的段階」はあくまでも最初の段階。最終ゴールは「宗教的段階」である。もともとは「聖人」になりたかった春之助。少しだけ遠回りをして、経るべき段階をやり直してからでも、きっと間に合うだろう。そのことは「美」に目覚めた瞬間、春之助の前途には再び光明が輝きだしたようであった。と言及されていることからも、説明がつくと思う。刺青・少年・秘密 (角川文庫)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT}
07May
- 【復活】って何だろう？
  前々からトルストイを取り上げたいとは思っていた。しかも長編代表作の一つでもある、『復活』を。だが幾分、長い。論点も多すぎる。そこで今回はシリーズのナンバリングタイトルとしては扱わず、何度か読み返した現時点での感想文的な何かを書いてみる。底本として用いたのは、岩波文庫版（藤沼貴訳）だ。復活　上 (岩波文庫)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 復活　下 (岩波文庫)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～【復活】とは何だろう？個人の内面的なものを指すのか、あるいは社会的に虐げられた人々の解放の意味を指すのか。たぶんそのどちらも正解なのだ。物語の一方の主人公、ネフリョードフは自らの過ちを悔いて、ある種内面的な再生を果たしていく。傷つけてしまったカチューシャだけでなく、囚人や農民たちの理不尽としかいいようがない状況を目にして、その人たちをなんとか解放してあげようと奔走するネフリョードフの姿。ある意味でこれは救世主である。救世主というと、イエス・キリスト。キリストの【復活】になぞらえられるように、ネフリョードフの手によって救われていく人々の【復活】。だが最後の最後、ネフリョードフとカチューシャは結ばれない。ネフリョードフにとって、これは失恋と言えるかもしれない。もとはといえばネフリョードフが捨てた。最後、今度はカチューシャがネフリョードフを捨てた。否、これは惚れた腫れたのただの恋愛小説ではない。物語の冒頭部で、新約聖書のイエスの言葉が掲げられている。そのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか」イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい」（マタイによる福音書18:21-22）ネフリョードフとカチューシャは、それぞれ自分なりのやり方で相手を「赦した」。どこまでも。ただこのあたりは読んでいて難しく、なかなか理解が追いつかない自分もいる。内面的な改心も【復活】と呼ぶなら、まさにネフリョードフとカチューシャも【復活】したのだ。そういう意味では、本書で提示されている【復活】のテーマはとても重層的であるといえるだろう。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ドストエフスキーを読んでも思うことだけれど、ロシア文学には西欧圏の文学とは違う、正教的な香りがぷんぷんするのだ（正教の国だから当たり前なのだが）。（参考）・西方教会と東方正教会の違いとは？三位一体論から人間観、救済観、復活観まで・コトバンク東方正教会2024年のイースター（復活祭）は3月31日だった。そういうわけで、本当はその頃に本ブログを上梓したかった。もし来年以降も自分が生きていられたら、また復活をテーマにした作品をもってリベンジしよう。（ただしトルストイの『復活』以外の作品でお願いね）復活（上） (新潮文庫)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 復活（下） (新潮文庫)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT}
16Dec
- 名作文学批評シリーズ（２6）-チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』を読む
  今年ももうすぐ、クリスマス。シリーズ第26弾はベタな選出かもしれないが、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を取り上げた。底本は、光文社古典新訳文庫版（池央耿訳）を採用している。クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 本作については多数の訳本があり、映画や舞台化もされているから、ご存じの人もたいへん多いことと思う。『まんがで読破』でもシリーズ化されているので、あらすじだけでも確認してみてもいいかも。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ではここから、自分で読んで感じた感想をいくつか。■ちりばめられたメタファー本書を何度か読みかえして気づいたことの一つに、暗喩（メタファー）がそこかしこにちりばめられているということがあった。以下、数点まとめてみる。🎄マーリーが死んだ日付物語の導入部、募金をお願いしにきた紳士との間の会話で、スクルージの相方であったマーリーは、7年前の今日。クリスマスイブの日に死んだことが明かされる。7という数字はキリスト教にとって大きな意味を持っている。ましてクリスマスイブとなると、いよいよそれは間違いなかろう。つまり救世主が降誕するまさに寸前、すんでのところで亡くなってしまったというわけだ。亡霊となって現れるマーリーは、ご大層にまたクリスマスイブの日を選んでいる。これもおそらく数少ない盟友であったろうスクルージの今後の運命を、左右することの暗示に読める。🎄スクルージ（＝冬、寒さ、冷酷）のメタファー・・・冷たい心は老眼を凍らせて、鷲鼻をかじかめ、頬に皴を刻んだ。・・・（中略）・・・頭に白霜をいただき、眉と、しゃくれた顎のまだらな髭にも白いものが目立っている。行くところ、必ずその低い体温であたりを冷やすから、暑い夏の盛りにも事務所はうそ寒く、クリスマスを迎えていくらかなりと温まることもなかった。（第１節マーリーの亡霊）スクルージの様子については、「冷たい」「白霜」「うそ寒く」などと、とにかく「冷たい」存在であることが強調されている。「必ずその低い体温であたりを冷やす」とあるように、自分のみならず周囲の人に対してもである。そういう意味では、今一緒に働いている会計助手は、特に気の毒な状態にある。もっとも後に精霊から見せられた光景で、この会計助手こそがスクルージを大きく改心させるきっかけの一つになるわけだが。🎄冬至との関連いうまでもなく、クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う日だ。もっとも近年の研究では、ミトラ教の冬至祭りをそのまま流用したとされる説が濃厚らしいが。上二項との関連でいえば、闇が強い（日照時間が短い）日が続いた中、クリスマス（＝冬至）を境にまた光が強くなる（日照時間が長くなる日）になるわけであり、人々の心にもまた火が灯り出すというわけだ。すんでのところで亡くなってしまったマーリーはスクルージのかつての盟友として、亡霊の形をとってまでスクルージに忠告に来た、と考えれば合点がいく。決しておどろおどろしいものではなく、マーリーなりの最高のギフトのつもりだったのかもしれない。■教訓らしきもの、その他感想など🎄マーリーの亡霊と3人の精霊の正体とは？物語を最後まで読んでも、マーリーの亡霊と3人の精霊の正体が何なのか、ついぞ明示はされていない。だがそれが一体何なのか、いくつか仮定はできる。A.スクルージはふとしたきっかけでマーリーのことを思い出し、連鎖的にスクルージ自らの過去の追憶と、現在、未来へ想像を膨らませたB.スクルージは夢を見ていた（そういえば以前、ドストエフスキーの「おかしな人間の夢」で、一晩で考えを改める主人公について考察したっけ）C.スクルージはある種のSF、超常的な体験をしたA、B、Cいずれの仮定が正しかろうと、スクルージは確かに変わった。いや、悪人が善人になったというより、どこかで無くしてしまった大切なものを取り戻した、というべきだろうか。🎄サンタクロース＝改心したスクルージ？読んでいて思ったのは、サンタクロースというのは改心したスクルージなのではないか、と思ってしまったことだ。もちろんこれは順番が逆だ。サンタクロースの由来についてはいろんなところで言及されているのでここでは割愛するが、改心したスクルージは困っている人に手をさしのべ、子供たちにギフトを贈るサンタクロースさながらの人物になっている。これも作者ディケンズの仕掛けであろうか？だとしたら面白い。🎄時代を超えても学べることがある現在の精霊で案内された先では、スクルージについてのみんなの評判が次々と明かされる。・・・考えてみれば、気の毒な人だよ。どうしても、叔父には腹が立たないんだなあ。あの頑固でひねくれた性格で、いつも結局は自分が損してばかりだからね。（第３節精霊（その２））スクルージの甥はスクルージのことをこう評している。甥も人が良いが、スクルージ自体も別に「大悪人」というわけではない。ただいろいろ世知辛い経験をしてきた中で、度を越えて偏屈になってしまったばかりに、結局は自分が一番損をしてしまっているというわけだ。「嫌い」というより「哀れ」という感じ。こういう人、現代でも沢山いるのではないか。また、現在の精霊のマントの襞の間から子供が二人よろけ出るシーンでは。子供は男と女だった。肌は黄ばんで垢が浮き、骨と皮にぼろをまとって、いじけた目に恨みを宿している。それでいて、どこやら卑屈には堕さずに謙虚なところがある。健やかな若い命が発育盛りの輝きを見せるはずのところを、言うならば、老人が皴だらけの手でひねくりまわして台なしにした。天使たちが高みに居ならぶべきところに、悪魔の弟子どもがのさばって凄みをきかせている。・・・（中略）・・・「人の子だ」精霊は二人を見下ろして言った。「親を逃れて俺にすがっている。男の子は〈無知〉、女の子は〈貧困〉だ。二人に心せよ。（第３節精霊（その２））とある。アダルトチルドレン、ヤングケアラー、トー横キッズ・・・。時代は違うけれども、子供たちが我儘な大人たちの犠牲になったり不幸になったりすることほど、悲しいことはあるまい。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～以上、ネタバレになりすぎない範囲で、まとめてみた。底本にした光文社古典新訳文庫版では、解説を入れても200ページ未満。鞄の隅にしのばせて持ち運んでも読めるくらいのサイズだ。しかしこのブログを上梓するにあたり、何度も読み返し、気になる箇所は線をひきまくった。紙面は付箋だらけである。あまりに長すぎもせず、難解すぎるものでもなく、それでいて内容はなかなか深い。こういうものを人は「名作」と呼ぶのだろう。19世紀に出版されて以来、イギリス本国をはじめ世界中の人々に読まれてきたという事実が、まさにそれを裏付けている。クリスマス・キャロル (新潮文庫)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} クリスマス・キャロル (角川文庫)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT}
12Dec
- やっぱりギターはすばらしいⅡ
  以前、こちらの記事でYouTuberさんを何人か取り上げさせていただいた。そのときは洋楽ギタリストのコピーをしている方々だったので、今回は邦楽ギタリストのコピーをされているものを、5人ほど。🎸MARIONETTE/BOØWY🎸（出典：https://www.youtube.com/@saki-guitar）年上の大人たちがこぞってコピーしていた、BOØWY。このYouTuberさんは「お父さんがよく弾いていた」と言っているが、そこまで年月が経ったのか...！と驚きの気持ちもある。そこまで超絶技巧というわけではなくても、一曲の中にギターの様々なアイデアが施されている。そこはさすがの布袋さんだ。Boowy This BoowyAmazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る 🎸ROCKET DIVE/hide with Spread Beaver🎸（出典：https://www.youtube.com/@melbon3016）この曲、大学生のときにバンド仲間とコピーしようかという話になり、少しだけ練習した記憶がある。若い人がXやhideのコピーをされているのを観ると、微笑ましい気持ちになる。バンドスコア ROCKET DIVE/hide with Spread Beaver (LBS12)[オンデマンド楽譜]Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る 🎸夢見る少女じゃいられない/相川七瀬🎸（出典：https://www.youtube.com/@ouseyuka）どこか影があってある種重みも感じるんだけれども、王道なロックでしっかりとポップな要素もある。織田哲郎プロデュース・相川七瀬の1stアルバムを聞いたとき、最初にそんな感想を持った。ギターを始めたばかりの人もチャレンジしてみたい「課題曲」の一つになる（と僕は思う）。バンドスコア夢見る少女じゃいられない/相川七瀬 (LBS176)[オンデマンド楽譜]Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る 🎸蝋人形の館/聖飢魔Ⅱ🎸（出典：https://www.youtube.com/@nacocomusic1552）聖飢魔Ⅱは決してお茶目なバンドではなくて、メンバーそれぞれが超絶テクニックを兼ね備えているバンドであるということ。知ってる人は知っている、知らない人は覚えてね。にしても、閣下の声が若い・・・バンドスコア蝋人形の館/聖飢魔II (LBS1197)[オンデマンド楽譜] (BAND SCORE PIECE)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る 🎸愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない/B'z🎸（出典：https://www.youtube.com/@iBerryGYM0421）かつて僕は、松本さんが超絶速弾き系のギタリストだと思っていた。が、さきの布袋さんと同じく、曲の中にさまざまなトリックが仕掛けられていること。ハネたリズムや泣きが入ったソロ。様式美も感じられる曲が多い。バンドスコア稲葉浩志/松本孝弘 BEST SCORE (楽譜)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る世のお父さん、お母さん方。お子さんに「ギターやりたい！」「何か楽器を始めたい！」と言われたら、どうしますか？YAMAHA ヤマハ PACIFICA112V UTB エレキギター初心者14点セット【ヤマハアンプ付き】エレキギターユナイテッドブルーヤマハAmazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る SELDER セルダーエレキギターストラトキャスタータイプサクラ楽器オリジナル ST-16/MBL 初心者入門ベーシックセット+ミニアンプ用電源アダプターAmazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る
25Aug
- 名作文学批評シリーズ（２5）-山田詠美『放課後の音符』を読む
  （出典：https://www.shinchosha.co.jp）「ただ甘いだけ」なのが、子供。「ただ気持ちいいこと」だけが、子供。対して大人の世界はほろ苦く、常にどこか痛みを伴っている。それを受け止め、かみしめながら生きていく。子供と大人には目には見えないけれど確かな、境界線がひかれている。名作文学批評シリーズ第25弾は、山田詠美の『放課後の音符（キイノート）』を取り上げることにした。直木賞受賞作家の山田氏の作品群の中でも、とても物語の歯切れがよく、全体的に読みやすい短篇集となっている。興味を持たれたけれどまだ未読という方にも、おすすめできる作品だと思う。好きな人がいない放課後なんてあり得ない！おとなを目指す女子のための恋活力向上小説。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～どこにでもいるであろう女子高校生の「私」と、「私」を取り巻く女性たち。彼女たちは「私」とほぼ同じ年齢なのに、あまりに大人びていて、どこか現実離れしている。現実にいるか？と言われると微妙なところだと感じたので、ここは「私」を導いてくれる「妖精さん」のように僕は捉えて読み進めた。「妖精さん」といっても、ときにお酒やたばこ、香水やアクセサリーを愛好しているので、ちょっぴり悪い「妖精さん」だ。そんな「妖精さん」達と出会い、彼女たちの言行を見聞きすることによって、少女の「私」は大人の女性へと変貌していく。8個の短篇は、そのまま「私」という自意識の成長物語でもあるといえよう。そしてそれらの短篇に共通して出てくるのは、「香り」または「匂い」。（なぜタイトルを『放課後の香り』にしなかったのか？）香りは目には見えない。しかし確かにそこにある。少女の香りから、大人の女性の香りへ。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～「私」はあるとき、こう思う。私たちの生活って、色々なディテイルによって動かされすぎているんじゃないかと、時々思ってしまう。たとえば、あそこのブランドのお洋服が欲しいからアルバイトをするとか、誰々は、どこそこのお店にお店に出入りしているから格好がいいとか。でも、それは自分の価値観から出た言葉じゃない。「あそこのブランド」とか、「どこそこのお店」のようなのって、ほとんど多数決の世界だ（Crystal Silence）「私」じゃないもの。「私」以外の多数によって決められたものに、「私」の照準を合わせる生き方って、どこか変じゃないの。現代人はとくにその傾向が強いかもしれない。自分で選ぶより、口コミや評判、各種ランキングなんかの情報をググりまくる。リスクをとって失敗したくないからだ。それ自体が悪だとは思わないが、自分より多数の目を優先するということには、どこか冷静でありたい自分もいる。そして著者の山田氏は、あとがきでこう書いている。良い大人と悪い大人を、きちんと区別できる目を養ってください。良い大人とは、言うまでもなく人生のいつくしみ方を知っている人たちです。悪い大人は、時間、お金、感情、すべてにおいて、けちな人々のことです。若いということは、はっきり言って無駄なことの連続です。けれど、その無駄使いをしないと良い大人にはなれないのです「コスパ」や「タイパ」を重視する、最近の流れ。確かに無駄がないが、遊びもない。だから本書に照らして考えれば、これは「悪い大人」のやること。今まさに青春時代を生きている若い人たちにはぜひ、大いに無駄なことをやって「良い大人」になってほしいと、切に願う次第だ。放課後の音符（キイノート） (新潮文庫)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
07Jun
- やさしくなった悪魔
  （引用：https://www.sonymusic.co.jp）今回はオジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)について、つらつらと動画まとめ的なものを。自分の音楽遍歴でいえば、三大ブリティッシュハードロックバンドでいうと、まずはDeep Purpleから入り。次にLed Zeppelin。最後に行きついたのがBlack Sabbathという流れ（このパターンは多いのかな？）。ただSabbathに関しては個人的にPurpleから入ったということもあってか、Rainbowの初代ボーカルも務めたロニージェイムズディオ（Ronnie James Dio）期のほうが好き。オジーに関しては、この後まとめるソロ期のアルバム『Blizzard of Ozz』以降の楽曲のほうが好きである。そんなわけで1980年のソロ活動以後の楽曲について、公式動画などをもとにして足取りを追ってみることにする。♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰☦I Don't Know☦1970年から始めたBlack Sabbathを解雇されやけくそになっていたオジーは、ランディ・ローズ（Randy Rhoads）ら最高のメンバーととともに、ソロアーティストとして新しい一歩を切る。Blizzard of Ozz / Diary of a Madman 30th AnniversaAmazon（アマゾン）16,800〜45,368円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ☦Bark at the Moon☦狼男になったオジーには、全く可愛さしか感じない。この曲については、ハードロックの古典の一つともいえよう。確かB'zの稲葉さんも、アマチュア時代にこの曲をコピーしたとか言っていたかな？月に吠える(期間生産限定盤)Amazon（アマゾン）712〜2,127円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ☦Miracle Man☦ロックを「悪魔の音楽」と揶揄したテレビ伝道師への当てつけソング。一切罪を犯した事のない「奇跡の人」なんざ、この世にいるもんか。ザック・ワイルド（Zakk Wylde）の重厚なギターサウンドも、とても心地よいナンバー。ノー・レスト・フォー・ザ・ウィケッドAmazon（アマゾン）880〜3,100円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ☦Paranoid☦オリジナルメンバーで再結成されたSabbathの、2012年のライブ映像。やはりParanoidのギターソロは、トニーアイオミでこそ最も活きると感じる。❦Interview2020年？のインタビュ。奥さんのシャロンさんと並び、自身の病気や今後の音楽活動などについて話している。内容としては少々シリアスかもしれないが、なんとすっかり好々爺になったオジー。1991年に発表された『Mama, I'm Coming Home』という曲は、母を思う少年の気持ちが歌われているのだが、内実は自身を支え続けてくれている奥さんへの、ありったけの愛でもあるのか。♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰オジー・オズボーンが2023年のツアー日程をすべてキャンセル！そしてツアー活動からの引退を発表！悪魔だの、地獄だの、血まみれだの、精神錯乱だの。おどろおどろしいワードを並べていた表現者の今。なんと悪魔もすっかりと優しくなってしまったものだ。一抹どころではない寂しさを感じる。もう少し、あと少し。Showを続けてくれないかなあ。ジ・エッセンシャル・オジー・オズボーンAmazon（アマゾン）800〜4,980円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
18Mar
- 名作文学批評シリーズ（２4）-ジョン・スチュアート・ミル『自由論』を読む
  （出典：楽天ブックス: 自由論 - ジョン・ステュアート・ミル - 9784334752507 : 本 (rakuten.co.jp)）名作文学批評シリーズ第24弾は、ジョン・スチュアート・ミル（以降、「ミル」）の『自由論』を取り上げてみた。今回は光文社古典新訳文庫版（斉藤悦則訳）を底本としている。自由論 (光文社古典新訳文庫)Amazon（アマゾン）1,089円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る本書の最初に、メインテーマが提示されている。本書のテーマは・・・（中略）・・・市民的な自由、社会的な自由についてである。逆にいえば、個人にたいして社会が正当に行使できる権利の性質、およびその限界を論じたい（第1章　はじめに）長い間哲学的に命題であった「意志の自由（≒私は何をなしうるか」ではなく、今日多くの人が連想するまさに「社会的な自由」のほうが取り扱われていることに、注意喚起される。■社会的な自由社会は、社会自身がくだした命令をみずから執行できるし、じっさい執行している。そこで、もしもそれが正しい命令ではなく、まちがっていたり、あるいは社会が干渉すべきでないものごとについての命令であったりすれば、社会による抑圧はたいていの政治的な圧迫よりはるかに恐ろしいものである。・・・（中略）・・・すなわち、多数派が、法律上の刑罰によらなくても、考え方や生き方が異なるひとびとに、自分たちの考え方や生き方を行動の規範として押しつけるような社会の傾向に対して防御が必要である（第1章　はじめに）ここでの「社会自身がくだした命令」とは、必ずしも法的なものに限られない。個人の自由と「社会自身がくだした命令」は、多くの場合相反する概念であり、個人が社会的な自由を獲得するためには、多数派からのさまざまな「傾向」から防御する必要がある。このことを考えるのに、一番の好例となったのが3年以上にわたるコロナ禍であろう。例えば「マスク警察」や「自粛警察」なるものもあらわれた。本来、マスクをしないで外出してはいけない、なんて法律はない筈だが。（私自身は、今でも混雑した空間では原則マスクをしている。暑くて仕方ないが）法的な縛りがなく、しかし社会的な空気感によって自らの自由が奪われるというのは、実に恐ろしいことではないだろうか。いったん世間というものを絶対的に信頼してしまうと、ほかの時代、ほかの国、ほかの宗派、ほかの教会、ほかの階級、ほかの党派には、自分たちと正反対の考え方が昔も今もあると知っても、世間への信頼はゆらぐことがない。違う世間にたいして、自分たちのほうが正しいと言い張り、その責任は自分が属する世間にゆだねる・・・（中略）・・・さらに、時代というものもまた個人と同じくらい間違いを犯す。・・・（中略）・・・過去において一般に正しいとされた意見の多くが現在では間違いとされているように、現在一般に正しいとされる意見の多くが、将来においては間違いとされるにちがいない（第2章　思想と言論の自由）私はネット記事などで定期的に特集される、「昭和の時代の常識」ものを読むのが好きだ。たとえば電車の中で堂々と煙草が吸えたり。今では考えられないことだが、過去にはあれは「間違いではなかった」のである。今もし同じことをしたら「間違い」を通り越して、犯罪行為として裁かれてしまうかもしれない。価値観も常識も永遠不変ではないということを感じるゆえに、自分（たち）の意見の正しさにも限界がある。そんなある種の謙遜さも、必要だと思う。■思想の自由きわめて活発で探求心に富む知識人の大部分が、自分の信念の本当の原則や根拠は自分の胸にしまっておくのが得策だと考えてしまう。人前で語るさいには、内心で否定している前提に自分の結論をできるだけ合わせるように努力する。こうした状況の下では、かつての思想界で輝いていたような、率直で剛胆な人物や、自分の論理を貫く知識人など登場するわけがない（第2章　思想と言論の自由）この世の中、実に多くのタブーにまみれている。なんでもわが国では、政治と宗教と野球の話題は特にそうらしい。優しい人々は衝突を恐れたり、周りの空気を凍らせまいと、必死に「空気を読む」。それは素晴らしい配慮であると思う一方、人々同士でのディベートの機会を自ら損失しているというデメリットもあるのではないか。自分の信念は自分ひとりで胸の中にしまっておくのもいいが、ときにはしかるべき場で発表しよう。自分がする。周りの人もはじめる。そうして闊達な意見の交換も行われるのだ。思想の自由は、ただ単に、あるいは主として、偉大な思想家を生み出すために必要なだけではない。普通の人間を可能なかぎり精神的に成長させる、そのためにも必要である。いや、むしろ、そのためにこそ必要なのである（第2章　思想と言論の自由）思想の自由は、人間を精神的に成長させる必須ビタミンなのだ。■世界機関の「勧告」は正しいか？たとえ、その社会のひとびとが悪法に苦しんでいても、そのひとびとが他の社会に救援を要請しない限り、彼らと何のつながりもない人間たちが勝手に出しゃばるのを、私は認めるわけにはいかない。そこに住んでいるひとびとが、その社会環境に満足していると思われるのに、そこから数千マイルも離れた国に住んでいて、その社会と何の関係もない人間たちが、その制度は破廉恥だから廃止すべきだと要求するのも、私は認めるわけにはいかない（第4章　個人にたいする社会の権威の限界）この文章を読むと、ミル自身はかなり古典的な自由論者なんだな、という印象を受ける。（「保守的な自由論者」としたいところだが、こう書くとなんだか論理矛盾しそうで嫌だ）↓例えば、こんな記事↓日本に人権機関設置を勧告死刑廃止も、国連作業部会国連加盟国、特にヨーロッパ諸国が軒並み死刑を廃止しているのは、皆が知るところ。一方でアメリカや中国など、大国でも以前制度を存続させている国もあるのも事実。ミルの考えに沿えば、その国の人々（多数派？）が求めていないものを、他国の政府や機関などが「あなたたちはおかしいから、このように是正しなさい」などと要求するのはおかしい、ということになろう。また先進諸国はイスラム諸国などにおける女性の扱いを差別的だといってよく論じているが、本来であれば当事者たちが声をあげて自ら変革運動をしていく、その後押しをすべきなのだ。他所様がとやかく言うことではない。とはいえやはり、もし一国内で特定の人種や民族に対する不当な圧制や迫害が行われていたりするならば、やはり国際機関は責任をもって非難し、必要な対処を行う義務もあるとは思う。■親の責任子どもの体のために食物を、子どもの精神のために教育と訓練を与えなければならない。それができそうにないのに子どもをつくるのは、この不幸な子どもにたいする、そして社会にたいする非道徳的な一種の犯罪である。・・・（中略）・・一個の人間存在をこの世に生み出すこと、それは人生のうちでもっとも責任を伴う行為である。この責任を引き受けること－親にとって災難にも祝福にもなりうるものに生命を授けること－は、生まれてくる子どもの人生が望ましいものになる見込み、少なくとも人並みになる見込みがないのであれば、まさしく子どもにたいする犯罪である（第5章　原理の適用）これに関しては反発を覚える人もいるだろう。私は賛同するほうであるが。「親になる自由」と「子どもが子どもらしく生きられる自由」のどちらを重視すべきといえば、後者のほうだと私は考える。そういう意味でも、自由と責任は表裏一体でもあるのだ。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～こうやって書いてみると、要は個人がしっかりと自立して、思考を鍛える。周りの人々と議論を重ねていき、良質な組織、制度、政府をつくる。そのためには何よりも人々に「社会的な自由」が保障されることが、必要なのだ、と。まあこんなところ、か？逆にいえば「社会的な自由」が保障されない、される見込みもないという地域だって、（忖度なしにいえば）世界には存在するということ。これはどのような考えればいいのだろう。今回はこんなところで。気がついたことなどあれば、順次追記していこうかと。自由論 (岩波文庫)Amazon（アマゾン）924円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る自由論 (まんがで読破)Amazon（アマゾン）484円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
15Mar
- やっぱりギターは素晴らしい
  最近ギタリストを中心にClassic Rockの名演たちをこのブログで書いていることが多いけど。きっと楽しいのだ。楽しいからこそ続けられる。書くことで自分のことも分かる。例えば僕はアメリカンロックよりも、圧倒的にブリティッシュロック寄りであるということも。Clapton、Beck、Page、Blackmore、IommiのコピーをしているYouTuberさんを、まとめ的にこのブログに。🎸Crossroads/Cream🎸（出典：https://www.youtube.com/@MidoriShigeyama）世界中のギターキッズたちにとって永遠のヒーローの一人で在り続ける、Clapton。Cream時代のCrossroadsのギターは、彼らの教科書的存在のナンバーだ。これまでおそらく何億回、何十億回とコピーされていることだろう。VERY BEST OF CREAMAmazon（アマゾン）1〜3,895円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸Jeff's Boogie/Beck Bogert & Appice🎸（出典：https://www.youtube.com/@kitanosanae）先日惜しくも亡くなってしまったJeff Beck。今までもこれからも誰も追随することもできない、唯一無二のギタリストであろう。Beck Bogert & Appiceは、The Jimi Hendrix ExperienceやCreamと並ぶスーパートリオという触れ込みだったらしいが、肝心のBeck本人はそれほどやる気があったとかなかったとか。ライヴ・イン・ジャパンAmazon（アマゾン）27,166円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸Stairway to Heaven/Led Zeppelin🎸（出典：https://www.youtube.com/@iBerryGYM0808）Zep時代のPageは、ギターソロというよりもリフ作りの天才として、多くの人に認知されていることだろう。ただあまたあるZepの名曲からソロが光る曲を選べと言われたら、100人中90人ぐらいは、この曲をチョイスするのではないだろうか。レッド･ツェッペリンⅣ<2014リマスター/デラックス･エディション>Amazon（アマゾン）2,000〜16,082円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸Highway Star/Deep Purple🎸（出典：https://www.youtube.com/@ouseyuka）4連の高速ソロをいかに流暢に弾けるかどうか。ここがギターを始めた人が初心者を卒業できるかどうかの、分かれ目。そういえばすっかりハードロックから離れてしまったBlackmore本人も、「Highway Starのソロは好きだ」と言っていると、何かの記事で読んだような気が。マシン・ヘッド【2012リマスター・スペシャル・エディション:SHM-CD】Amazon（アマゾン）1,949〜6,438円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸N.I.B/Black Sabbath🎸（出典：https://www.youtube.com/@user-eu8vj1uu7i）ブルースを基調としながらも、重厚で独特のリフを産み出し、メタルの父祖的存在となったSabbath。安易に速弾きに走ったりせず、非常にシブい味を出せるのが、Iommiのギターである。Greatest Hits 1970-1978Amazon（アマゾン）985〜3,666円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見るこんなところで、なんでこの5人のYouTuberさんの演奏を選んだのかって？ヒントは毎年来る3/8だ。私は同性にも異性にも優しく厳しいが、まあ今回は特別だ。Guitar Magazine LaidBack (ギター・マガジン・レイドバック) Vol.12 (表紙&巻頭：桜庭ななみ) (リットーミュージック・ムック) (Rittor Music Mook)Amazon（アマゾン）1,760〜2,190円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る Guitar Magazine LaidBack (ギター・マガジン・レイドバック) Vol.11 (表紙&巻頭：小宮山莉渚) (リットーミュージック・ムック) (Rittor Music Mook)Amazon（アマゾン）1,617〜6,495円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
22Jan
- 『善悪の彼岸』へのプロレゴメナ的なⅡ
  前回の続き。今回はニーチェ『善悪の彼岸』の、「第七篇　わたしたちの徳」からラストまでの部分。同じように気になったところをピックアップしてみた。善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～■「女性解放」という嘘このようにして女が新しい権利を獲得し、「主人」になろうとし、女性の「進歩」をその旗印として掲げるときには、恐るべき鮮明さをもって、その反対のことが起きつつある。女は退歩するのである。・・・（中略）・・・「女性の解放」なるものは、それが女性によって（頭の鈍い男によってだけではなく）要求され、推進されるかぎり、もっとも女性らしい本能がますます衰退し、鈍くなっていることを示す顕著な兆候なのである。・・・（中略）・・・女性にたいする尊敬の念、しばしば畏怖の念すら呼び起こすのは、女性の自然［の本性］である（二三九　女性解放運動）ニーチェは女性蔑視論者では全然ないと思うのだが、現代ではなんとも取り扱い注意な表現である。彼の考えとしては、そもそも女性は太古の昔から「弱者」などではなかった。男性とは全く別の形態で尊い存在であって、しばしば「畏怖の念」すら覚えさせる存在であったはずだ。それが「弱者である女性を解放する」という運動のもと、男性とまったく同等の存在に近づこうとすればするほど、そのような女性の良さが失われてしまっているのだ、と・・・。・・・というようなことは、あくまでニーチェが書いてることだ。■「いい人」はだましやすい高貴な人間は、自己のうちにとどまる力強き者を敬う。みずからに力を行使することのできる者を、語るべきときと沈黙すべきときを知っている者を、喜びをもって自己に厳しさと過酷さを行使する者を、あらゆる厳しさと過酷さを尊重する者を敬うのである。・・・（中略）・・・こうした考えをもつ高貴で勇敢な者たちは、同情とか、他者のための行動とか、利害関係のないこととかに道徳的な特徴をみいだす道徳とは、遠く離れたところにある。・・・（中略）・・・奴隷的な思考方法については、善人は危険のない人でなければならないからである。善人は温厚で、だまされやすく、おそらくどこか愚かであり、善良な人である。奴隷の道徳が優位を占めるところではどこでも、言語は「善（グート）」という語を「愚か（ドゥム）」という語に近づけようとする傾向があるのだ。（二六〇　二つの道徳）ここはニーチェの思想の核心をつかむうえで、一つの重要なポイントだろう。前回の引用にも似たような記述があったと思うが、水平化した民衆は「畜群」となる可能性がある。どれほど世の中で理不尽なことがあっても、怒らず疑問ももたず、ひたすら平和に日常が流れることを願っている。これはいい人でもなく、力を持つ側から扱いやすいだけの人なのだ。「イイヒトって言われたって、ドウデモイイ人みたい」（浜崎あゆみ「Boys & Girls」の歌詞の一節）な話である・・・。このことは先進国にとってもよく見られる現象だろう。大変耳が痛い言葉である。■評判の奴隷になっている社会虚栄心の強い人間は、自分について耳にするすべての良い評判を選ぶ（それが役に立つかどうかなどまったく考えないし、それが正しいか、間違っているかすら、無視するのだ）。さらにこの人間はすべての悪い評判に心を悩ませる。この人間はいい評判と悪い評判の両方にしたがうのであり、自分のうちに突然に姿を現したもっとも古い服従の本能にしたがって、自分がこうした評判にしたがっていることを感じるのである。－この人間は虚栄心の強い者の血の中にひそむ「奴隷そのもの」であり、奴隷の狡猾さの残滓なのだ。（二六一　虚栄心の謎）良くも悪くも、現代は評価の世界になっていると思う。自分に自信があるなら、本当はどんな評判を食らってもくそくらえくらいに思ってもいいのに、いろんな「お客様」に気を配らないといけないという意味で、逆に生きにくい世界になってはいないだろうか。■死後に評価される星たちもっとも遠くにある星からやってくる光は、もっとも遅く人間に訪れる。そして光が人間にとどかないあいだは、そこに星があることを－人間は否定するのである。（二八五　星からの光）ゴッホのような例を取り上げるまでもなく、死後に初めて世間的に評価される天才は驚くほど多い。夜空の星はとてもまぶしく美しいが、実際にその美貌を眺めることができるのは、実は光り出してから何万年も後になってからなのだ。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ニーチェは人気があって、定期的にいろんなものが出版されるようだ。彼の言葉はいちいち勢いがいいし、現代人からしても「確かにそうかもな」と思ってしまう部分もあろう。（個人的には『善悪の彼岸』はすばらしい箴言集だと思っている）だがよく知られている通り、彼の人生は実は挫折の連続であった。だから強い言葉で読者を鼓舞しているようでいながら、実は自分自身に言い聞かせているような。崩れ落ちそうになる自分をなんとかして支えて、もう一度這い上がろうとするような－。そんな熱量も感じてくる。今後も名作文学批評シリーズの正式なナンバリングタイトルとして取り上げてみたい。その際の候補としては、『道徳の系譜』あたりになるだろうか・・・？ニーチェはこう考えた (ちくまプリマー新書)Amazon（アマゾン）1,416〜5,395円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見るニーチェ入門講義Amazon（アマゾン）1,976〜4,840円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る「最強！」のニーチェ入門　幸福になる哲学 (河出文庫)Amazon（アマゾン）713円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見るニーチェ入門 (ちくま学芸文庫)Amazon（アマゾン）857〜4,950円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る超訳ニーチェの言葉エッセンシャル版 (ディスカヴァークラシック文庫シリーズ)Amazon（アマゾン）92〜4,200円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る教養として学んでおきたいニーチェ (マイナビ新書)Amazon（アマゾン）861円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
17Jan
- 『善悪の彼岸』へのプロレゴメナ的なⅠ
  いつかはこのシリーズで、ニーチェを取り上げたかった。だが、しかし難しい。彼の作品にはなんともいえない独特の「クセ」がある。読むのは好きでも、それをもとに批評もどきをするには骨が折れることだ。後期のニーチェの代表作といえば、なんともいっても『ツァラトゥストラ』。だがそれはあまりに「詩的」な作品だった。故に、当時はほとんど見向きもされなかった。「詩的」な作品をより分かりやすく解説したのが、今回取り上げる『善悪の彼岸』だ。もっともあらためて読むと、こちらも十分に「詩的」だ。その為か、さらに論文形式をとった『道徳の系譜』が後に生れるわけだが・・・。光文社古典新訳文庫版で約500ページの分量。文庫本とはいえ、なかなかだ。全体をピックアップすることなど到底できるはずもないので、何か所かポイントに思える章だけを抽出してみる。善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫 Bニ 1-1)Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～■力への意思生理学者たちは、自己保存の欲動を有機体の枢要な欲動と考えているが、この理論は考え直すべき時期がきている。何よりも生きているものはすべて、自分の力を放出しようとするものである。生そのものが力への意思なのだ－。（一三　自己保存の欲動）すべての生き物は「自己保存」をしようとする（スピノザはこれを「コナトゥス」と名付けた）。それはそうなのだが、ニーチェはさらに前へ、より強く伸びようとするものだと考える。それを「力への意思」と呼ぶ。ニヒリズムを乗り越える為には人は、「力への意思」を必要とする。■「自由」という嘘誤って「自由な精神」と呼ばれている者は、要するに厳しく言えば水平化する者たちなのである。－民主主義的な趣味とその「近代的な理念」とかいうものに仕える、能弁で筆のたつ奴隷にほかならないのである。どれもこれも、孤独を知らぬ人間であり、みずからの孤独を知らぬ人間であり、愚かで健気な若者たちである。・・・（中略）・・・彼らが全力を尽くして手に入れようとしているすべてのものは、あらゆる家畜の群れが望む緑の牧場の幸福である。（四四　新しき哲学者）「新しい生き方」だとか「自由な若者」とかいうが、それらには往々として家畜の群れのような生き方のことが指し示されており、正しい生き方ではないとニーチェは考える。ちょっと違うかもしれないが、誰かが作ったブームなんかに乗せられてそっくりまねをしているような人。彼は客観的にみると全然自由ではない（本人が「私は自由だ！」と思い込んでいたとしても）。「自由な精神を持つ者」は、本当は孤独を知る者。天才は孤独とはよく言ったものだ。天才は「まれ」であるからこそ天才であり、「まれ」であるゆえにきっと孤独なのだ。■「化粧」の重要性ある人がどのような人物であるかは、その人の才能が衰えはじめたときに、あらわになるものである。－そしてその人に何ができるかを示せなくなったときにである。才能は一つの化粧である。化粧はまた一つの隠れ家なのだ。（一三〇　隠れ家）男と女を全体として比較してみるならば、次のように言えるだろう。脇役を演じる勘のない女性は、化粧の才能にも欠けているだろう。（一四五　脇役と化粧）本書には何か所も「化粧」が引き合いに出されて論じられている部分がある。人間はとかく「化粧」をして生きており、その「化粧」が上手いのは、いうまでもなく女性の側である。■「人間イエス」への敬愛愛によってなされたことは、つねに善悪の彼岸にある。（一五三　愛と道徳）イエスは同胞のユダヤ人たちに語った。「律法は奴隷たちのためのものだった。－［律法にしたがうのではなく］神を愛するのだ。神の息子であるわたしが父を愛するように！神の息子であるわれわれにとって、道徳など、どんな関係があるというのだ！」－（一六四　律法）ニーチェはキリスト教を批判したけれど、イエスその人を批判したわけではなかった。むしろニーチェの考える「善悪の彼岸」を体現した人物として、彼のことを敬愛しているのである。■親は全員、毒親予備軍？両親は知らず知らずに子供を自分に似た人間に育てる。‐そしてこれを「教育」と称する－。母親であって、自分が産んだ子供は自分の所有物だと心の奥底で信じていない人は一人もいない。もちろん父親であって、子供を自分の考え方や価値評価にしたがわせてよいと信じていない人も、一人もいない。（一九四　所有欲）この考え方が真実なら、すべての親は今でいう「毒親」予備軍であることになる。親が変わらないなら、子が変わるしかない。まずは事実を受け止めることから始めるべきだ。「自分が両親の所有欲の賜物だ」という、残酷な事実から。■哲学はロックだ！真の哲学者とは・・・（中略）・・・「哲学者らしくなく」生きる者であり、「賢くなく」生きる者、何よりも利口でなく生きる者ではないか？そして生の百の試練と誘惑に直面する責任と義務を負う者なのだ。－彼はいつもみずからを危険にさらし、まさに勝てそうもない賭そのものに賭けているのだ・・・。（二〇五　真の哲学者）しばしば指摘されることだけれど、ニーチェの思想にはどうもロックっぽさを感じる。平和なところからただ静かに物事を眺めている者ではなく、現実の荒波の中に飛び込んで死ぬほどもがきながら生きていく者のことだ。ちなみにここで揶揄されているのは、たとえばカントなどのような哲学者のことか？～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～今回は、これぐらいにしておこう。本書は「序」から始まり第一篇から第九編、そして「結びの歌」で締められる構成となっている。今回は第一篇『哲学の先入観について』から第六篇『われら学者たち』までの中で気になった章を抜き出し、自分なりの感想を加えてみた。第七篇以降については、続きで。善悪の彼岸 (岩波文庫)Amazon（アマゾン）1,034円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見るニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸道徳の系譜 (ちくま学芸文庫)Amazon（アマゾン）697〜5,150円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る善悪の彼岸 (新潮文庫)Amazon（アマゾン）63〜1,882円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
12Jan
- 信じられない・・・
  （引用：ジェフ・ベック | ソニーミュージックオフィシャルサイト (sonymusic.co.jp)）【速報】「世界3大ロックギタリスト」ジェフ・ベックさん（78）死去突然の訃報にふれて、今このブログを書いている。ヤードバーズ出身、唯一無二のギタリストであるジェフ・ベック（Jeff Beck）さんが亡くなられたとのこと。ベジタリアンとしても知られていて、三大ギタリスト（クラプトン、ベック、ペイジ）の中でもいい意味で年齢不相応な美貌を誇っていたというのに・・・。時代を追うごとにプレースタイルは退化するどころか、ますますその輝きを増していたというのに。少し古い記事だが、2005年にはバッキンガム宮殿でブライアン・メイ、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトンとともに、エリザベス女王に謁見している動画も残っている。https://amass.jp/99273/　にて、日本語訳も書かれている伝説の人物、偉大なる巨星がどんどんこの世を去っていくというのは、寂しい。とても寂しい。今はこのようなコメントしかできない。ジェフ・ベックさんのご冥福を、心よりお祈りいたします。p.s.やっぱり進化しつづけていた往年のプレイを、もう一度観たかった。ジェフ・ベック / スティル・オン・ザ・ラン ~ ジェフ・ベック・ストーリー “テレギブ" FENDER公認フィギュア付【初回限定生産】(日本語字幕付) [DVD]Amazon（アマゾン）9,913円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見るジェフ・ベック〜ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラブ【Blu-ray/日本語字幕付】Amazon（アマゾン）10,400〜13,500円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る Jeff Beck - Live at the Hollywood Bowl [Blu-ray] [Import]Amazon（アマゾン）4,725〜6,842円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る Live in Tokyo [DVD]Amazon（アマゾン）2,969〜4,739円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る【字幕付・日本版】ジェフ・ベックライヴ・アット・イリディウム～レス・ポール・トリビュート [DVD]Amazon（アマゾン）2,348〜11,798円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
05Dec
- 1970の胎動
  　（引用：https://www.hmv.co.jp/）1970年。The Beatlesが最後のオリジナルアルバム『Let It Be』をもって解散したその年には、既に新しい時代を告げる伝説のバンドが活動を始めていた。それが、ブリティッシュハードロックバンドの三大巨頭、Led Zeppelin、Deep Purple、Black Sabbathである。・Led Zeppelinブルース、カントリー、プログレなど多種多様な音楽性を取り入れ、芸術性という意味でも多くの人から高い評価を得た。BeatlesやStonesが60年代の覇者だとするなら、70年代の覇者は間違いなくZeppelinだろう。Led Zeppelin 2 [DELUXE EDITION 2CD]Amazon（アマゾン）1,160〜5,104円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る・Deep Purpleロックにクラシックの要素を追加して、「様式美ロック」を定着させたという意味では、とくに我が国ではZeppelinと並ぶほどの影響力があるバンドだろう。特にボーカルのイアン・ギラン。ギターのリッチー・ブラックモアらが在籍した「第二期」は、セールス的にも成功を収めている。Deep Purple In Rock (25th Anniversary Edition)Amazon（アマゾン）619〜4,361円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る・Black Sabbath1970年2月13日の金曜日にデビューしたいわくつきのバンドは、その音楽性をハードロックの域からさらに進ませて、悪魔や恐怖といったヘヴィメタルのアイコン的な存在へ進化した。PARANOID (2009 REMASTERED VERSION)Amazon（アマゾン）954〜3,418円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見るすべて当時のLIVE映像！こうしてみると、バンドのグルーブ感では断然Zeppelin、全体的な演奏技術の高さではPurple、元祖ヘヴィメタルなサウンドという意味ではSabbath。自分の受け止め方は、そんな感じ。ここからもはや半世紀の時間が流れた。1970年には大阪で万博があったらしい。同じように半世紀と少し経った2025年に、ふたたびの大阪での開催が予定されている。十年一昔を5周しても、伝説のロックバンドは語り継がれていく。音楽は偉大だ！もちろん、冒頭のThe Beatlesはいうまでもない！
04Sep
- 名作文学批評シリーズ（２３）-イマヌエル・カント『永遠の平和のために』を読む
  「『平和』を算数の2としたときにそれに達成する方法は、1+1で2にするという単純な方法だけではない」とは、僕が敬愛しているとある方が仰っていた言葉。例えば1+4-5+2=2のように。現実の世界はとても複雑で、入り組んでいるので、ときに足して、ときに引いたりしなければいけない局面だって、きっとある。平和を願う心は世界の誰もが同じはずなのに、それを達成するための方法論のところで、多くの人が頭を悩ませている。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ここへきて、無性にイマヌエル・カントに取り組みたくなってきた。カントの代表作といえば、なんといっても『純粋理性批判』。哲学史における最重要書物の一つといっても差し支えない大作である。他にも『実践理性批判』や『判断力批判』（合わせて『三批判書』とも呼ばれている！）といった書物もあるが、大先生が『批判』したことを批評するには、今の僕には荷が重すぎる作業である。初心者でもなんとか読破できるほどのボリューム感。複数の出版社から沢山の訳が出ていること。こういったことを（カントの大好きな）「綜合」し、自分なりにベストなものだとしてチョイスしたのが、丘沢静也訳の『永遠の平和のために』である。あまたある『永遠平和』の訳の中で、2022年1月に講談社学術文庫より出版された最新鋭のものだ。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ここからはいつものように、自分なりの考察を交えながら感想を書いてみる。それほど分量が多くないといっても哲学書であるので、ポイントを以下三つに絞ってみた。もっと全体的なことについて知りたい読者は、ぜひ本書を読破してみてほしい。なお理解を深めるにあたって、今回は『悪を克服する哲学カント永遠平和のために／萱野稔人著（NHK出版）』を参考にした。NHK「100分de名著」ブックスカント永遠平和のために: 悪を克服する哲学 (NHK「100分 de 名著」ブックス)Amazon（アマゾン）500〜3,300円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ■カントは絶対平和主義者なのか？『第一章　国どうしが永遠の平和を保つための予備事項』には、「常備軍は、いずれ全廃すべきである」（その３）「対外戦争のために国債を発行するべきではない」（その４）「どのような国も、他国の体制や統治に暴力で干渉するべきではない」（その５）といった項目が並んでいる。この項目だけを拾い上げれば、一見してカントは絶対平和主義者なのかとも思うが、文章を読み込めば必ずしもそういうことでもないのが分かる。（その３）を詳しく読んでみよう。「というのも、常備軍はいつでも出撃する準備をととのえているので、他国をたえず戦争の脅威にさらしているからだ。それに刺激されて、どの国も競って軍備を際限なく拡張するようになる。・・・（中略）・・・けれども国民が自分の意思で期間限定で武器を持って訓練して、自分と祖国を外からの攻撃から守るというのは、まったく別の話である」つまりカントが禁止しているのは、端的にいえば「傭兵」の存在だ。闘うためだけに職業的に雇われている人。これを際限なく増やしていくことで、世界は軍費拡張の競争になり、ますます平和な状態は遠ざかってしまう。しかもこうなってくると、ある意味で財力が豊かな国がものをいう世界にもなりかねない。そこで（その４）で書かれていることも分かってくる。とはいえ、世界には「ならず者」が沢山いる。もしも「ならず者」から自国を攻撃をされた際は、国民ひとりひとりが武器を手に取り、自らの国土を守る。これは極めて正当な行為である。「自衛権」は当然に認められるべきなのだ。■「世界国家」ではダメなわけある種の夢想家たちの中には、こういう表現をする人がいる。「世界が一つの国家になれば、国家間の対立も起きず、戦争が起きることもないのに」。だが世界国家を樹立して運営するのは、現実には極めて難しい。カントはこう書いている。「・・・国と国が関係している場合、戦争しかない無法状態から抜け出す方法を、理性で考えるなら、その道はひとつしかない。国も、個々の人間とまったく同じように、自分たちの未開の（無法の）自由を捨てて、強制力をもった公の法に嫌でも慣れていき、そうやって（明らかに大きくなっている）ひとつの国際国家をつくるしかないのだ。・・・（中略）・・・しかしそれぞれの国は、それぞれが考える国際法を捨てないので、この国際国家というものを絶対に望まず、したがって総論では正しいとされることを、各論では却下する。だから（すべてが消えてしまっては困るので）ひとつの世界共和国というポジティブなアイデアのかわりに、連盟というネガティブな代理に働いてもらうしかない」総論賛成、各論反対。世界はまさしく、人種・宗教・価値観のるつぼだ。そこに唯一絶対な一つの決まりごとをもって全体を統制することなど、到底できそうもない。だいいちそれを強制しようとすればするほど、反発する人々だって出てくるだろう。これは遠い過去の出来事でもなく、架空のお話でもあるまい。それよりも「ここは共有できる」という価値観を持つ国家同士で連帯し、内外のさまざまな問題に対峙していったほうが、より選択としてはベターかもしれない。つまり「世界国家」ではなく、「国際連盟」の要請である。■乗っ取りダメ、絶対『永遠の平和のための確定条項その３』には、『世界市民の権利は、誰に対してももてなしの心をもつという条件に限定されるべきだ』という副題がついている。かつての人類の歴史には、最初は「お客」のふりをしてその土地を征服し、自分たちの植民地、いや国土にしてしまった。実に悲劇的で傲慢な側面も存在していた。このこともまた、否定することはできまい。「・・・よそ者が要求できるのは、お客の権利ではない（一定期間、家族の一員として扱われるためには、親切な契約が特別に必要になるだろう）。よそ者が要求できるのは、訪問する権利だ。・・・（中略）・・・中国と日本は、ヨーロッパ諸国の訪問を試食しながら、賢明な対応をした」連盟という形で有機的に世界に関わりあいつつ、各国はしっかりと自立をする。天使の顔をして近づいてくるならず者による乗っ取りは、断じて許してはならない。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～「平和を実現する人々は、幸いである」（マタイによる福音書5:9）個人的に思うのは、平和を「実現する」ということの重さだ。ただ空を見て平和を願っているだけでは、なかなか争いの種は無くならない。残念だが、これも人類の歴史から見えてくることだと思う。永遠の平和を「つくっていく」ことの大切さと難しさ。すなわち静的ではなくて動的であり、理想論よりももっと実践的な理論と行動を伴いながら。問い、考え、ときに議論をしながら進めていかねばならないものだと思う。永遠の平和のために (講談社学術文庫)Amazon（アマゾン）412〜2,618円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る永遠平和のために／啓蒙とは何か　他３編 (光文社古典新訳文庫)Amazon（アマゾン）671円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る永遠平和のために (岩波文庫)Amazon（アマゾン）36〜4,200円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る永遠平和のためにAmazon（アマゾン）248〜4,579円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
14May
- 名作文学批評シリーズ（２２）-サマセット・モーム「蟻とキリギリス」を読む
  このところずっと、日本の夏は暑い。暑すぎる。そんな暑い夏の間に大粒の汗を流し、ひたすら労働に励む人々。この人たちは尊い。彼らのおかげで、この世界は支えられている。他方で、年中無休で人生のバカンスを楽しむ人々もいる。将来のことなど、まるで眼中にないかのように。勤勉な蟻は冬に備えて夏の間にせっせと働き、冬には夏の備えで生活を乗り切る。一方キリギリスは夏の間に歌ってばかりで一切働かなかったので、冬に備えるものがない。蟻に食物を無心するが、怠惰であったことを理由に断れてしまう。努力したものは報われる。働かざる者、食うべからず。勤勉な日本人ならみんなが知っている寓話、それがラフォンテーヌの『蟻とキリギリス』だ。今回取り上げるのはラフォンテーヌのほうではなく、サマセット・モームのそれである。岩波文庫『モーム短篇選（下）』（行方昭夫編訳）に収録されているお話。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～簡単に物語のあらすじを追ってみよう。主人公の知人、ジョージ・ラムゼイはとても勤勉な人。少々世間体を気にするところはあるが、しっかりと勤労の義務を果たす毎日を送る。引退後は優良証券から得られる少しの収入だけで暮らせるよう、日ごろから無駄な浪費などは一切しない。『蟻とキリギリス』でいうところの、蟻的人間である。そんなジョージ・ラムゼイにはトムという名の弟がいる。トムは兄とは対照的に、とても放埓な性格。ギャンブル、女、豪華な食事に戯れ、日々刹那的な暮らしをしている。だがそれに見合うだけの稼ぎがないので、周りの人から原資を頼っていた。もちろん兄であるジョージにも。こちらは典型的なキリギリス人間である。ある日、レストランで一人ぽつんと食事をとるジョージ・ラムゼイを見かけた、主人公。きっとジョージ・ラムゼイはトムに手を焼きすぎて、疲れ果ててしまったのだろう。「縁を切ったらいいじゃありませんか！トムのために、ありとあらゆることをなさってきたじゃないですか！彼に見込みがないってことは、もうお分かりでしょうに！」だがジョージ・ラムゼイの口からは、驚くべき結末が語られるのであった。「数週間前、トムは母親ともいえるくらいの婦人と結婚しました。彼女はすぐ亡くなり、全財産をトムに残しました。五十万ポンド、ヨット一隻、ロンドンの家、田舎の館などです」ジョージ・ラムゼイは拳骨でテーブルを叩いた。「不公平じゃないか！不公平じゃないか！畜生、何ていうことだ！」これを聞いた主人公は、こらえきれずに笑いこけてしまう。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ではここから、少し感想を。■蟻は偉くて、キリギリスは偉くないのか？『蟻とキリギリス』と似たお話に、『兎と亀』という皆さんご存じのお話がある。少し前にひろさちやさんの『イエスにまなぶ』という本を読み、思うところがあった。『イエスにまなぶ』の中で、ひろさんがインド旅行に行った際に、インド人からこの『兎と亀』にまつわる意外な答えを貰ったことについて書かれている箇所がある。わたしはインド旅行のとき、数人のインド人にこの「兎と亀」の話にもとづく質問をしました。「兎はどうすればよかったか？」わたしは、「昼寝をせずに、一生懸命走ればよかった」といった返答を期待していたのですが、年寄りのインド人が、「兎？兎はノープロブレムだ。それは亀が悪い！」と言います。「なぜ亀が悪いのだ！？昼寝をしたのは兎だよ」「しかし、亀はその兎の横を追い越していったのだろう。どうして亀は兎を起こしてやらなかったのだ。それが友情だろう。その亀には友情がない」・・・（中略）・・・「ひょっとしたら、兎は病気で苦しんでいたのかもしれない。病気であれば、兎を起こしてやって、『どうしたのですか？』と訊ねてやるのがあたりまえじゃないか！？」（「６　貧しい者こそ幸福だ」）イエスにまなぶ (ひろさちやのいきいき人生)Amazon（アマゾン）800〜5,423円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る言われてみれば、目標に向かってコツコツと歩いていく亀は真面目だが、他者への思いやりに欠ける部分があるのかもしれない。『蟻とキリギリス』においても、将来に備えてひたすらに働く蟻ももちろん偉いけれど、困ったキリギリスを冷たく突き放す姿勢はどうなの？という気もしないでもない。それに歌を歌ったりして周りを楽しませているキリギリスだって、決して「偉くない」とも思わない。本作でトムは世間的な職業には就いていなかったかもしれないが、キリギリスのように多くの人を楽しませていた。その結果、実際に多くの人から好かれ、経済的に破綻せずに済んだという実績もある。■「今」を生きるか、「将来」を生きるか前回の「エドワード・バーナードの転落」を思い出してみてほしい。タヒチに渡ったエドワードはエヴァという女性と恋に落ち、そのまま現地にとどまる選択をする。彼が元居たシカゴには、イサベルという女性がいるというのに。「エヴァは現在の僕を愛していて、将来の僕ではない。だからどんなことが僕に起きても、失望することはありえないのだ。僕には打ってつけなのだ」エドワードは将来に生きるのではなく、今を生きることを選んだのだった。今を大事に生きることには、確かに刹那的な側面もある。しかし将来にばかり目を向けて今を大切にできないというなら、それはそれで危険な部分もあるだろう。だって予期せぬ運命の濁流にのまれ、すべてを失ってしまうことだってあるかもしれないのだから。（そういうことが起きるのは、とても悲しいことだけれど）「真面目にコツコツやってきたのに、こんなはずじゃなかった！」これを運命の悪戯だというのは簡単だが、人の生とは砂上の楼閣の如し。『兎と亀』流に人生の勝負になぞらえたなら、確かに蟻は「負けなかった」。だがそれはキリギリスだって同じだ。否、（多少危うい方法で）今を大切にしたことで「逆転勝ちをした」といったら、真面目な読者から怒られるだろうか。モーム短篇選〈下〉 (岩波文庫)Amazon（アマゾン）322〜4,700円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
10Apr
- 名作文学批評シリーズ（２１）-サマセット・モーム「エドワード・バーナードの転落」を読む
  「君は人生で何が価値あるものだと思うかい？」古の昔より何度となく繰り返されてきた、この問い。今回の記事でもまた、キーワードの一つになるであろう。21回目の名作文学批評シリーズ。今回はイギリスの文豪、サマセット・モームの作品の中から、「エドワード・バーナードの転落」というお話を取り上げる。使用した本は岩波文庫『モーム短篇選（上）』（行方昭夫訳）で、本作はこの短篇集の中で一番最初に収録されている。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～簡単に物語あらすじを追ってみる。主な登場人物は、ベイトマン・ハンターイザベル・ロングスタフアーノルド・ジャクソンエドワード・バーナードエヴァの5人。ここでそれぞれぞの人物の相関図を作成したみたので、参考にしてほしい。物語の始まりは、アメリカ・シカゴ。ベイトマン・ハンター、イザベル・ロングスタフ、そしてエドワード・バーナードはお互いに旧知の仲であった。友達から恋人へと発展したイザベルとエドワードは、愛を誓って婚約をする。しかし、エドワードの父が株式不況のあおりを受け破産し、自殺。エドワードは知り合いの伝手をたどり、南の島タヒチで仕事をすることを決める。イザベルに「成功するまで待っていてくれ」と告げて。イザベルはエドワードの愛を信じて待つ。しかしイザベルに定期的に届く手紙の内容から、何かしらの異変を感じったベイトマン。昔のエドワードじゃない。なんというか、雰囲気が違う。真相を探るべく、ベイトマンは自らタヒチにいるエドワードのもとに向かう。ベイトマンはイザベルの父から「タヒチに行ったら、アーノルド・ジャクソンに注意しろ」と釘をさされる。アーノルド・ジャクソンはイザベルの叔父にあたる人物。もともとはとても人望があったのに、壮大な詐欺を働き刑務所行きとなる。その件があって以降、イザベルらは彼を遠ざけていた。タヒチでエドワードと再会したベイトマン。しかしほどなく目を疑う光景を目にする。エドワードの傍らにいるのは「悪名高い」、かのアーノルド・ジャクソンではないか！エドワードはエドワードで、シカゴ時代の伝手をつたっていった会社を怠惰のかどでクビになり、今はアーノルド・ジャクソンらとともに、現地で有閑な暮らしを送っているらしい。エドワードのあまりの心変わりに終始圧倒されながらも、ベイトマンは彼に一緒にシカゴに戻ろうと必死に訴える。しかしエドワードは首をたてに振ろうとはしない。残されたイザベルはどうなる？「僕が身をひけば君のためになる。君のほうが夫としてより適しているよ」自ら積極的にイザベルに婚約破棄を通知せず、親友にその座を譲り渡そうとするエドワード。さらに驚きの告白を。なんとアーノルド・ジャクソンと現地妻との混血児であるエヴァのことを愛しているというのだ。「エヴァは現在の僕を愛していて、将来の僕ではない。だからどんなことが僕に起きても、失望することはありえないのだ。僕には打ってつけなのだ」失意のまま帰国したベイトマン。ことのあらましをイザベルに伝えたのち、ずっと胸の内に秘めていた想いも告白する。イザベルは快諾。熱い抱擁を交わしながら、イザベルとベイトマンはシカゴの街とともに豊かに発展していく、二人の幸せな未来を空想していた。イザベルが「可哀そうなエドワード」とため息をついたところで、物語の幕が閉じる。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～一体エドワードはどうしてしまったのか。当時の最先端を行っていたアメリカ・シカゴから南の島・タヒチへと生活の軸を移したことで、すっかりと考えが変わってしまったようだ。■「善人」と「悪人」ってどう違うの？エドワード「・・・はっきりしなくなったのは、悪人と善人の区別なのだ。・・・（中略）・・・もしかすると、我々は、ある人と別の人の間に差異があると強調しすぎるのではないだろうか。もしかすると、最善の人間だって罪人であり、最悪の人間だって善人であるかもしれないじゃないか？」タヒチでエドワードはアーノルド・ジャクソンと一緒に暮らしている。前述のとおりシカゴでの彼は、詐欺罪を働いた立派な「悪人」である。それは法的な面にとどまらず、文明社会の倫理や社会規範に照らしても。だがアメリカから遠く離れた南の島で、寄せては返す波を目の前にしていると。文明社会の作り出した善悪の基準なんて、ひどく曖昧模糊なものに思えてきたり・・・なんてするものなのか。■本当の意味で「生きている」ってどういうこと？ベイトマン「・・・ここじゃ、死んでいるも同然だ。・・・（中略）・・・君はこの土地にいかれてしまい、悪しき力に囚われている。だが、力いっぱい頑張れば、この環境から抜け出せる」「悪人」のアーノルド・ジャクソンと仲良く暮らしているなら、もはや「悪しき力」に囚われているも当然だ。ベイトマンはそう考える。しかし・・・ベイトマン「明日ぼくと一緒に出発しよう。そもそもここへ来たのは誤りだった。こんな人生は君には向いていない」エドワード「いろんな人生があるような口ぶりだな。君が考える人生とは、どういうものなのだろう？」ベイトマン「それには答えは一つしかないに決まっているじゃないか！懸命に働いて自己の義務、つまり、自己の立場と身分に伴うあらゆる責任を、果たすことに決まっている」エドワード「で、どう報いられるのかな？」ベイトマン「自分が計画したことを成し遂げたという達成感が報いだ」エドワード「ひどく大仰な話だなあ」「人生」って何だろうか？ベイトマンは「一つしかない」と言う。対してエドワードは直接的には返答していないが、考えるだけ無駄とでも言いたげな様子である。こういう状況では、シカゴ時代の勤勉なエドワードを知っているベイトマンの目には、何もかもが堕落してしまったように見えても不思議はあるまい。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～高度に文明化された現代社会で、息が詰まるような毎日を送っている。そのことに何かしらの違和感を感じている人は、きっと世界中にごまんといることだろう。一応ことわっておくが、僕はエドワード・バーナードのような生き方こそ真に正しい生き方だ、と断言する気はない。高度な文明社会を作り上げ、それをしっかり支えていくためには、シカゴのような活気のある産業都市と、そこで生きる勤勉でクリエイティブな労働者たちの存在が、絶対に必要なのだ。ベイトマンの言葉を借りれば、「自己の立場と身分に伴うあらゆる責任を果たす」ということであろう。だから作者のモームが、「エドワード・バーナードの転落」（成功ではなく）と題したことは、ただの皮肉だともいえない気もする。ここでもう一度、ラストのイザベルのため息に注目してみよう。「可哀そうなエドワード」。さて本当に「可哀そう」なのは、南の島で変わってしまったエドワード・バーナードか、それとも・・・モーム短篇選〈上〉 (岩波文庫)Amazon（アマゾン）384〜4,700円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
22Feb
- 歌わせる人・叫ばせる人・喋らせる人
  （引用：https://www.ibanez.com/jp/artists/detail/213.html）君はロックなんて聞かないというが、僕はギターがあまり弾けない。このブログでも最近海外ギタリストのことをよく取り上げているが、その背景には彼らギターの達人へのリスペクトがあるということは、言うまでもあるまい。ところで海外の「三大ギタリスト」といえば、Eric Clapton（エリック・クラプトン）Jeff Beck（ジェフ・ベック）Jimmy Page（ジミー・ペイジ）のことをさすと、我が国では一般的に言われている。この定義には各方面から多くの異論反論がなされてきた。「○○さんが『三大ギタリスト』の一人だって？冗談はやめてくれよ！」的な。もっともこの定義、イギリスのバンドThe Yardbirds（ヤードバーズ）に在籍していた歴代ギタリストの3人が、その後のキャリアでも大成功したので、うまいことその「三大」に紐づけられたとの説が有力だが。今回はふと思い立った企画として、アホほど上手く、ギターを歌わすことができる人アホほど上手く、ギターを叫ばせることができる人アホほど上手く、ギターを喋らせることができる人をそれぞれ一人ずつピックアップしてみた。たまたま3人になっただけで、この3人が「三大ギタリスト」だ！と言ってるわけではないので、そこのところをご容赦を。🎸🎸🎸🎸🎸歌わせる人🎸🎸🎸🎸🎸ギターを歌わせる人といえば、やっぱりこの人。ジミ・ヘンドリックスに続く革命的ギタリストとして登場した、エドワード・ヴァン・ヘイレン。惜しくも2020年に亡くなってしまったが、ロックギタリストの歴史に多大なる影響を残している。とかくタッピング奏法や超絶的な速弾きに関心がいきがちだが、この人の凄さは、口ずさみたくなるリフや美しいメロディをキープするしっかりとしたバッキングだと思う。サミー・ヘイガ―時代のポップさとハードさが融合された名曲の一つ、「Dreams」5150Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 60歳の演奏とは思えないギタープレイが光る、「Hot For Teacher」1984 -Remast-Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 🎸🎸🎸🎸🎸叫ばせる人🎸🎸🎸🎸🎸叫ばせる人は、イングヴェイ・マルムスティーンをピックアップした。リッチー・ブラックモアのネオクラシカル路線の正統後継者ともいえる「王者」。アコギの静とストラトでの動のコントラストが素晴らしい、「Black Star」新日本フィルハーモニー交響楽団と共演した、「Far Beyond The Sun」イングヴェイ・マルムスティーン・コレクションAmazon（アマゾン）2,199〜5,840円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸🎸🎸🎸🎸喋らせる人🎸🎸🎸🎸🎸このチョイスは迷った。ギターの音色を使って擬人化させるのが上手いギタリストは、上記の二人以外にも何人かいる。そういう意味でJeff Beckもこの範疇に入るかもしれない。しかし今回は冒頭の「三大ギタリスト」を除外したかった。（そもそもJeff Beckは、もはや特定の範疇に収まるギタリストではないかもしれないが）ということで「喋らせる人」には、天才鬼才のギタリストスティーブ・ヴァイに登場してもらった。ソロ時代のDavid Lee Rothの女房役としてもかっこいい、「Yankee Rose」デイヴィッド・リー・ロス・ザ・ベスト<ヨウガクベスト 1300 SHM-CD>Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} ワウペダル満載からのソロがやばい、「The Audience Is Listening」Live in Tokyo [DVD]Amazon（アマゾン）${EVENT_LABEL_01_TEXT} Amazon（アマゾン）で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} 楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT}
09Feb
- 名作文学批評シリーズ（２０）-福沢諭吉『学問のすすめ』を読む
  「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」といわれているのに、なんでこうも世の中は不平等なのか。一万円札の肖像画。三田の赤レンガキャンパスとそこに佇む先生像。福沢諭吉のことを知らない人は、この国にはほとんどいないと思う。『学問のすすめ』というタイトルを知らない人でも、冒頭の言葉はどこかで一度は耳にしたことがあるはずだ。僕も昔読んだ。だがどうしたことだろう、すっかりと忘れている。これを「名作文学」とするのは、少々強引だと思われるかもしれない（そこは個人ブログの自由さである）。個人的なやり直しの意味も込めて、シリーズの枠内で取り上げることにした。今回使用した本は、ちくま新書版『現代語訳　学問のすすめ』（斎藤孝訳）である。現代語訳　学問のすすめ (ちくま新書)Amazon（アマゾン） Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る ${EVENT_LABEL_02_TEXT} ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～こちら文庫本で全230ページ。当然すべての論点を引用したり網羅したりすることはできない。以下3点だけ気になった箇所を引用し、自分なりに賛同できる点とそうでない点を、少し考えてみたい。■しっかり学問すれば豊かな人になれる？明治以前は「生まれ」によって身分が決まっていた。明治になり武士階級などは廃止された。男女差別など実態として差別が撤廃されたとは言い難かったが、少なくとも建前としては「機会の平等」が謳われつつあった時代だ。福沢は言う。「西洋のことわざにも、『天は富貴を人に与えるのではなく、人の働きに与える』という言葉がある。つまり、人は生まれたときには、貴賤や貧富の区別はない。ただ、しっかり学問をして物事をよく知っているものは、社会的地位が高く、豊かな人になり、学ばない人は貧乏で地位の低い人となる、ということだ」（初編「学問には目的がある」）学問すれば富み、学問しなければ貧しくなる。なんともシンプルな考え方だが、これは。〇賛同できる点仮に貧しい家に生まれたとしても、しっかり学問をして実生活にうまく活かすことができれば社会的に成功して、高い地位を得るチャンスもある。×賛同できない点「機会の平等」はあくまで表面的な話であって、時代や社会環境には抗えない部分もあるのではないか。例えば就職氷河期時代に就活をした学生は、どれだけ優秀な能力をもってしても優良な企業に就職することが難しい時代があった。このような事例は個人の努力ではカバーしきれない問題である。■民間こそが手本となる？「諭したり、手本を示したりというのは、民間でやることである。・・・（中略）・・・いま、自分から官に頼らない実例を見せて、『世の中の事業は、ただ政府のみの仕事ではない。学者は学者として、官に頼らず事業をなすべし。町人は町人で、官に頼らず事業をなすべし。政府も日本の政府であり、国民も日本の国民である。政府を恐れてはいけない、近づいていくべきである。政府を疑うのではなく、親しんでいかなければならない』という趣旨を知らしめれば、国民もようやく向かっていくところがはっきりし、上はいばり、下は卑屈になるという気風も次第に消滅して、はじめて本当の日本国民が生まれるだろう」（第4編「国民の気風が国を作る」）〇賛同できる点最近は幾分元気がなくなってきた感もあるとはいえ、世界に君臨するリーディングカンパニーが我が国にいくつもあるのは誇らしい。官との結びつきをほとんどもたず、自主自立で日本を代表するようになった企業もある。まさに民間の力だ。国がやることには無駄も多く、身動きもスムーズではないと感じることもある。×賛同できない点手本になるとはいえ、民間は良くも悪くも合理的な手段に打って出ることがある。経営状況が苦しければ、ときに非情なリストラを行うこともある。さきほどの就職氷河期のたとえではないが、その民間のドライさまでを官と比較して評価するべきでもないと思う。■苦学してでも学問すべき？「生計を立てるのが困難である、とは言っても、よくよく一家のことを考えれば、早く金を稼いで小さなところで満足するよりも、苦労して倹約し、大成するときを待ったほうがよいのだ。学問をするならおおいに学問すべきである。農民ならば、大農民になれ。商人なら、大商人になれ。学者ならば、小さな生活の安定に満足するな。・・・（中略）・・・麦飯を食って、味噌汁をすすって、文明の事を学ぶべきである」（第10編「学問にかかる期待」）〇賛同できる点別の箇所で福沢が述べていることでもあるが、僕自身はどれだけ勉強が嫌いでも、いわゆる「読み書きそろばん」はできないと人間としてはNGだと思っている（特定の病気や障碍などでどうしてもという人は除く）。コンビニで買い物するなら、かごに入れた商品の合計を概算できないといけない。定価以外に税額8パーセントのものと10パーセントのものが混在しており、意外と買い物にも神経を使う世の中なのだ。だからどんな生き方をしようとも、最低限の学問が必要なことは同意。×賛同できない点ここの福沢の言葉を受けて、言い方は悪いが「猫も杓子も大学に」的に考えてしまうとまずい気がする。いわゆる「Fラン」の存在価値を否定するつもりはない。ただ高い授業料を支払いながら学問をしない学生が出てしまうことが問題だと思うのだ。※福沢の慶應義塾は超難関だ。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～第17編で「人望と人付き合い」についての福沢なりのアドバイスが興味深いと思った。具体的には「弁舌のすすめ」、「見た目の印象も重要」、「交際はどんどん広げよ」という3点である。「文字を書いて考えを知らせるのは、もちろん有力な手段で、手紙や著作についての心がけもなおざりにしてはいけないけれども、身近な人に自分が思ったことをただちに伝えるには、言葉以上に有力なものはない」「表情や見た目が快活で愉快なのは、人間にとって徳の一つであって、人付き合いの上で最も大切なことである。・・・（中略）・・・世界ではフランスを文明の源といい、知識が広まる中心地とされているが、その原因を考えてみると、フランス国民の振る舞いが活発気軽であって、言葉遣いも表情も親しみやすく、近づきやすい気風があるというのがその一つなのである」「交際の範囲を広くするコツは、関心をさまざまに持ち、あれこれをやってひとところに偏らず、多方面で人と接するところにある」最後にこれらの言葉を引用したのには、ちょっとした意図がある。弁舌さわやかでコミュニケーション能力が高く、人脈がある。これってつまり、「慶應ボーイ」「慶應ガール」の特徴じゃないか！教育は理論だけを振りかざすものではなく、実践がともなってこそのこと。そういう意味で慶應義塾は、創立者福沢諭吉の息吹がきちんと受け継がれている学校であるなあ、というのは外部から見ても思う。（ここまで擁護しておきながら、僕は慶應出身ではない）大隈重信にしろ津田梅子にしろ、創立者の想いが連綿と受け継がれている学校には、他にはない独特の気風がある。それが私学のいいところだとあらためて思う。最後は少し余談になった。学問のすすめ (まんがで読破)Amazon（アマゾン）484円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
23Jan
- ○○〇の変遷
  （引用：www.barks.jp）前回の記事、ギターヒーローたちの名演からの最後に取り上げたけれど、リッチー・ブラックモアという人は実に面白い。「人に歴史あり」とはいうけれど、音楽的なやる気趣向の変遷というのが、キャリアを通してこれだけ見てとれる人というのも、あまりいないのではないか。1993年から2012年ごろまでの動画をまとめつつ、あらためて思ったことを、いくつか。🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸1993年のLIVE。2度目のDeep Purple脱退直前のリッチー。明らかにやる気がなさそうというか、1曲目のギターソロ手前になって初めて登場する。ひょっとして直前まで、出演を渋っていたのだろうか？4:10過ぎから何かの異変に気付いたリッチー。スタッフかカメラマンに水をかけるという暴挙に出る。🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸1995年。ドゥギー・ホワイトをボーカルに迎え、再びRaibowを結成し、アルバム『孤高のストレンジャー』をリリース。同年行ったツアーのリッチーは明らかにノリノリ。しかし何があったのか、結局この「再結成Rainbow」もアルバム一枚で解散。🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸当の本人はどう思っていたのか。Deep Pupleの脱退からRainbowの結成、さらには再結成Deep Pupleへの加入と脱退、再結成Rainbowの解散について語っている映像があるが・・・4:25あたりから「ロックに飽きた」とか「スタジオでハードロックをやるとむかついた」とか言っているが、難しい人だ。🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸実際、のちの奥さんになるキャンディスと結成したBlackmore's Nightでは、満足した演奏をしているようにも見えるし。🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸🎸ハードロックを捨てて、幻想的かつクラシカルな音楽表現に完全に舵を切ったかのように見えたリッチーだったのだが。御年70歳になるころ、またもや「新生リッチー・ブラックモアズ・レインボー」名義でのツアーを開始。リッチー・ブラックモアのハードロック回帰は限定的、新生レインボーでワールドツアーやアルバムはないと発言こちらの記事にあるように、あくまで活動は限定的だということだが。日本の少年少女たちにギターへの興味関心を与えたレジェンドたちの一人に間違いなく入ると思うリッチーだが、まあ限定的とはいえハードロックに回帰し、PurpleやRainbowの名曲を演奏してくれるのはうれしい。人の「趣向」というのは、変わっていくもの。そこに適応して生きることもまた、一つの才能だろう。ザ・リッチー・ブラックモア・ストーリー【通常盤Blu-ray/日本語字幕付】Amazon（アマゾン）2,981〜7,730円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る
31Dec
- ギターヒーローたちの名演から
  （引用：amass.jp）電車やバスの中などでおそらくギターやベースを入れているであろうソフトケースをかついだ人を見る機会が、近年とみに減ってきた気がする。ギターヒーローなんてもういない——憧れのギタリスト不在の現代（男ならという表現は性差別になるので）少年少女なら一度は通る、ギターの道。僕も独学ではあるが、一時期それなりに練習していた時期があった。「ああなりたい！」というギターヒーローが沢山いたんだ。次のブログの記事のアイデアがなかなか決まらないというのもあるし、箸休め的な意味も込めて。今回は最近お気に入りでヘビロテしている楽曲群をまとめ。🎸Jeff Beck🎸このころから（いい意味で）変態的な演奏をしている。75年ぐらいの演奏か？指弾きとピック弾きの入れ替えがこれほど自然にできるギタリストもなかなかいないのではないか。ブロウ・バイ・ブロウAmazon（アマゾン）109〜3,061円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸Jimmy Page🎸すっかり「ヘタウマ」と揶揄されてしまった人。だがZeppelinはバンドしてのグルーブ感がすごいのだ。1:50過ぎから延々とつづくインプロビゼーションに胸熱。マザーシップ~レッド・ツェッペリン・ベスト【2014/2015リマスター】(2CD)Amazon（アマゾン）2,425〜4,964円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸Michael Schenker🎸MSGのころのマイケルシェンカー。UFOの頃のように弾き倒すとまではいかないが、フライングVのギュイーン音には、ギターキッズがコピーしたくなる要素が満載。ソロの符割がめちゃくちゃなところもかっこいい(笑)黙示録Amazon（アマゾン）1,265〜9,000円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸Eric Clapton🎸クラプトンは実はアンプラグド前のものが好き。この演奏もソロの符割はめちゃくちゃだが、なぜかきれいにまとめられているのは「元祖ギターの神様」のなせる業か。JourneymanAmazon（アマゾン）1〜2,241円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る 🎸Ritchie Blackmore🎸御年50歳になって、再びめちゃくちゃ気合をいれた演奏をし始めたリッチー様。2:20～のソロは「一体どうした！？」というぐらいの早弾きをしてくださっている。孤高のストレンジャー(期間生産限定盤)Amazon（アマゾン）780〜2,592円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見るこうしてみると、見事に70年代半ばから90年代半ばにまとまっており、まさに「ギターヒーローたちの時代」だったといえると思う。コロナ前には極力物を持たない「ミニマリスト」的なものも注目されていたようだが、ディスタンスをとらないといけない時代になった今、ある程度の物理的な広さをもった空間で、好きなものをじっくりと研究をしたい気持ちは自分にもある。ディスタンスといえば、アルフィーの高見沢さんなんかはギターを500本以上所有してる、なんて話を聞いたことがあるなあ。僕の場合は「本の虫」だから、いつか書庫を持つのが夢だ。電子書籍を認めるかどうかは作品にもよる。文学書や専門書はやはり紙じゃないと。それもおろしたての本の匂いや、どっしりとした質感。そういったもののメモリアルを所蔵するには、やはり僕の場合は、それなりに広いスペースが必要になりそうだ。
01Dec
- 名作文学批評シリーズ（１９）-内村鑑三『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』を読む
  前回からのアメリカつながりということでチョイスしたのが、内村鑑三の『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』である。オリジナルは内村自身による英訳版。明治の刊行当初の邦題は、『余は如何にして基督信徒となりし乎』ということであろうが、今回用いた光文社古典新訳文庫版（河野純治訳）によって非常にこなれた日本語訳、『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』として生まれ変わっている。札幌農学校時代に、内村は（今でいうところの意識の高い）上級生たちから薫陶を受け、メソジスト派の教会で受洗。キリスト教徒として新たな人生に船出をするも、自分たちの独立教会を持つことへの野心を捨てきれない内村は、多くの人の協力を得てついにその実現を果たす。ぼくらの教会独立が、かつて属していた宗派への公然たる反逆を意図したものだと考える人がいるとすれば、それはまったく間違っている。独立は、ぼくらが目指していた一つの大きな目的を達成するためのささやかな企てだった。すなわち、（神からあたえられた）ぼくらの力と能力をじゅうぶんに自覚すること。そして、魂が救われるために絶対の真理を求める他の人々の障害を取り除くことである。（第四章　新しい教会と平信徒伝道）～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～それでも内村の魂は満足できなかった。ひたすらに「真理」へと近づくべく、23歳にして渡米。今の僕なら「真理」なんて青い鳥と一緒で、どこか別の場所に探し求めたところで見つかるわけではない、と思ってしまうが。まさに内村の若さゆえの情熱はすごい。自分の国では望ましい満足を見いだせないので、ぼくはラセウスのように、わが国とは成り立ちの異なる国に探求の範囲を広げようと考えた・・・（中略）・・・異教徒出身のぼくらには思いもよらないような、誠実に真理を探究する者なら誰でも容易に手に入れることができる安らぎと喜びがそこにはあるはずだ、と。（第五章　世の中へ－感傷的なキリスト教）はじめてアメリカの地に降り立った内村。しかしそこで、善と悪の混じった実に生々しい、様々な体験をすることになる。アメリカはヨーロッパとは全く違う土地であり、一口に「キリスト教」といっても実に様々な教派が存在する（前回とりあげたトマス・ペインが主張していたことと合致する）ということも知る。一つの国家にどれだけ理想的なイメージを描いていたとしても人間の集まりである以上、最低な盗人もいれば気高しい慈善家の人もいる。いろんな人々との交流を深めた内村は、次のような結論を得る。人間は神ならぬ有限の身なので、『無限の知恵の礎』全体の上で暮らすことも、それを占有することもできない。できるのは、この礎の片鱗に間借りすることだけである。この片鱗にたどり着きさえすれば、心の平静を得ることができる。－それほど岩はしっかりしている。だからこそ、さまざまな宗派が存在し、それぞれが成功しているのだ。（第七章　キリスト教国にて－慈善家たちの中で）しかし内村は純粋に信仰面の「真理」だけを求めて渡米した訳ではなかった。内村の心の中にはもう一つ、ずっと祖国への想いがあった。内村の心の中にずっとあった空虚。それを埋めるべく、「真理」の中から祖国を救う方法を知ることになる。ぼくはキリストとその信徒たちから自分の魂を救う方法を学んだが、そのいっぽうで、預言者たちから自分の国を救う方法を学んだのだ。（第七章　キリスト教国にて－慈善家たちの中で）～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～27歳で帰国。本書は帰国するまでの自叙伝的作品なので、有名な「不敬事件」などに関する記載はない。内村にとっては「二つのJ」。すなわちJapan（日本）とJesus（イエス）のどちらも大切にするべきものだと考えたようだが、果たしてそんなことは本当に可能なことなのか。「カエサルのものはカエサルに－」。ここまで純粋な「真理」を探し求めた内村だから、政教分離だとかそういう概念だけの問題ではないだろう。帰国後の内村の動向などももう少し読みたいから、他の本もチェックしてみよう。ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか (光文社古典新訳文庫)Amazon（アマゾン）1,122円 Amazon（アマゾン）で詳細を見る楽天市場で詳細を見る余は如何にして基督信徒となりし乎 (岩波文庫青 119-2)Amazon（アマゾン）1〜9,149円

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