「史上最高の幽霊譚」
と直木賞候補にも上がっていた話題作。
下北沢のとある踏切で撮影された心霊写真。
その謎を追う雑誌記者。
読む前は、「史上最高」と謳われるくらい怖い、恐ろしい感じを想像していた。
確かに心霊的なものは出てくるし、霊能力者も登場する。
だけど、ただ怖いだけのホラー小説ではなく、どことなく人情話のような感じも。
どうして彼女は、最期にここへ来たのか?
どうして彼女は、ここに現れるのか?
そして彼女は、誰なのか?
ハッキリとした答えは出ない。
彼女はもういないから。
ラスト、記者の執念によって、やっと名前のある一人の人間としての扱いを受けられるように。
母親には会えたのだろうか。
母親は娘を感じることができたのだろうか。
背後にいつもいる存在に気付かされるシーンにも、ウルっとさせられた。
ずっと見守られていたのだと。