​読めない男


これは私が弟とエクセルシオールカフェに行った時の話。


というのもパーソナルトレーナーという''やたら2人きりになりたがるマッチョ''の資格を取る為の、弟の勉強タイムに着いて行っただけなのだが。


「え、えーくすしょーん?」


「は?どうした?」


「いや、あのよ、カフェのよ、名前だよ。''え、えーくす、しょーン?''


「エクセルシオールだろうがッ こンバカッ」


「あーそう読むのかー」


…果たしてこんな調子でパーソナルトレーナーになれるのだろうか?


先行きは曇り。


ちなみに翌日にはすでに読み方を忘れていた。


 ​20連勤目のラストか?


弟と寿司をしこたま食った後だった私は、気分良くデザートタイムを始めたい気分であった。


私事になるが、31を迎えてから甘いものへの衝動が止まらない。


このままでは下っ腹はたるみ、子どもがイラストで書いたら【丸だけで描くことの出来る真ん丸おじさん】になってしまうことは明白。


私の理想像たる竹野内豊やマッツ・ミケルセンにらなれはせぬ。


しかしなぁ…

甘いもの美味いしなぁ…

太ってても広末涼子と不倫できる世界線だしなぁ…




えーい食べちゃお♡


という訳でコーヒーとミルクレープを脳内でチョイスした私。


後はオーダーを残すだけ、となったのだがここで思いがけないミステイクが起こる。


私「あー… ブレンドのホットと」


眼鏡の店員「はい!ブレンド1点¥350です」


私「ブレンド ''と''ミルクレープください」


(''と''が聞こえなかったのかな?)


眼鏡のちょっと疲れた店員「かしこまりました!ミルクレープは1点でよろしかったですか?」


私「もちろん1点で」


(こいつ、俺が何個もミルクレープを食うと思ってやがるな!?そんなにわがままボディに見えたか!?今朝買ったユニクロのTシャツのせいか?くそっ 太ってるって言いてぇのか?クソがッッ)


眼鏡のちょっと疲れた20連勤目の店員「はーいえ〜っと、ミルクレープが付きまして、お値引50円入りましたので、¥800になります!!」


私「分かりましたSuicaで」


MC20「QUICPayですね」

※''M''egane no ''C''hotto tsukareta ''20''renkin no teninn


私「いやSuicaで☺️」


 ​噛み合わないエクセルシオール


おおおおおい!


噛み合わなさすぎだろっ


疲れてたのか奴は!


100歩譲ってミルクレープ1点のくだりは良しとしても、SuicaをQUICPayにはどう考えても聞き間違えられない。


似てるニュアンスの部分が無い。


弟に話した所、「きっと20連勤目なんだよ。脳内スロットで出た言葉で喋ってるんだよ」との事。


あながち有り得るかもしれない。。。


働き方改革が叫ばれる昨今だが、無茶な勤務は控えた方が無難であろう。


体が第一である。


 ​そんなこんなで


しかしながらコーヒーとミルクレープのクオリティは鬼高いから安心して欲しい。


ちなみにその日の帰り道、「中野は変な奴が多いのか?」と弟に聞いた際、前からママチャリに乗ってバナナをむせ返りながら食ってるエグザイルみたいなあんちゃんとすれ違った。


「こういう街よ」


そう語る弟は、今までで一番知的に見えた。