グループH
6/18 ベルギー 2-1 アルジェリア 結果 2-1
戦評:
ベルギーは3大会ぶりの出場だが、FIFAランキング11位で。W杯予選なんと10戦無敗というダークホース。平均年齢は若いがどうやら黄金世代が勢揃いしているらしい。注目選手はものすごい破壊力のあるFWルカクと、アイデアのあるドリブル突破が魅力のアザール。どのように試合を組み立てるか楽しみだ。
対するアルジェリアはFIFAランキング22位。高い身体能力と組織力。チームの総合力で戦おうというチームだ。果たしてアザールとルカクを止められるだろうか。
前半、強く早いプレスで人数をかけてボールホルダーの脚に行くアルジェリアと、ボールを持つ相手に対して間合いを取るベルギー。ポゼッションは自然とアルジェリアに多くなった。人数をかけて守られたベルギーはディフェンス・中盤ともにパスの出しどころがなく、苦し紛れのパスをカットされてアザールやルカクには渡らない。期待していたアイデアのある崩しも無い。
どちらもシュートまで行けない硬直した展開のなか、先制点はカウンターを仕掛けたアルジェリア。ファーサイドに走り込んだプレイヤーの腕を5番フェルトンゲンが捕まえて倒してしまい、アルジェリアは貴重なPKを獲得した。前半25分、これをしっかり決めてアルジェリア先制。
1点先取後、アルジェリアはますます堅い守備を見せた。人数をかけて守って、とにかくパスを出させず、出てもカットする。守備隊形が良い。そして奪ってからの攻撃はカウンター。攻撃が終われば速やかに守備に戻る。ひたすらこの繰り返しでベルギーを苦しめる。
前半の終わり頃になって、ベルギーにミドルシュートが見られるようになった。どの選手にもシュート力があるので、この攻撃は脅威だが、とはいえペナルティエリアよりさらに一回り外からしか打てないのでは、枠に飛んでもなかなか決まることもない。
後半はおそらくベルギーの選手交代があるだろう。マンU所属のフェライニの登場はあるだろうか。前半のボールポゼッションはベルギーが67%、アルジェリアが33%。
後半の入り、ベルギーは右ウイングの位置にメルテンスを投入。しかし後半になってから双方、ボールに行くディフェンスが相手の脚を蹴るファウルばかりが目立った。笛でプレーが止まるのでどちらも攻撃のリズムが生まれない。
後半19分、いよいよフェライニが投入される。アルジェリアはスリマニを投入。
交代したばかりの後半25分、フェライニがアフロ頭で得点。7番からのセンタリングをコントロールの効いたヘディングでGKの頭を越してゴール右上に流し込んだ。これで1-1の同点。
次はカウンターからだった。ベルギー・アザールが中央をドリブルで駆け上がり、ペナルティエリアで右に流す。これを途中出場のメルテンスが至近距離から豪快なゴール。これで2-1逆転。試合はこのまま勝利となった。
どちらのチームも守備が堅く、だからこそ試合展開に面白みはない。しかし両方ともこれといったミスがないのには感心した。数少ない決定機がそれぞれゴールになっての2-1というスコア。ファウルばかりで流れは悪かったが緊迫した試合だった。
6/18 ロシア 2-0 韓国 結果 1-1
戦評:
前半、攻守の入れ替わりの早い展開だった。しかしながらスタッツを見るとシュート数は互いに3~4本と少ない。これは双方が守備には人手を割いている一方で攻撃に人数をかけていないことを表している。韓国はボールや足に行くハードなタックルが目立ち、そのせいでイエローカードも2枚もらった。このカードが後半に効いてこないことを願う。高温多湿の状況の中ハードワークをした選手たちにはつらいだろうが、相手に走り負けないことが得点への近道になるだろう。カペッロ、ホン・ミョンボ両監督の選手交代采配にも注目したい。
後半、消耗しつつも相手のボールキープを容易にさせない両チームには高い集中力が見られる。足が止まってきて少しだけルーズになってきているのだが、雑なミドルシュートを打たれる以外は特に危機的状況はない。途中出場したイ・グノの切り込みも、ロシアの守備の前に力及ばず。それぞれヘディングシュートやミドルシュート、セットプレーで好機は作るのだが、ゴールに結びつくことはない。
それでも後半23分。イ・グノが強烈なロングシュートを放つ。キーパーはこれをキャッチングできず、インゴールしてしまう。1-0。
続いて後半29分、後半代わって入ったロシアのケルザコフはゴール前のこぼれ球を押し込んでゴール。1-1にした。そしてこのスコアで試合終了。グループHは混戦となりそうだ。
6/23 ベルギー 2-2 ロシア 結果 1-0
戦評:
ベルギーは初戦を勝利で飾り、ロシアは引分けている。この試合に勝ってGL突破を確実にしていきたい両国だ。
スターティングメンバーだけを見ると、ベルギーのほうが圧倒的に豪華に見える。チェルシーのアザール、ボルフスブルグのデブライネ、ナポリのメルテンス、エバートンのルカク、マンUのフェライニ、アーセナルのベルメーレン、マンCのコンパニー、GKのA・マドリードのクルトワはチェフの後継者と言われている。
一方のロシアメンバーは、ほとんどがロシア国内リーグでプレーしている。タレントのネームバリューだけ見れば圧倒的にベルギーが有利かと思った。
ところが、サッカーはそういうことにはならない。前半は序盤がメルテンスの個人突破を中心としたベルギーペースで、その後ロングパスを控えてビルドアップをしっかり行っていったロシアペースに移行していったように感じた。印象としては五分と五分の試合だ。
ロシアは左サイドのFWカヌンニコフやDFコムバロフがメルテンス対策で守備に借り出される時間が多く、おそらく体力の消耗も激しい。選手交代も含め、このサイドの対策をどうしてゆくかが後半の鍵になりそうだ。
ロシアの攻撃面にも期待が持てる。何しろほとんどのシュートが枠に飛んでいる。ベルギーGKクルトワの好セーブがなければゴールを割られていてもおかしくなかった。ベルギーのDF陣は高名だが隙がないわけではない。先制点を決めた途端に試合の様相が変わりそうだ。
後半では、相手のボールに厳しく行く両チームの前線からのディフェンスが効いていた。なかなか攻撃の形を作れないながらも、地道にセオリー通りの攻撃を繰り返して行った両チームだった。
後半43分に試合が大きく動いた。左サイドをドリブルで独走したエース・アザールがマイナスのボールでのグラウンダークロスを上げた。これをルカクに代わって前線を務めていた19歳のオリジがダイレクトで決めきった。これが決勝点になり試合終了。甲乙つけ難い実力の両チームだったが、最後はアザールの個人の能力が試合を決定づけた。
6/23 韓国 1-0 アルジェリア 結果 2-4
戦評:
初戦引分けの韓国と、初戦敗戦で後が無いアルジェリアの一戦。
韓国はこの後、ベルギー戦を控えているので、このアルジェリア戦は何としてでも勝っておきたい。ともに全力プレーが予想される。個人技やタレント性は韓国が上のように思うが、アルジェリアには地力があり身体能力の強さもある。1トップのスリマニは要注意すべき特別な選手だ。FIFAランキングに至ってはアルジェリアが22位で韓国が57位という点にも注意しておきたい。
前半はしばらく一進一退、そして組織と組織ががっちりと四つに組む展開が続いた。どちらのチームも攻撃の良いアイデアを持っているのだが、それを上回って守備能力が高い。アルジェリアは初戦から5人もスタメンを変えてきている。一方で韓国のスタメンは同じ。なかなかシュートまで至らない韓国。じわじわとメンタルの強さを削られているように見える。
均衡が崩れたのは前半25分、ラインが上がっていたところに縦パス一本。それをスリマニが追いつき両側からプレスを掛けるDFをものともせずにペナルティエリアに一直線。ゴールキーパも外してシュートを決めた。
続けざまに前半28分。CKのクロスボールを6番のハリシェがマークを外してフリーでヘディングゴール。
試合がアルジェリアペースに傾いている後半38分、やはり縦一本のボールをDF2人に競り勝ったスリマニが、近くに上がっていたジャブーにアシスト。これをジャブーが落ち着いてゴール右下に転がしてゴール。3点目。
前半終了。韓国はここまでシュートゼロ。味方にパスもろくにつながらなくなってしまっている。アルジェリアはひとりでボールキープして敵を引き付けてパスを出す。力の差はポジショニングや個人技にあるのか、勇気や信頼などの精神面なのか・・・。
後半に入って韓国は少し落ち着きを取り戻したかのように見える。それにしてもアルジェリアのほうが調子が乗っているので、なかなか上手くいかない。
後半5分。ソン・フンミンが縦パスを背中で受けて、体制を崩しながらもGKの股の間を抜くシュートを決める。
後半17分、ブラヒミがゴール前でスリマニとのワンツーを決め、コントロールされたゴールも決める。4-1。
後半27分、ゴール前の混戦に3人詰めた韓国。キャプテンのク・ジャチョルが最後は押し込んだ。4-2。
結局、韓国は最後の20分をパワープレーに費やしたが、ことごとく跳ね返されてしまい、得点の匂いはしなかった。
3戦目はアルジェリア☓ロシア、韓国☓ベルギー。どのチームにも決勝Tへの道が残されている。
6/27 韓国 1-3 ベルギー 結果 0-1
戦評:
98年のフランスワールドカップの時に選手同士として対戦したことのあるホン・ミョンボ監督とウィルモッツ監督。年齢も同じ45歳だ。当時の対戦は引分けだったが今回はどうだろう。
韓国は現在グループHの4位。この試合にはまず絶対に”勝ち”が求められている。さらに他会場(アルジェリア☓ロシア)の結果にも依存する。最後のアジア勢として、善戦してできれば決勝Tに進出してほしいものだ。
前半中は韓国もベルギーも2回ずつくらいは個人技から決定的なチャンスを作って、しかし味方と呼吸が合わず不意にした。また、どちらもボールを持つ選手へのプレスがきつく、かなりハードに(ファウル気味に)体にあたってくる。
前半終了間際にはベルギーのデフールがレッドカードを受け退場。タックルの際に足の裏を向けて踏みつけたところを主審にしっかりと見られていた。
ロシアが1点取ったので、今のままでは韓国は決勝T進出できない。
後半になり、どちらも少し足が止まってきた。そのせいでコンタクトプレーは減って、長い距離をフリーランニングできるようにもなってきたが、ゴール前に味方が詰めていないので大したチャンスにならない。
後半32分、ディフェンスのフェルトンゲンが韓国GKのキャッチしきれなかった跳ね返りのボールを押し込んでゴール。一人少ないベルギーが先制した。
もともと焦る必要のないベルギーは8人でディフェンスの黒い壁を築き、韓国の攻撃陣に仕事をさせない。韓国は4点取らなければならない状況。
後半41分になって背番号10アザールが登場。少ない時間だが活躍を見せた。
6/27 アルジェリア 2-3 ロシア 結果 1-1
前半6分、アルジェリアのフェグリが一人頭部から流血して治療中に、人数で優位のロシアはコーナーキックからぴったりと合わせたココリンのヘディングで先制ゴールを決めた。
アルジェリアは縦の意識の高い速いパスを、味方を見つけてはどんどん入れてくるタイプのチーム。ゴール前ではスリマニやブラヒミが超攻撃的に活躍する。
一方のロシアは選手同士が距離を保ってコンパクトな陣形のまま押し上げてくるタイプだ。ケルジャコフ、サメドフが前線に張る。
それぞれのストロングポイントを出してはいるものの、最後は個人技に頼らないとフィニッシュまで行けない膠着感がある前半になっている。
後半14分、ゴール左側からのブラヒミが蹴るFKを、スリマニが高い打点のヘディングで決めた。ただこの時、ロシアGKのアキンフェエフの顔に緑のレーザーポインターが当てられていて嫌な感じだった。
このまま試合が終わればアルジェリアが2位通過という状況で、ロシアはミドルシュートや裏へのパスなどを試みたが、アルジェリアの守りが堅く、だんだん悲壮感にあふれてきた。ロシアが1点でも取れば形勢逆転で決勝トーナメント進出なので必死だ。
試合が終了すると、アルジェリアの選手やベンチメンバー、スタッフらは歓喜に湧いた。
予想
②ベルギー 7+3
アルジェリア 0-3
①ロシア 7+3
韓国 3-3
結果
①ベルギー 9
②アルジェリア 4
3ロシア 2
4韓国 1