栄村 小滝コミュニティのブログ

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樋口民子&正幸(屋号:大工どん)

その瞬間、俺は全然何が起きたかわかんなくて、とにかく「やめてくれーっ!」と言った覚えがあるんだな。頭をガーンと叩かれたような感じでさ。
 私は「何でお父うは私の頭を蹴っこくるんだろう」と思って目さめたら、もう窓がなくて「何が起きたんだろう」と思った。
 電気を付けたら、ベッドの周りはみんなタンスだらけになってて、「なんだ?これ」と思ったら、また揺れが来たから地震だと思った。
 立っていられなかったような揺れでベッドに腹這いになってたっけ。四つんばいになって揺れに耐えてたって感じだった。
 そしたらタンスヤの静枝さんの声が窓がないので直接聞こえてきた。それで「地震だ、地震だ~」となったんだ。
 静枝さんの声で地震が分かったのかもしれない。

 


 あわてて1階へ下りていった。そしたら1階はみんな電気がついてた。揺れがおさまったから、「とにかく外へ出なきゃなんねぇ」と思った。
 着替えは、タンスがひっくり返ってたから引っ張り出せなくて、昨日脱いだ洗濯かごの中から出したんだよ。
 あのでっかいタンスがみんなひっくり返ってのクローゼットの戸を破って吹っ飛んできてたんだもん。

 「あ~、金魚とテレビ~」と思ったら、両方ともキャスター付いてたから割れてなかったのでよかったな。
 仏壇は座敷の真ん中まで飛び出ていた。
 俺はすぐ外へ出て、金也ととなりの良男さんを連れ出したり、新宅のじいちゃんとばあちゃんを抱き抱えて外へ出したんだ。
 謙吾さんが「今の状況を写真に撮って」というのでビクビクしながら家に入り、カメラを探し出して村中の写真を撮りまくった。

 私は車が出たので下りの家の前に車を止めて中に入ってたんだ。みんなの安否確認ができ「みんなが無事でよかったなあ」と思った。
 俺は若えモンと手分けしてみんなの家を回ってブレーカーを落としたり、ガスの元栓を締めたりしたんだ。
 年寄り衆は寒くねぇようにって車の中に入ってた。
 情報がほしいというんでラジオを聴いてたら、「建設課長の広瀬さんに伺います」とかいって、ラジオで隆司さんの声が流れたんだよ。
 みんな途方に暮れていた感じだったな。

 それから「役場職員は集まれ」と放送が鳴ったんだよね。それで二人で役場へ向かったんだ。
 横手の道は全部雪で埋まっていて、その雪山を代り番こに越えて行った。俺はまだ揺れてたから「また雪崩が来る」と思い怖くて死を覚悟した。
 私は山の雪みんな落ちてたからそんなにおっかなくなかっな。月岡に着いたら雪も落ちていなくて窓がずれてただけの様子で「あれ?」とたまげたんだよ。
 それから乗り継ぎで役場に行ったきり避難指示解除まで家に帰る事が出来なかった。

 大災害の備えとしては、「余計なお世話」とは言わずに常日頃から隣近所の様子を把握しておくことだ。
 そして避難中はあわてた行動は起こさずじっくり様子を見ながら後のことを考えることだ。