「Invent & Wander ―ジェフ・ベゾスCollected Writings」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

 

 

「Invent & Wander ―ジェフ・ベゾスCollected Writings」

 

 

本書は、ジェフ・ベゾス氏の生の言葉を集めたもの。アマゾン関連の本は何度か読んだが、ベゾス氏本人の言葉は臨場感があって、響くものがある。

 

ベゾス氏は、大学で電気工学とコンピュータサイエンスを専攻し、起業前は高度な金融工学を駆使するヘッジ・ファンドで働いていたのに、アマゾンの経営においては結構直観で重要な意思決定を行っている。プライムをはじめたときハラハラした、というエピソードなど、面白かった。

 

ただ、幅広くベットしてたまに大当たりが出ればすべて取り返して余りある、という統計学的発想は、やはり大学やヘッジ・ファンドで養った知識・経験がベースにあるのだろうか。

 

 

参照:「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」

 

 

 

以下、備忘

 

 

 

「私たちは何度も間違ってきたし、ファイヤフォンのような大失敗もあった。(中略)いくつか大勝ちすれば、無数の失敗した実験のもとは取れる

野球の場合、バットを振ったとき、どれほど遠くに飛ばしても得点できるのは4点まで。ビジネスであれば、打席に立つことでほんのたまにではあるが1000点挙げることも可能。

ビジネスではリターンの分布がロングテールであるからこそ、大胆な賭けが大切になる。大勝ちすれば、たくさんの実験のもとが取れる。

プライム、マーケットプレイス、AWSの3つはいずれも大きな賭けがうまくいった例。この三本柱のおかげでアマゾンは大企業に成長できた。



(AWSの領域に数年間ライバルの参入がなかったのは)「私が知る限り、ビジネス史に例を見ない最高の幸運だった」



世界で最もお客様中心の会社を築く

 

「お客様は鋭く賢いということを大原則に掲げています」
 

恐れなければいけないのはライバル企業ではなく、お客様。アマゾンの核にあるのは競合へのこだわりではなく顧客へのこだわり。

私たちは物を売ってお金を得ているのではない。お客様の購買判断を助けることで、対価をもらっている。

じつのところ、値下げは定量的な分析に反している。数字をもとにすれば、値上げを行うことが賢い決定だという答えが出る。

しかし、価格弾力性についての定量分析は短期的なものでしかない。値下げの影響が予測できるのはその週や四半期まで。5年後、10年後、またはその先に、継続的な値下げがどう影響するか、定量的にわかるものではない。

徹底的な効率化とスケールメリットの追求によってお客様に値下げをすることで好循環が生まれ、長期的には莫大なフリーキャッシュフローが生み出されてアマゾンの価値が大幅に上がる、というのが私たちの判断。

 



採用にあたっての3つの基準

尊敬できる人物か?
加入するチームの能力を引き上げてくれる人物か?
その人はどの側面でスーパースターになる可能性があるか?

「人生はあまりに短く、尊敬できない人と働いている暇はありません」




たいていの意思決定は、ほしいと思う情報の70%程度しか手に入らない時点で下されなければならない。90%の情報が手に入るまで待っていたら、だいたい遅い。

意思決定のスピードを上げるには、「反対してもコミットする」という原則を共有するといい。

「正解は誰にもわからないが、私に任せてほしい。反対でもコミットしてくれ。こちらの方向性でいくと決めた。だから反対していた者も、決めたことにコミットしてほしい」

「よし、私はこの案には絶対反対だが、君たちのほうが私より現場のことをわかっている。君たちのやり方でやってくれ。あとになって『そら見たことか』なんて決して言わないと約束するから」



高い基準を持つ企業文化をつくりあげるのは大変だが、その努力に見合う価値はある。いいプロダクトやサービスをつくるようになる、いい人が集まる、目立たない仕事にもプロとしての矜持を持てる、などのメリットがある。

「それに何より、基準が高いと仕事が楽しいのです! 高い基準を一度味わうと、もうもとに戻れません。」



創業当初から、何かをつくりだす人たちに価値を置く企業文化を醸成したいと考えていた。何かをつくりだす人たちとは、好奇心があり、模索と探検を厭わない人たち。発明好きの人たち。



地球は制限居住地区となり、軽工業が行われる場所になる。住むにも、訪れるにも、美しい場所になる。重工業や大気汚染の原因になるような工業、つまり地球に害をもたらすことはすべて、地球の外で行われるようになる。
そうすれば、この宝石のような奇跡の惑星を保護することができる。





「そんなわけで、私たちはプライムを試してみることにした。最初はとても高くついた。無料で食べ放題のビュッフェを提供したらどうなる? 金がかかるのは当たり前だ。最初に飛びつくのは誰だろう? 大食いの人たちだ。だから怖かった。エビ食べ放題なんて言ってよかったの? どうしよう、とハラハラしていた。しかも、まさにそうなった。でも、好調に推移しそうなこともわかった。さまざまな種類のお客様が加入して、このサービスを気に入ってくれた。それがプライムの成功につながった。」

 

※抜粋元

 

 




■あなたの選択があなたという人間をつくる

 

上司のところに行って、インターネットで本を売る会社を作りたいと伝えました。(中略)

「すごくいいアイディアみたいだな。でも、すでにいい仕事に就いていない人向きだと思うよ」(中略)

すごく難しい選択だったのですが、結局、挑戦しないわけにはいかないと思いました。挑戦して失敗しても後悔はしないはず。もし挑戦しなければ、いつまでも後悔につきまとわれる。さんざん考えた結果、情熱に従って安全でない道を歩むことにしたのです。あのときの選択を誇らしく思います。

 

明日から本当の意味で、みなさんの人生が、みなさんがゼロからご自身で築き上げる人生がはじまります。
その才能を、みなさんはどう使いますか? どんな選択をするでしょう?
惰性で生きていきますか? それとも情熱を追いかけますか?
みんなと同じになりますか? それともほかの誰とも違う自分になりますか?
楽な道を選びますか? それとも誰かのために挑戦し続けますか?
批判されたら引き下がりますか? それとも信念を貫きますか?
間違ったらはったりで誤魔化しますか? それとも謝りますか?
傷つくことを恐れて何もしませんか? それとも惚れ込んだら行動に移しますか?
安定を取りますか? それとも少し向こうみずに突き進みますか?
困難なときにあきらめますか? それでもなおがむしゃらに挑戦し続けますか?
言い訳や批判だけで終わりますか? それともみずから何かをつくりだしますか?
誰かを傷つけてでも自分の賢さを主張しますか? それとも人に優しくなりますか?

ここで、思い切って予言めいたことを言わせてください。
みなさんが80歳になり、静かに過去を振り返り、自分にしかわからない人生の物語を自分に向けて語るとしましょう。そのとき、あなたの人生を最も適切かつ端的に表すのは、あなたが行ってきた選択の数々にほかなりません。私たちはつまるところ、自分の選択からできているのです。
みなさんが素晴らしい人生の物語を紡がれますよう。私の話を聞いてくれてありがとう。幸運を祈ります。

 

 

 

I was working at a financial firm in New York City with a bunch of very smart people, and I had a brilliant boss that I much admired. I went to my boss and told him I wanted to start a company selling books on the Internet. He took me on a long walk in Central Park, listened carefully to me, and finally said, “That sounds like a really good idea, but it would be an even better idea for someone who didn’t already have a good job.” That logic made some sense to me, and he convinced me to think about it for 48 hours before making a final decision. Seen in that light, it really was a difficult choice, but ultimately, I decided I had to give it a shot. I didn’t think I’d regret trying and failing. And I suspected I would always be haunted by a decision to not try at all. After much consideration, I took the less safe path to follow my passion, and I’m proud of that choice.

Tomorrow, in a very real sense, your life -- the life you author from scratch on your own -- begins.
How will you use your gifts? What choices will you make?
Will inertia be your guide, or will you follow your passions?
Will you follow dogma, or will you be original?
Will you choose a life of ease, or a life of service and adventure?
Will you wilt under criticism, or will you follow your convictions?
Will you bluff it out when you’re wrong, or will you apologize?
Will you guard your heart against rejection, or will you act when you fall in love?
Will you play it safe, or will you be a little bit swashbuckling?
When it’s tough, will you give up, or will you be relentless?
Will you be a cynic, or will you be a builder?
Will you be clever at the expense of others, or will you be kind?

I will hazard a prediction. When you are 80 years old, and in a quiet moment of reflection narrating for only yourself the most personal version of your life story, the telling that will be most compact and meaningful will be the series of choices you have made. In the end, we are our choices. Build yourself a great story. Thank you and good luck!

 

 

 

※抜粋元