「テンセント」★★★☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

インスタントメッセージを皮切りにあらゆるネットサービスで成功を収めるBATの一角。

ユーザーの声をよく聞き、ユーザー体験に固執するプロダクト重視の哲学が成功の源泉と感じた。

 

また、経済活動における様々な規制のある中国においてもインターネットビジネスは自由度の高い産業であり、そこで努力すれば結果が出る(お金持ちになれる)というモチベーションが中国インターネット産業の原動力であろう。ヤフー創業者で中国系アメリカ人のジェリー・ヤンの成功に触発されたことも想像に難くない。

 

アメリカと中国のネット文化・価値観の相違の考察も面白い一冊。例えば、中国人はバーチャルな世界で仮想アイテム等にお金をたくさん使う。

 

以下、備忘

 

「テンセントが行うのはつなぐこととコンテンツ、この二つだけだ」(ポニー・マー)

 

中国インターネットの成功は中国の改革開放と似ており、・・・アメリカの同業者と比べると、中国人は革命的なインターネット技術は発明していないだろうが、ビジネスモデルとユーザー体験面の努力では卓越している。また、アメリカ人は進歩を推し進める技術を発明したが、中国人は利益を得る方法論を見いだした。

 

「人類は依然インターネット時代の黎明期に身を置いている。弱々しい朝の光が先の暗い道をまだ照らしている。インターネットは本当に不思議な代物だ。インターネットに後押しされて、人類の社会全体が醍醐味の尽きない実験室と化した。我々の世代は、誰もが皆この偉大な実験の計画者であり参加者だ。この実験は、畏敬の念をもって、一心不乱に全力に取り組むに値する」(ポニー・マー)