アルツハイマー型認知症の母と散歩する愛おしい時間。
それは5年前の今日。
当時すでに要介護5。
からだは元気、ことばでのコミュニケーションが難しくなっていました。
 
当時の記録には。

お散歩中の母は、陽気でおしゃべり。
おしゃべりの内容はとんちんかんだけど。
めちゃくちゃ可愛い。
 
わたしと母は、お手手つないで。
母はお花や緑が大好き♡
昔の我が家はお花でいっぱい。
春にはいろとりどりの
スイトピー
ラナンキュラス
あとなんだったけな?!www

母とお花と緑を探しながらお散歩♪
たくさんおしゃべりして母が退屈しないよう刺激する。
母はわたしの言葉をリピートしてはにっこりする。
ほんとにもう愛しい母。
それはもうなんともしあわせな時間。
 
春は芽吹きの季節だから不穏になりやすい母。
そんな母が本来の自分を取り戻しているような散歩風景。
思い出して胸が熱くなる。
 
昨日の母は、寂しそうだった。
母をハグしようとしたら、
母は一瞬からだをこわばらせ、
ビクッとし表情が凍りついた。
 
わたし:お母さん、嫌な事でもあったの?
母:(小さく頷く)
わたし:お母さん、寂しかった?
母:(大きく頷く)
 
ちょっと前まで、
わたしが母をハグするとき、
母がビクッとしたり表情が凍りつくことはなかった。
 
きっと母の同意を得ることなく、
ことば少なく何かの介助をされ、
それがわからなくて、
不安で怖くて仕方なかったのだろう。
 
母の記憶は今でもある。
ネガティブなことだけ記憶に残る。
 
当たり前のことや
嬉しいこと楽しいことは
記憶に残らない。
 
ただただ怖かったこと、
嫌だったこと、
不安な気持ち、
そういうのは記憶に残る。
からだの反応に現れる。
 
母がわたしに頷き返してくれるのは、
これまでの信頼関係と絆があるから。
母の本能に刻まれているよう。
 
母は自分にとって本当に大切なことは、
本能が働くようだ。
それは母が安心できる相手がどんな人かということ。
 
安心できる相手になるためには?
母を安心させることからはじめる。
わたしが誰か自己紹介する。
穏やかに優しく笑顔で、
話しかけながら目線を合わせる。
母の今の調子を聞く。
母の表情が緩んだかどうか、
母のからだのこわばりが少ないことを
雑談しながら確認する。
母が安心してから介助する。
わたしが何の介助をしているのか常に話しかけながら、
母のこころの不安を取り除く。
そうすると安心できる相手と母が認識してくれる。
繰り返すうちに本能に刻まれる。
 
そんな母をハグしながら、
切なくなった。
それでも母は大丈夫!とわたしはわたしに言う。
そして母にも言う。
「お母さんは大丈夫だよ!」
意外にも母は、無表情に頷いた。
ちょっと不服だけど、プライドがあるみたいにw
なんて愛おしい母。
そうだね母さん、愛おしさは変わらないね。
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松元佳子