旅のことばカードから私の話を書くブログシリーズです。
旅のことばとは?
 
カードの16から32は[家族のことば]です。
認知症両親と家族に寄り添ってきたわたしのことばを綴ります。
 
【いつものおしゃべり24】
これまでどおり、普通に話す。
 
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話しかけても、ぼんやりしていて返事が返ってこないことが増えてきました。
そのとき
「この話はしてもわからないかな」と話さないようになると、どんどん会話の機会がなくなってしまいます。
そこで
たとえ理解してもらえなかったり返答がなかったりしても、これまでどおり話しかけます。
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・若年性アルツハイマーだった母
・脳血管性認知症を発症した父
 
両親ともに、話しかけてもぼんやりしていて返事が返ってこないことは、それほどありませんでした。
それは、返事が返ってくるまでわたしに両親を「待つ」という姿勢ができていたからかもしれません。
やはり本文のように、
「この話はしてもわからないかな」
と思うことは、当初度々ありました。

けれども何かのときに、母が無表情に見えて実は一生懸命考えているということに気づきました。
何か言おうと母がほんのり口を開こうとした瞬間を発見!
小さな表情の変化、目の色だったり、口元だったり、手のほんの少しの動きだったり。
それからは、どんな話もこれまで通り話しかけるようにしています。
 
例えば、先週末。
親族に不幸があり父の代理で出席することにしたので、さっそく施設に暮らす父に報告と相談に行きました。
 
わたし:お父さん、○○さんが11月2日に亡くなったの。
     ○○さんていうのは、△△の□□さん。覚えてる?(ここは父が理解できない場合は理解するまで詳しく説明する)
     だから、お父さんの代理でお通夜とお葬式に出席した方がいいよね?
父:(しばらく考える間があって)そうね!よろしく頼むね!
わたし:お香典はお父さんのお金を使っていいかな?
父:もちろん。お金はあるだろう?ちゃんと使ってくれよ!
わたし:はい!
 
そして母にも。
母もうなずきながら、聞いてくれました。
 
母はわたしの話を聞くのがとても好きです。
もううまく喋れないし、生活介助は全介助。
そんな母ですが、父と同じように、母の目や表情をみながらゆっくりより詳しく説明をいれながら話をすすめると、理解しているように、正しい間合いで正しい相槌を打ったり返事をくれます。
話が理解できなくて、わからないときは、あからさまに興味を失った表情になるので、一目瞭然です。
母が話に興味がないときは話がストレスになるので、話題を変えたり、話をやめたり、柔軟に対応しています。
 
そういうことなので、いまでもいつものおしゃべりを両親としています。
認知症の人には話が通じないという思い込みは危険です。
わたしの両親は、「認知症の人には話が通じないと思ってしゃべっている人」をちゃんと認識しています。
そしてそんな人が両親は大嫌い。
そんな人の言うことは、聞かないし、しゃべりを妨害したりさえします。
 
いつもどおり、普通に話す。
それは認知症両親だけでなく、わたしにとっても、とても気持ちのいいことです。
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松元佳子
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